3D CADの活用が製造業の未来を救う

 2021.01.19  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年製造業において、3D CADを活用した三次元製品設計が主流となっています。しかし実は、「3D CADがどのように製品設計へ貢献するのか」「従来のCADとの違い」を把握していない事業者やエンジニアも多いのです。そこで本記事では、3D CADの概要・従来のCAD(2D CAD)との違い・3D CAD導入のメリットについて詳しく解説していきます。

3D CADの活用が製造業の未来を救う

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3D CADとは

まず、CADの説明から始めます。CADとは、Computer Aided Designの頭文字を取ったもので、紙などを用いるアナログな手法とは対照的にコンピューター上で設計図や、デザインを作成するツールです。

3D CADとは、構造物や機械部品などの設計を平面ではなく3Dに拡張して行えるツールです。設計図である3Dモデルをコンピューター上で表示できるため、完成品のイメージがわきやすく修正点もわかりやすいという利点があります。

3D CADのツール自体は1980年代頃から存在しましたが、広く普及し始めたのは1990年代後半からです。さらにデジタル技術が普及するに従って、より便利な3D CAD製品が続々と登場しています。有名な製品では、ダッソーシステムズのCATIAやSolidWorksなどがあげられるでしょう。

また、CAD製品には、平面で作業する2Dの製品もあります。一見3D CADの方が優れているようにも感じるかもしれません。しかし2D CADには、スペックの低いPCでも動作する、機能がわかりやすいなどの利点もあります。そのため、今でも2Dを使用している企業は多く存在します。

ただし、現在の主流は機能性や、視認性に優れる3D CADへと移っていることは事実です。

通常のCADとの違い

前述したようにCADには2Dと3Dがありますが、2Dは名前の通り縦横で構成される設計図を作成するソフトです。基本的な設計思想は手書きの製図と変わりませんが、ソフトを利用することでより簡単に設計できるようになっています。

一方、3D CADは、2D CADの延長線上にあるツールというわけではありません。3DCADは設計・製造工程のデジタル化を目的に使用されるツールであり、製図の作成を目的としている2D CADとは根本的な設計思想が異なります。

また、3Dは立体的に構築物を扱えるので、干渉している部位がわかりやすいという大きなメリットがあります。素人が見てもモデルの構造を理解できるため、依頼者との相違が起きにくいことも利点です。こうした理由により、3Dを導入することでさまざまな恩恵を受けられます。

一方3D CADは、3Dモデルデータを元にデータを作成するので、根本的な扱いが変わってきます。2Dの扱いに慣れている方でも、3Dモデルの作成では多くの部分で異なる技術が必要になるのです。

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3D CADの導入メリット

3D CADの導入によりどんなメリットがあるのでしょうか?ここでは主要なメリットを5つ紹介します。

視覚的にわかりやすい

2Dの製図を読むには、ある程度の経験が必要です。熟練者でも他人が書いた製図を瞬時に理解するのは難しく、構造体が複雑だとより難解になります。さらに2Dの製図から、実際に構築する際の立体図を想像しなければいけません。このように2D CADでは、製図を読むという作業において、専門的な知識が必要でした。

一方、3Dでは、初めから立体としてモデルを作成するので、図面を読んで構造物を想像するという工程が必要ありません。2Dの設計図と違って、一目見てわかるという大きなメリットがあるのです。さらに作成した3Dモデルは360度自由に角度を変えて確認できるため、ある特定の方向から見た場合デザイン破綻するといった心配もありません。

また、ビジネスにおいては作製した設計図をCADに精通していない方が目を通すとうシチュエーションも想定されます。依頼主が全くの素人ということもあるでしょう。このような場合において、3Dで作製したモデルであれば先方に完成品のイメージをわかりやすく伝えることが可能です。互いの想像しているものをすり合わせることで、互いが納得できる製品・商品を作り上げられます。

体積・表面積・質量・重心などの情報がわかる

構造物の設計には、縦や横の長さだけでなく表面積や質量、重心、体積など、さまざまな幾何情報が必要です。これらの情報を元に、コストや部品の位置決めなどを細かく設定します。2D CADでは、幾何情報を個別に計算しなければいけませんでした。そのため、計算ミスにより手戻りが発生する、材質の変更によってコストが変化するなど必要な工数が増えることもありました。

