建設・ビル管理

Withコロナのオフィスに欠かせない要素とレイアウト変更のポイントとは

オフィスで社員全員が集まって働くという働き方は、コロナ禍で一変しました。オフィス環境は今、大きな路線変更を求められています。本記事では、新型コロナウイルス感染拡大対策に必要とされる、オフィスのレイアウト変更について解説します。

Withコロナのオフィスに欠かせない要素とレイアウト変更のポイントとは

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withコロナのオフィスに欠かせない3つの要素

現在、厚生労働省から新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が公表されています。これは、新型コロナウイルス感染症専門家会議で示された、日常生活での新型コロナウイルスの感染対策をまとめたものです。

このなかには、オフィスに関する実践例も含まれています。ここでは、特にオフィスにおいて守るべき3つの要素を紹介します。

1.隣の人と間隔を空ける

感染対策では、人と人との距離を取ることが大切です。隣の人との間隔を可能な限り2mは空けるようにしましょう。

オフィスの大きさ的に難しい場合でも、最低限1mは空けるべきであるとされています。オフィスは広々と使うのが、新しい働き方のスタイルとして提案されているのです。

2.真正面を避ける

飛沫防止のために、会話をする際はできるだけ真正面を避けましょう。勤務中では会話をする機会も多いため、机自体を向かい合わせにならないように設置したり、会議をオンラインで行ったりするなどの対策が必要です。また、打ち合わせなどを行う場合はマスクを着用しましょう。

3.換気と消毒

新型コロナウイルス対策として、「3密」という言葉をよく聞くようになりました。3密とは、「密集」「密接」「密閉」の3つを指します。オフィスでもこの3密を避けるために、定期的な換気を行いましょう。

また、ドアノブや共有パソコン、共有ファイルなど、社内で不特定多数の社員が触れる共有物のアルコール消毒も必須です。出勤時や食事前にはアルコール消毒を行うなどの社内ルールを設けることも欠かせません。

コロナで改めて見直されるオフィスの意義

新型コロナウイルスから社員を守るためには、オフィス出勤をやめ、テレワークに完全移行するのもひとつの手です。しかし、業種や職種によっては、テレワークの実施が難しいでしょう。

テレワークに移行できたとしても、社員間でコミュニケーションが不足するなどの課題も懸念されます。一方で、職場と住居を一体化することによって、家族との時間を大切にできるため、テレワークを選択する人が増えているのも事実です。

このように新型コロナウイルスによって、これまで通りオフィスで働けない今、オフィスで顔を合わせて働くことの意義が改めて見直されています。今後もオフィス勤務を継続させるなら、社員全員にオフィスで働くことの意義を理解してもらう必要があるといえるでしょう。ここでは、オフィスの意義について、特に重要な2点を解説します。

チーム形成

オフィス勤務には、周囲の社員の働く様子や状況が見えるため、連携を取りやすいというメリットがあります。

協力して仕事を行えば、信頼関係が構築でき、チーム形成に効果的です。また、直接会話できる環境の方が、報告・連絡・相談がしやすく、気兼ねなく会話もできます。こうしたちょっとしたコミュニケーションも、信頼関係の構築には欠かせません。

加えて、経営者や部長などが思い描く企業のビジョン・ミッションも、同じ職場で一緒に働くことで部下に浸透しやすいでしょう。このように、オフィスで働くことは、企業がひとつにまとまる手助けとなってくれます。

経験の浅い社員のフォロー

新入社員や中途採用、休職明けの社員は、まだ経験が浅くひとりではすぐに働けません。十分な経験がないままテレワークで働くことになると、仕事に時間がかかったり、成果が不十分になってしまったりする可能性があります。また、企業文化や風土などもうまく継承されないことでしょう。

こうした経験の浅い社員には、先輩社員や上司から、現場でフォローすることが大切です。また直接的なフォローがなくても、先輩社員の働き方を見ながら、真似して仕事の仕方を学ぶこともできます。こうした社員のフォローができることもオフィスで働くことの意義だといえます。

withコロナのオフィスレイアウトのポイント

ここからは、オフィスレイアウトの具体的な変更ポイントを5つ紹介します。いずれも働き方は大きく変わるものの、比較的、費用や時間がかからないものです。すでに実施している企業も多く、実現性も高いため、参考にしてください。

座席は「パーソナル型」に

日本のオフィスに多い、デスクを中央に寄せ集めた島型のレイアウトでは、2mの身体的距離を確保するのは困難です。ソーシャルディスタンスを考慮した、独立型の座席レイアウトに変更しましょう。島型レイアウトから大きく変更しないのであれば、すべての座席を埋めるのではなく、左右は1席空け、前は空席にすればおよそ2mが確保できます。

あるいは、全員が同じ方向を向いて執務する座席レイアウトを採用するのもよいでしょう。学校のような配置のため、スクール形式とも呼ばれます。併せて、縦横十分なスペースを取ることで、各デスクを完全に独立させられます。従来の島型レイアウトと比較すると大きく身体的距離を取れるものの、大掛かりなオフィスレイアウトの変更が必要なのがネックです。

パーテーションの設置

上記、座席レイアウトの変更を実施すれば、物理的なソーシャルディスタンスを確保できます。しかし、「ワークスペースの確保」や「オフィス勤務する社員の削減」が求められるなど、すぐに実施するのは難しい企業もあるでしょう。

