小売業

価値観マーケティングとは?小売業に大きな影響を与える新たな考え方

人間の行動を無意識に左右する「価値観(バリュー)」。何に価値を見い出すかは人それぞれであり、それによって個々人の日々の行動が決まっていきます。そしてビジネスでは、この価値観に注目した新しい販売促進手法「価値観マーケティング」が注目を浴びています。

本記事では小売業界に影響を与える「価値観マーケティング」について解説します。

価値観マーケティングとは?小売業に大きな影響を与える新たな考え方

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「価値観」とは何か?

「価値観」は、概念的な意味合いで使われることが多い言葉なので人それぞれ定義が異なるかもしれません。広辞苑によれば「価値観」とは「何に価値を認めるかという考え方。善悪・好悪などの価値を判断するとき、その根幹をなす物事の見方。」とされています。

人間の日常というのはまさに選択の連続です。そしてその1つ1つの選択が未来へとつながっており、人の人生を作っています。この選択を左右するのが「価値観」なのですから「価値観」こそが人生に大きな影響を与えていると言っても過言ではありません。また、最近では新型コロナウイルスの影響を受けて人々の価値観は大きく変わってきているとも言われています。

そして、私もそうですが多くの人間において自分自身が「何に対して価値観を持っているのか?」ということをはっきりと認識していません。この価値観を深く理解すれば幸せな人生を送ることができるのかもしれませんね。

これをビジネスに置き換えて考えると、人の「価値観」を理解することは「その人を幸せにするための手段」を手にするようなものです。ビジネスのターゲットとなる人が潜在的に何を求めて、何に満足するのか?これを理解することでその人を幸せにしながら、ビジネスの目標を達成することができます。

価値観マーケティング=人の「価値観」に主軸を置いた販売促進手法

ここまでの解説で既にお気づきの方も多いでしょう。価値観マーケティングとはつまり、ビジネスのターゲットとなる人の「価値観」を理解し、それを中心に商品・サービス開発やマーケティング施策、店舗施策へ取り組むことで、ビジネスの収益拡大を実現する取り組みです。

マーケティングの一般的な定義は「ターゲットとなる人の欲求(ニーズ)をしり、売れるための仕組みづくりをする」ことです。

今までのマーケティングの世界では、一般的に人の性別、年齢、職業、収入といった「デモグラフィック属性(人口統計学的属性)」から捉えるのが主流でした。例えば「30代男性は働き盛りだからビジネス系の商品・サービスに興味がある」など、性別や年齢からそれらのセグメントが抱えているであろうニーズや課題を分析するものです。

デモグラフィック属性を使ったニーズ分析は、マスマーケティング時代に一定の効果を発揮します。しかし、インターネットによる膨大な情報流通やスマートフォンの普及により人々のニーズは多様性・複雑化を極める時代になってきました。過去と違い、消費者は情報を受け取るだけでなく、ソーシャルメディアやブログなどを通じて発信する側に立ち、さらには自分にとって必要な情報を常に取捨選択しながら行動することができるのです。そのため消費者のニーズは多様化し、単純なセグメントでは把握しきれないほどになっています。

例えば、今では男性が化粧をすることが当たり前になりつつあります。資生堂の調査によれば化粧未経験の男性の9割が「化粧をしてみたい」と回答しているそうです。

このようなニーズは、デモグラフィック属性を使ったセグメントだけでは把握しきれないため、ターゲットごとの「価値観」を主軸に置いたマーケティング戦略が必要になってきているのです。

「価値観」をどう把握するかが重要

デモグラフィック属性を使ったセグメントごとのニーズを把握するのは、そう難しい話ではありません。想定するセグメントの自社商品・サービスを利用している消費者、あるいは興味がある人々に対してアンケート調査を実施し、統計データを出してニーズを把握する方法が主流です。最近ではWeb解析などを通じて大まかな情報を取得することも可能です。

一方、「価値観」というのは本人すら気付いていないことが多いのですから厄介な代物です。また、同じセグメントであっても「何に価値を感じるか?」は人それぞれであり「価値観」の把握をより難しくしています。

いくつかの企業がこの価値観を把握するために研究を実施しています。例えば2013年6月に開催された「2013年度人工知能学会全国大会(第27回) JSAI2013」にて「社会知としての消費者価値観構造モデルと類型Societasの構築」に関する研究結果が発表されたことは大きな話題になりました。「Societas (ソシエタス)」は、日本人特有の「価値観」をモデル化・データベース化したものでありターゲット消費者を12個のタイプに分類し、それぞれのタイプに共通する「価値観」を据えることで価値観マーケティングの実現を支援します。

このように価値観を活用した研究なども盛んに行われるだけでなくサービスなども登場してきています。これらを活用することで、より正確なマーケティング施策や店舗展開を目指すことができます。皆さんも機会に、人の「価値観」について考えてみてはいかがでしょうか?

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