3D CADを用いれば、こうした幾何情報を簡単に計算可能です。ミスも発生せず、材質や、形状変更といった条件を変更しても直ちに新しい情報へと更新されます。また、一つの部品に対して細かい幾何情報が算出されるため、工数削減が期待されます。設計の初期から幾何情報を算出できるため、製品の構築もより容易になるでしょう。

部品を組み立てた後の干渉チェックが可能

構造物を実際に組み立てる段階で、部品同士が互いにぶつかってしまうことを部品の干渉といいます。2D CADでは立体に起こしたときのイメージが付きにくく、複雑な構造物では特に部品の組み立て時に干渉がよく起きていました。

3D CADでは、設計段階で干渉のチェックや、部品に力が集中して破損してしまわないかなどの解析を事前に行うことが可能です。このように設計における致命的なミスを防げるため、全体の設計速度を大幅に向上させられます。

従来はこのような品質検討作業を、製図後に行っていましたが、3D CADの活用によって初期段階から設計品質を高める「フロントローディング」が可能になったのです。

複雑な形状や局面のデザインがしやすい

設計初期から構造が把握しやすく、幾何情報の算出も簡単であることから、複雑な形状やデザインがしやすいということがわかるかと思います。

複雑なデザインは、形状だけでなく構造物としてしっかりと機能するか計算しなければいけません。平面製図だと計算が困難です。3D CADを用いることで、幾何情報をすぐに計算できるため、構造物としての機能面もすぐに算出可能。こうしたことを背景として、現在ではより複雑なデザインの製品が増えている、と推測されます。

試作品(プロトタイプ)製作が簡単

多くの場合、構造物の製作では試作品を作成します。2Dによる製図で試作品を作成する場合、試作業者は「図面読取・加工方法の検討・加工データの作成・加工」という4つの工程を行っていました。3D CADでは加工以外の作業が必要ないため、試作品を短い時間で作成することが可能です。

特に近年では、3Dプリンターの普及が盛んになっています。3Dプリンターなら、3Dデータさえあれば誰でも立体物の作成は可能。低価格化が進み、あまり資金力のない事業所でも導入できるようになれば、試作品の作成はより容易になっていくと期待されます

3D CAD導入時のポイント

この項では、3D CAD導入時のポイントについて3つ紹介します。

効果・ゴールの明確化

「3Dの導入によって、どのような効果を得たいか」を明確にしておきましょう。3Dの導入によって期待する効果は、主に「設計スピードの向上、ミス防止、品質向上」などであると思われます。これらの効果を得るにはまず、使用者全員が3D CADの扱いに馴れなくてはいけません。

そのために企業は、社員たちへ適切な教育を施したり、さまざまな講習会で使用方法を学んでもらったりする必要もあります。3D CADを扱える人材育成を、しっかりとプランを立てて行いましょう。

役割の明確化

3D CADを導入した後、業務プロセスが実際にどのように変化するか、確認しましょう。
例えば、これまで2D CADを使っていた場合、「すべての環境を3D CADへ変えるのか・一部の作業のみを3D CADへ変更するのか」、また「一部であればどの社員を新たに配置するのか」など、細かな想定をしておく必要があります。

これまでの業務内容が大きく変わることもあるため、作業全体の変化を検討しなければいけません。

運用の明確化

運用を明確にするには、適切な評価が重要です。あらかじめ誰が、どの時期に3D CADの導入による効果を判断するのかを明確にしておきましょう。その上で、運用を継続するかどうかを裁決します。

特にここでは、KPI評価が活用できるでしょう。「重要業績評価指標」とも呼ばれるKPIは、目標達成までのプロセスを達成度合いとして評価します。

例えばしばしば、計画自体は立てっていても、目標達成プロセスについての評価が疎かなことがあります。KPI評価は、適切なタイミングで、プロセスのどこまでが現状で達成されているのかを、適宜評価します。これにより、計画全体の目標達成を確たるものとするのです。

まとめ

かつては2D CADが広く使われていましたが、現在の主流は3D CADです。
3D CADは、2D CADとは異なり、設計図を必要とせず、最初から3Dモデルとして構造物をデザインすることが可能です。

また、あらゆる角度からデザインを確認できるため、ビジネスにおいても専門的な知識のない先方にもわかりやすくプレゼンができます。当記事で解説したメリットを認識し、その使用方法を社員に習得してもらえば、企業の大きな戦力となるでしょう。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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