異常検知とは?製造業の課題を機械学習で解決

 2019.12.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

異常検知は製造業において対応方法に頭を悩ませる課題の1つです。工場ラインの停止や機械設備の故障は1度発生してしまうとダメージが大きいため、なるべく早い段階で異常を察知し、スピーディに対応したいものです。AIの機械学習が異常検知にどのように役立つのかについて知れば、自社の問題解決の糸口となるでしょう。

anomaly-detection

異常検知とは

異常検知とは、データセットの中で、他のデータパターンや標準的なパターンとは異なるイベントやアイテム、観測結果を識別する技術を指します。異常検知は、AI(人工知能)を使った技術の1つであるデータマイニングを利用して行う技術です。大量のデータをAIに読み込ませ、相互の共通点や相違点などを比較分析し、パターンを学習させることで実用的な精度にまで向上させていきます。

主に、Webサービスの不正アクセスや金融機関の不正利用などを防止する目的に利用されたり、工場の稼働データの中から異常値を検出して、不具合や故障を検知する目的で使用されたりします。大量データの収集・蓄積が可能で、データマイニングによる分析が実施しやすい環境下で応用しやすい技術です。

異常検知には、いくつかの手法があり、それぞれメリットとデメリットがあるため、ケースによって最適な手法を選択する必要があります。

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異常検知の手法

異常検知には、外れ値検知・異常部位検出・変化点検知という3つの手法があり、それぞれ活用されるシーンが異なります。各々の特徴を理解するのが大切です。

外れ値検知とは、標準的なモデルに基づいてデータを比較し、期待されるパターンとは異なる結果が観測されたときに検知する手法です。正常値の基準としては、過去のデータマイニングなどの結果から統計的に定められたモデルを仮定することが一般的です。例えば、為替レートや先物商品相場などが、普段であればありえないような動きをしている場合に、それを把握するために活用されます。また機械のモーター音の異常を、外れ値検知によって検出するといった場合にも有効です。

異常部位検出とは、これまでとは違う動きが発生したときに、異常がある部分時系列を検出する目的で使われる手法です。例えば、心電図でモニタリングしている心拍の不調や、工場設備の故障などを察知するために使われます。

変化点検知とは、予測モデルから大きく外れた動きを見せた際に、変化した時点を検出する手法です。例えば、Webサイトのアクセスなどが普段よりも急激に上昇・下落した時期を把握する目的に適しています。

機械学習の種類

異常検知に役立つAIですが、機械学習、中でもディープラーニングの技術が決定的に重要とされています。機械学習には「学習方法」「統計学」「アルゴリズム」の三角関係があるとされており、その意味を知るとより深い理解につながります。最近では機械学習用の数理モデルを作成できるライブラリなども公開されるようになってきました。3種類の機械学習法の特徴や違いを理解し、異常検知システムの構築に役立てましょう。


教師あり学習

教師あり学習とは、学習に用いるデータをあらかじめ「正解」「不正解」と区別しておき、「正解」データにラベリングをしておく学習モデルです。

例えば、さまざまな画像データの中から、故障している、あるいは故障の可能性が高いデータを検出したい場合を考えましょう。このとき、あらかじめ正常なデータと、異常なデータの両方を区別して何が異常データなのかをAIに示してから学習させます。

学習は何度も繰り返すことが必要で、なおかつ、大量のデータを用いて学習させなければなりません。度重なる学習の結果、判別の精度が許容範囲内にまで向上すればトレーニングを終了させます。実用では、精度の高いトレーニングが完了すればそのまま人間の代替をさせることもありますが、あくまでも「異常を断定するためのもの」ではなく、異常の可能性があるものとそうでないものをふるい分けるシステムです。最終的には人間の判断が必要なケースも発生します。

この「教師あり」の手法は、機械にあらかじめ正解・不正解を判別するアルゴリズムを与える仕組みです。異常検知システムのように「異常かそうでないか」というシンプルな分類をしたい場合には、高い精度を実現しやすい特徴があります。

半教師あり学習

半教師あり学習とは、教師あり学習のように正解ラベルのデータを与えるものの、その量はわずかで、少量の教師データをもとに学習させる手法です。半教師あり学習は、教師あり学習と教師なし学習のよいところ取りの手法といえます。

先述の通り、教師あり学習はあらかじめ機械に正解データを与えておいて、それを分類するためのトレーニングを行うという手法でした。これは、正解・不正解の判別をするうえでは高い精度が実現できますが、ラベルがないものは分類ができないというデメリットがあります。

例えば、分類を「異常」「正常」という2種類のみで学習させれば、その中間である「異常の可能性あり」といったグレーなものは検知が難しいのです。

一方、教師なし学習は、通常の分類の枠には収まらないような意外なパターンが検出できる可能性があります。一方で、「異常」「正常」といったラベリングは機械に委ねるため、必ずしも異常検知に適した機能になるとは限らない点は覚えておく必要があるでしょう。

半教師あり学習は、教師あり・教師なし学習のデメリットを克服し、ある程度は人間が指示を与えて機械のコントロールをしながらも、機械に自由度も与えて長所を引き出すという考え方です。これにより、異常検知では「異常」「正常」といったラベルに収まらない識別パターンが生まれることが期待できます。

強化学習

強化学習とは、教師あり学習や半教師あり学習のように、あらかじめ正解が与えられる手法とは全く異なり、人間が正解を与えないで機械に学習させる手法です。これは、人間が正解を理解していない場合であっても、機械に学習させる結果として、人間が思いつかなかったような成果を生み出す可能性を秘めています。

強化学習では、人間が正解を与える代わりに報酬を設定します。機械は報酬が最大化するように行動し、その結果を自ら学習するようになるのです。それを何度も繰り返すことによって、報酬を最大化するためのパターンを学習していきます。つまり、人間があらかじめラベリングしなければならない教師あり学習とは異なり、人間は学習に用いるデータと報酬の設定を行えば、あとは機械が自ら賢くなっていく画期的な方法とされています。

この強化学習は、「異常」「正常」を厳密に分類する必要がある異常検知の場面で用いられることは、さほど多くはありません。異常検知に用いるのであれば、異常があるデータと正常なデータを与えて学習させるだけで、データが異常かどうかの識別をできるようにするといった使い方が考えられます。

AIを活用した異常検知の注意点

AIは異常検知の精度を飛躍的に向上させるツールではありますが、最大限活用するには、いくつかの注意が必要です。

まず、膨大な量のデータを確保しなければなりません。機械学習では与えられたデータをサンプルとして、特定のパターンを発見しようとします。仮にデータ量が少なければ、少量のサンプルのパターンだけに依存した極端な判別方法となってしまい、実用では使い物にならない場合があります。画像認識で「顔の検出や顔認識を行う」といった、人間にとっては簡単と思えるような事例であっても、機械学習では数十万単位のデータが要求されます。

また、利用者自身がシステムを十分理解していなければなりません。機械学習による異常検知では、「どのようなデータサンプルによって学習してきたものなのか」、その結果「何が可能で、何が限界なのか」などを知っておく必要があるのです。機械学習は利用者が特性と正しい使い方を十分に理解しすることで、最高のパフォーマンスを発揮します。

まとめ

機械学習は異常検知において大きな効果を発揮し、異常と正常の判別を高精度かつスピーディに実行できる可能性があります。AIの汎用性が高まり、機械学習の精度も向上した今、製造業を支える解決策として有効な選択肢の1つになり得るでしょう。

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