5Gはこれからのスポーツ中継、映像技術をどう変えるのか?

 2021.03.26  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

新しい通信基盤技術規格である5Gの特徴と、スポーツ中継に用いられる映像技術の種類や課題を紹介します。その上で、5Gによって実現可能性が高まっているVRおよびARといった映像技術についても触れていきます。

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5Gのテクノロジーがスポーツ中継をどのように変えるのか

5Gは、「超高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」という特徴を持ち、スポーツ中継を大きく変えることが期待されています。また、オリンピック開催に伴い、5Gを活用した様々なサービス展開が考えられます。

例えば、遠隔地であっても臨場感のある試合を見ることも可能でしょう。スポーツ中継がどのように変わるのかを注目しておくことが大切です。

5Gの特徴とは

5Gの特徴は、「超高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」の3つです。

「超高速・大容量」とは、現在の移動通信システムよりも100倍程度速いブロードバンドサービスです。例えば、2時間の映画を3秒でダウンロードする程度の速さだと言われています。

「低遅延」は、利用者が遅延(タイムラグ)を意識せず、リアルタイムに遠隔地の情報を得たり、操作したりすることを指します。

最後に、「多数同時接続」とは、スマートフォンやパソコンなど身近なあらゆる機器がネットに接続されている状況を指します。

これらを同時に実現する新しい基盤技術が5Gです。

スポーツ中継における映像技術の種類

スポーツ中継では、通常の映像撮影だけでは把握しづらい状況が多々あるため、状況を分かりやすく効果的に伝えることを重要視しています。そのため、動きを解析して競技能力の向上に用いることを目的とした映像技術・情報処理技術が開発されています。

ここでは、スポーツ中継における映像技術をいくつか紹介します。

被写体位置計測技術

被写体位置計測技術には、画像解析による技法、ドップラーレーダーによる技法、RFIDを活用した技法などがあります。

画像解析による技法は、センサーカメラによって選手やボールの位置を撮影します。カメラの台数や配置は競技によって異なることが多く、主にサッカーのゴールライン判定などに活用されています。

ドップラーレーダーは、ボールなどの位置や速度を計測できます。計測はレーダー波の周波数を利用しており、ゴルフでの軌跡表示などに活用されています。

RFIDを利用した手法は、ボールなどにRFID(RFタグ)を埋め込み、アンテナで受信することで位置を特定するという手法です。加速度計などを付加すると、選手の姿勢や心拍などの情報を取得できます。

パフォーマンスの影響によっては、利用が制限されることを把握しておきましょう。

スポーツにおいて、ボールや選手の位置を特定することは、極めて重要です。練習や試合で計測を行い、取得したデータをフィードバックして、選手の状況やフォーメーションの分析に用いることで、選手の技能向上や視聴者への競技の理解・関心を高めることができるでしょう。

姿勢情報を取得による活用技術

選手の姿勢情報は、あらゆる競技におけるフォームの確認や、体操・フィギュアスケート・飛び込みといった採点競技の評価において重要です。

姿勢情報を取得するためには、選手の各関節にマーカーを装着し、複数のカメラで取り囲んだ領域で動きを撮影して解析する、光学式モーションキャプチャーなどが用いられます。

この方法は、実際の競技フィールドでの適用が困難で、選手のパフォーマンスにも制限がかかるので、近年は撮影した映像から選手の姿勢を推定する手法も提案されています。

多視点映像活用の技術

スポーツ競技では、選手やフィールド全体の動きを一方向ではなく、様々な視点や向きから観察したいという要望があります。これに対して、被写体を取り囲むように複数のカメラを配置して同時に撮影した映像を処理する方法が取られます。

これによって、ある瞬間のプレーをより詳細に、分かりやすく伝えることが可能になります。

不可視化情報の可視化技術

ボールの軌跡やフォーメーション等の直接映像に写らない情報(不可視情報)を可視化することは、競技全体の動きを理解する上で重要です。

例えば、サッカーにおけるオフサイドラインやパス可能領域は、選手の位置情報を利用して算出した情報を、カメラの姿勢や画角と整合を取って、CG描画して映像に合成しています。

これからのスポーツ中継における課題とは

映像技術を実際にスポーツ中継に適用する場合の課題を2つ紹介します。

1つ目は、公式試合ルールの制約です。公式試合では、多くの競技で用具の素材・大きさ・形状・重量の制約があります。これらの制約は、計測を目的とした選手やボールへの器具装着を制限します。

2つ目は、高精度化と処理時間とのトレードオフ関係です。スポーツ中継では、高精度な映像処理をほぼリアルタイムに行い放送することが求められますが、その両立が課題となります。

一般に、高精度の映像処理を行うには処理時間を要し、逆に処理時間を優先して映像処理を簡略化すると精度が低下します。

スポーツ中継と映像技術の可能性について

スポーツ中継には、公式試合の競技ルールと競技進行という時間の制約の中で、高精度な処理が求められます。ここからは、5Gの特徴である「超高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」によって実現可能性が高まっている様々な映像技術について紹介します。

スポーツ中継とVR

「VR」とは、Virtual Realityの略語で、仮想現実を意味します。映像や音声などを用いて、人の視覚、聴覚、触覚などを刺激し、仮想世界をあたかも現実世界のように体験できるようにする技術です。

VRの例として、専用のゴーグルを装着し、ゴーグル内のモニターを見ることで仮想現実を体験できることが挙げられます。

VRをスポーツ中継に適用すると、VR空間内に疑似観客席をつくり、あたかも現地で観戦して目の前で選手がプレーしているような臨場感と迫力のある体験をすることが可能になるでしょう。

現地観戦では通常、チケットを取った自席でしか観戦できませんが、VR観戦ではスペースの制約が無いため、自由な座席移動も可能になります。

スポーツ中継とAR

「AR」とは、Augmented Realityの略語で、拡張現実を意味します。現実の風景に対して、情報を付加・合成して表示する技術のことです。

競技中のライブ映像に選手の動きと連動したスタッツデータ(選手の成績やプロフィール、解説情報)をリアルタイムで映像に合成することが可能になります。

また、アプリケーションにより、自宅内の机の上などで競技フィールドや選手の動き・ボールの軌道を3Dモデルで再現して、競技を観戦できるでしょう。

まとめ

「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という特徴を持つ5Gを活用することで、スポーツ中継に様々な変化が起こるでしょう。現地へ行かなくても現地にいったような臨場感と迫力が得られ、現地観戦ではこれまで以上に盛り上がることができるようになります。

5Gによって、スポーツ中継や映像技術がどのように変わるかを把握しておくことをおすすめします。


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