物理的距離の確保が困難な場合、デスクの左右や対面に透明なパーテーションを設置することで、飛沫飛散対策が行えます。アクリルパネルやビニールスクリーンを採用するのが一般的です。ただし、従来の島型レイアウトを継続したままパーテーションを設置する場合、単純に席を離すよりも、費用と時間がかかる可能性があることを留意しておきましょう。

固定席式の採用

働き方改革の一環として、社員が自由に座席を決められる「フリーアドレス制」が注目されていました。しかし、新型コロナウイルスが広まった現在では、フリーアドレス制よりも固定席式のほうが安全です。

フリーアドレス制は、社内コミュニケーションの促進や省スペースに効果的ですが、「不特定多数が触れる共有箇所の消毒が必要になる」「感染者が出た場合、接触者の追跡が困難になる」などのコロナ禍におけるデメリットがあります。

今後、働き方やオフィスレイアウトを考える際は、固定席の採用を前提にしましょう。現状フリーアドレス制を採用しており、社員全員分の座席が確保できない場合、社員の一定数をリモートワーク勤務にすれば固定席数は減らせます。

会議室は少人数の執務室に

新型コロナウイルスの流行により、Web会議ツールの普及が広まりました。Web会議ツールを使えば、社員それぞれが自宅や自席から、会議・セミナーに参加可能です。これにより、会議・セミナーに使用していた会議室やセミナー室が不要になります。

使わなくなった会議室やセミナー室などを、少人数用の執務室にリメイクする企業もあります。従来の執務室と併せてオフィススペースを増大させられるため、社員を分散してソーシャルディスタンスの確保が可能です。リメイクする際に、換気のための網戸を設置するケースもあります。

共有スペースの分散

オフィスにおける新型コロナウイルス感染拡大を防ぐには、共有スペースのソーシャルディスタンスの確保も課題です。例えば、給湯室やロッカー、コピー機周辺は、時間帯によって人が密になります。スペースやコストが許せば、コーナーを複数に分けて人を分散させるのが理想的です。

加えて、共有スペースに設置する備品も、なるべく手を触れずに済むような工夫をするとよいでしょう。足で踏むペダル式のゴミ箱に変更するなどが考えられます。

オフィスの価値をさらに高める2つの視点

ここまでは、新型コロナウイルス対策のためのオフィスレイアウトを紹介しました。しかし、オフィスのレイアウト変更は、時間や費用が少なからずかかるため、そう気軽に行えるものではないでしょう。「今変更しても、新型コロナウイルスが収まったらまた戻さなければならないかもしれない」とレイアウト変更に踏み切れない企業も多いかもしれません。

そこで、新型コロナウイルス対策のためだけにレイアウトを変更するのではなく、オフィスの価値を高めるという目的も含めてレイアウト変更をするのがおすすめです。ここでは、オフィスの価値を高めるためのレイアウト変更における2つの視点を紹介します。

働き方改革を推し進められるものにする

新型コロナウイルスが終息するきざしが見えず、3密を避けた勤務形態は今後もしばらく続く可能性が高いと考えられます。終息後の働き方も、どうなるか見通しが立ちません。

新型コロナウイルスの感染拡大の前から、政府によって「働き方改革」が推奨されており、テレワークはもともとその一環として考えられていました。テレワークは、自分らしい働き方を求める休職者にとって、魅力的に映るポイントのひとつとなることが想定されます。今後、テレワークを含めた柔軟な働き方が当たり前となる時代がやってくることも考えられるでしょう。

しかしその時代がきたとしても、先に説明した通り、オフィスにはオフィスで働く意義があります。そこで、オフィスとテレワークを交えた働き方改革を推し進められるよう、長期的な使用を考えてレイアウトの変更をしましょう。

たとえば、パソコンを使っての作業はテレワークでもできますが、高価な機材を使用し、広々とした空間での勤務は、テレワークではなかなか難しいでしょう。またちょっとした相談や打ち合わせは、オフィスならではの進めやすい仕事のひとつです。こうした仕事がしやすいよう、グループワークがしやすい環境を整えたり、オンライン会議が主流になることを見据えて、防音室や防音パネルを設置したりするなどが、例として挙げられます。

作業場所ではなく価値創造の空間として捉える

新型コロナウイルスの影響で、テレワークという選択肢が確立されつつあり、オフィスに対する考え方も変化してきています。オフィスを単なる作業の場として捉えるのではなく、新たなアイデアを生み出す創造的な空間として捉える動きが広がっているのです。

たとえば、部屋ごとに使用する色や素材を変えたり、資料や見本が気軽に手に取れる位置に置いてあったりと、より開放的でデザイン性のあるレイアウトを採用することも効果的です。このように創造的な空間へと変更することで、社員が自主的に集まるオフィスが作れるでしょう。

働き方の変化を受け止める柔軟なオフィスが求められている

新型コロナウイルスによって、すでに多くの企業で働き方が変化しています。永続的なテレワークを発表した企業もあり、オフィス環境の変化は一時的なものではなく、長く続く可能性があります。日本全体において、働き方が変わろうとしているのです。これに合わせ、社員が快適に安全に働ける、柔軟なオフィスへとレイアウトを変更することが大切です。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オフィスでは勤務中の社員間の身体的距離を確保すること、換気・消毒を徹底することが求められます。勤務形態を改めたり、レイアウトを変更したりすることで対応しましょう。

このとき、オフィスの価値を高めることも同時に考えるべきです。これからの時代の価値基準に合わせた、付加価値を創出しましょう。

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