人工知能で自動化する製造業の新しい「ものづくり」、結局AIで何ができるのか?

 2019.12.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年、製造業におけるAIの導入が進み、IoT技術(モノのインターネット化)との相乗効果もあり、さまざまな成功事例が見られるようになりました。これらの技術の導入を検討する場合、製造業が抱える課題に対してAIがどのように役立つのかを理解することが大切です。AI技術を有効的に取り入れ、生産性の向上を図りましょう。

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製造業界が抱えている問題

現在、製造業界はさまざまな問題を抱えています。
人手不足や従業員の高齢化が進み、それに伴って次世代を担う若手の人材も徐々に減少してきています。これにより、工場の安全性を保つことはもちろん、ベテラン従業員が蓄積してきた貴重な技術力・ノウハウを次世代に継承したり、外国人を含めた多様な人材を有効活用したりすることが、もはや喫緊の課題となりつつあります。限られた人数で、いかにして安全性・効率・コストを意識した事業運営を行うかが、製造業界全体に問われているといっても過言ではありません。

また、事業のグローバル化や競争環境の急速な激化も、大きな問題として浮上しています。製造業では、効率性を上昇させて高い品質を追求しながら作業に取り組む必要があります。例えば作業ミスが発生している現場では、よりチェックや指導体制を強化することが急務です。しかし、先述の人材不足との関係もあり、これらの体制が十分に機能していない例は少なくありません。その上、競争の激化によって複雑な業務プロセスでの稼働が増え、ミスが多発するような状況が生まれ、結果として生産性の低下を招いているのです。こうしたケースでは、早急な業務改革が望まれます。

このような製造業の現場において、現在普及が拡大しており、なおかつ今後もさらに活躍が期待されているのがAI技術です。AI技術の導入により、生産性の向上や安全性の確保といった具体的な成果が挙げられたことで、製造業における諸問題に解決の兆しが見えてきたといわれています。

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AI活用で解決できる製造業界の課題

さらなる普及と発展が期待されるAI技術ですが、これらが製造業界の抱える課題に対し、いったいどのように役立つのでしょうか?AI導入によって解決が見込まれる例を知り、ケースごとにどのような影響がもたらされるのかを把握することが大切です。

不良品の発生や異物混入

ai-case-2AI技術は、不良品の発生や異物混入などの問題に対して有効です。

製造業のうち、特に工場現場では人手による作業が数多く存在します。マニュアルを厳格に定めたり、一人ひとりの意識徹底を図ったりすることで、ミスを防ぐ取り組みを行っている現場もあるでしょう。しかし、あくまで人が作業を行う以上、ヒューマンエラーを排除するには限界があると考えなければなりません。ミスを完全になくすことは難しく、作業忘れやミスを防ぐ仕組み作りが大切です。

AI技術を導入すれば、作業員の様子を常時モニタリングし、定められた手順と異なる動作があれば異常として検知します。アラートを設定することで、作業漏れや手順の誤りを確実に防止し、不良品の発生を抑えます。また、製造トラブルが発生した場合であっても、作業の状況を記録できるため、原因の分析が可能です。そのほか、過失だけでなく故意の異物混入なども監視して、事故の発生リスクを未然に検知します。

不安定な製造品の品質

ai-case-1製造品の品質が安定しない問題に対しても、AI技術は効果を発揮します。

品質の一貫性は、特に工場にとって重要な課題の一つです。工場のラインでは、経験年数もスキルも異なるさまざまな人が、検査業務や組立業務に当たります。なかには、食品のように外観検査による合否の基準があいまいな製品もあり、一貫性を保つためにある程度の労力や経験が必要です。作業員の人的作業に頼ることも多いため、その時々の調子や疲労度合いによって作業能率が変動するリスクもあります。結果として、品質にばらつきが生じてしまうのは避けられないのが実情でした。

AI技術を用いれば、このような人手による検査業務も支援可能です。従来は人の目で確かめていた良品・不良品チェックも、AIに代行させることで大幅な人員削減が期待できます。複数の部位や製品を扱う現場であっても、AI技術が役立つでしょう。人間のように疲労によってパフォーマンスが低下したり、作業員の習熟度によって基準のばらつきが生じたりといった課題も解消されます。

手間がかかる検品作業


ai-case-3AIであれば、手間のかかる複雑な検品作業であっても、画像診断技術によって高速処理できます。

製造業において、検品作業は欠かせない工程です。不良品を出荷したり、製品の部品が不足した状態のまま市場に出回ったりすると、回収や再発送に手間と費用がかかるだけでなく、メーカーとしての信頼も大きく損ないます。それを防ぐためにあるのが検品工程ですが、人による目視の検査の場合、膨大な作業負担が発生するほか、ヒューマンエラーの可能性も完全には排除できません。

AIの画像診断技術は、このような課題にも対処が可能です。部品や付属品を含むセット製品を対象とするような複雑な検品であっても、AIの画像認識であれば、あらかじめ学習させておくことで瞬時にチェックが完了します。品番の相違や商品点数の違い、付属品の同梱忘れなどのミスを防止できるのです。AIにより手間を大幅に削減しつつ、安定したクオリティで検品を高速処理できるのがメリットです。

ヒューマンエラーによる事故

ai-case-4製造現場ではしばしば、ヒューマンエラーに起因する重大な事故が発生することがあります。AI技術は、そうした事故を防止するためにも活用できます。

製造現場には、作業者のケガや死亡につながるさまざまな危険が潜んでいます。例えば、ベルトコンベアやプレス機といった大型機械、フォークリフトなどの動力運搬機、そのほかにも高熱・電気・有害物質など、至るところで細心の注意を払う必要があります。これらは扱い方を誤ったり、少しでも注意が散漫になったりするだけで重大な事故に発展しかねません。

AIで常時工場をモニタリングすれば、このような事故が発生する可能性を大幅に抑えられます。例えば、危険区域への立ち入りや不適切な運転を察知し、警告を発します。また、深層学習によって、危険予知の精度の大幅な向上が見込まれます。表示の見落としなどのうっかりミスを未然に防ぎ、安全な環境作りに大きく貢献してくれるのです。

最適条件の予測

ai-case-5AI技術は各種作業の最適なオペレーションを、過去データの分析結果をもとに予測します。

製造現場では、各種工場機械の操作はもちろん、ときには建設機械のような大掛かりなものまで扱う工程もあります。このような作業は、熟練した作業員なら勘や経験によってコツを掴んでいるためスムーズに運用できますが、慣れていない作業員では非効率となってしまい、時間もコストも余計に費やしてしまうものです。

AIは、このようなさまざまな工場機械や建設機械の操作についても、機械学習によって蓄積されたデータから最適値を計算します。従来では熟練工でなければ適わなかったような複雑な方法でも、過去のデータをもとに再現することが可能です。業務効率のアップや作業品質の安定化につながります。

外国人従業員とのコミュニケーション

ai-case-6AI技術は、外国人従業員とのコミュニケーションもサポートし、円滑なやりとりを実現させます。

製造業にとって、外国人とのコミュニケーションは切っても切り離せない課題です。人手不足によって外国人労働者の採用が増加しているのも理由の一つですが、企業の海外展開を考える上でも、現地スタッフとやりとりをする必要があります。言語の壁を乗り越えるために、企業は早急な対策が求められている状況です。

AIは、言葉のやりとりについても過去データをもとに学習し、高機能な翻訳能力を提供してくれます。製造現場特有の専門用語や、感覚的で言語化しにくい作業のコツなどであっても、AIであれば自動で学習し、高精度の翻訳によってタイムラグなく的確に意図を伝えられます。言語の壁を越えて円滑なコミュニケーションが可能となり、作業効率の向上や良好な人間関係の構築に役立つのです。

実用化が進むAI技術

AI(Artificial Intelligence/人工知能)の大きな特徴は、「新たな事象を次々と学習して、精度や対応力を向上させること」にあります。 決められた作業を反復するプログラムと違い、学ぶことで状況に応じた判断ができるようになり、短期間で熟練工並みの能力を持つことも可能なのです。

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深層学習による 画像認識は不良品の判別に貢献

大量の画像データを読み込み学習 することで、良品・不良品の違い などを習得します。

活用シーン例

製造設備の異常検知、製造レーンの 予知保全、生産工程においての物体 検出・検知、製品の不良検査、安全 支援、侵⼊検知・監視等

深層学習による ⾳声認識は リアルタイム 翻訳に貢献

大量の⾳声データを処理することで、 方言や言い間違いなども 正しく認識・翻訳します。

活用シーン例

外国人研修、現場での作業指⽰、マニュアルの自動翻訳等

機械学習による データ予測はオペレーション最適化に貢献

膨大な数値データから、製造設備 などの「最も効率的な稼動方法」 などを予測します。

活用シーン例

機械オペレーションの自動化、製造 機器の最適条件の予測、故障予知に よるメンテナンス時期の最適化、マ シンのダウンタイムの削減等

まとめ

製造品の品質の安定化やヒューマンエラーの防止、外国人とのやりとりなど、製造業が取り組むべきさまざまなテーマに対して、AI技術は効果的な解決策をもたらしてくれます。AI技術は今後、さらなる発展が見込まれる分野です。これから導入を検討する際は、過去の導入事例やセミナーなどを参考にして、自社に合った方法を模索しましょう。

Factory of the FutureAIで自動化する、製造業の新しい「ものつぐり」

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