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小売事業者がおさえておきたい行動心理学10選

最近何かと耳にすることが多い「行動心理学」。こちらの記事では、小売業者がおさえておきたい行動心理学について紹介します。店舗の陳列方法の工夫やマーケティングの戦法として活用できるものばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

小売事業者がおさえておきたい行動心理学10選

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顧客を惹きつける「行動心理学」とは

マーケティングにおいて活用されることが多い「行動心理学」。そもそも行動心理学とは、人の行動に着目し、人間の行動や仕草から人の心を読み解く学問です。データに基づき人間の心理を分析するので、仕事や恋愛などの様々な分野で応用が利くといわれています。

小売事業者のマーケティングに活用したい行動心理学10選

小売業などのマーケティングで活用できる行動心理学は沢山あります。様々な研究結果から、統計的なデータに基づく行動心理学は、消費者に向けて購買を促したり、サービスの利用を促進したりするために非常に有効とされています。

それでは、小売業者のマーケティングで活用できる行動心理学を見ていきましょう。顧客の心理に呼びかけ、効果的な広告を打ち出したり、陳列を工夫したりするなど、活用できる場面は多岐にわたるので、小売業者の方はマーケティングに有効な行動心理学をいくつかおさえておく必要があります。ここでは、そんな様々な場面で活用できる行動心理学を一挙に紹介します。小売業の販促担当の方や店舗の責任者の方など、「売上を伸ばしたい」「顧客にもっとサービスを利用して欲しい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.返報性の原理 

マーケティングに活用したい行動心理学としてまずご紹介するのは「返報性の原理」です。これは、人に何かをして貰ったとき、知らず知らずのうちに相手に何かお返しをしてあげたくなるという心理作用を指します。

行動心理学の中でも、返報性の原理は恋愛で活用されることが多く、「好意の返報性」という言葉を一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

恋愛のシーンでは、よく気になる異性に対してプレゼントをしたり好意的な態度を取ることによって、「好意に対して何かお返しをしなければ」という気持ちを働かせ、意中の相手の気持ちを自分へと向ける手段として用いられることがあります。

ビジネスシーンで活用できる返報性の原理といえば、食料品売り場の試食販売などが例に挙げられます。試食販売員から実際に試食を勧められることによって、「試食を貰ったのだから何かお返しをしなければ(買わなければ)」という心理が働くため、試食販売の有無は売上に大きく影響するのです。

2.バンドワゴン効果

バンドワゴンとは、楽隊などの先頭で楽器を鳴らして楽隊を先導する車を指します。その語源にちなみ、「多くの人が支持するものは、さらに人気が高まる」という行動心理を「バンドワゴン効果」というのです。

このバンドワゴン効果によって、テレビCMなどでよく紹介される商品に人気が出たり、「〇人が選びました!」などのキャッチコピーの商品が売れたりするといわれています。

常に行列の絶えないレストランなどを見掛けると、「きっとこのお店の料理は美味しいに違いない」と思う方は多いのではないでしょうか。

近年では、食べログなどのグルメサイトやグーグルの口コミなどを参考にしてお店選びをする方が多いですが、星の数や口コミなどをチェックしてお店を選ぶ行為もバンドワゴン効果によるものといえるでしょう。

3.スノッブ効果

バンドワゴン効果とは正反対の行動心理が「スノッブ効果」と呼ばれるものです。バンドワゴン効果が多数の人が支持するものに人気が集まるという行動心理であるのに対し、スノッブ効果は人が持っていない希少価値の高い物を求める行動心理を指します。

人間は、人気のあるものは良い物と認識する一方で、人とは違うものを手に入れることによって他者から注目されたいという自己顕示欲も持ち合わせています。

したがって、多少高価であっても他と違う商品や限定品などの希少価値が高い商品に人気が集まるのは、スノッブ効果によるものといわれています。

一見、バンドワゴン効果とスノッブ効果は矛盾する行動心理のように思えますが、安定を求めるバンドワゴン効果と、他者との差別化を図り自己顕示欲を満たそうとするスノッブ効果は、どちらもマーケティングにおいて成立する行動心理といえるでしょう。

4.プロスペクト理論

「プロスペクト理論」は「損失回避の法則」と呼ばれることもあり、得をすることよりも損することを避けたいという感情の働きを指します。

仮に以下のような選択肢があった場合、多くの方は2を選ぶのではないでしょうか。

1. 50%の確率で3,000円が貰えるが、残りの50%は何も貰えない。

2. 必ず2,000円が貰える。

しかし、以下の選択肢のどちらかを選ばなければならない場合、プロスペクト理論に基づいて考えると、多くの人は2を選ぶでしょう。

1. 必ず1,000円を損をする。

2. 50%の確率で損をしないが、50%の確率で2,000円損をするかもしれない。

プロスペクト理論では、できるだけ損失を避けようとする心理が働きます。小売業で活用する場合、顧客が損をする可能性や損をする額を少なく見せることで、売上アップを目指すことができるでしょう。

5.アンカリング効果

「アンカリング効果」も小売業では頻繁に活用されている行動心理のうちの1つです。これは、最初に受けた情報や印象が物事を判断するときの基準になるという心理的効果を指します。

例えば、スーパーなどで値引き前と値引き後の金額がどちらも表示されている陳列棚を見掛けたことはないでしょうか。そして、元々1パック500円程の牛肉が300円程度にまで値下げされていたら、「これはお得」と考えて購入する方も多いはずです。このアンカリング効果は、スーパーの食料品売り場だけでなく服飾店やアイテムショップなど様々な場所で利用されており、すぐに現場のマーケティングに活用できる行動心理といえるでしょう。

6.ザイオン効果

マーケティングに活用できる行動心理の中で忘れてはならないのが、単純接触効果とも呼ばれる「ザイオン効果(ザイオンス効果)」です。

例えば恋愛において、最初はあまり興味のない相手でも毎日顔を合わせるなど接点を多く持つことによって、次第と好感を持つようになるケースがあるでしょう。このように、対象との接触機会が多ければ多いほど親近感が湧くようになる心理的効果を、ザイオン効果と呼ぶのです。

マーケティングへの活用例としては、独特のメロディやキャッチコピーのCMが挙げられます。誰しもが1つは頭に思い浮かべることができるようなCMは、何度も繰り返し流れるうち、そこまで興味がなかった商品にも次第と親近感が湧くように作られています。店内や売り場で、商品に結びついた歌を流すといった方法により、購買意欲の増進が期待できるでしょう。

7.ウィンザー効果

「ウィンザー効果」とは、利害関係者から直接伝えられた情報よりも第三者を通して伝えられた情報のほうを自然と信頼してしまう心理的効果をいいます。

マーケティングにおいても、商品を販売している企業が「この商品は〇〇という点で優れている」と宣伝するよりも、その企業に関係のない第三者が商品を評価するほうが信頼されやすく効果的だといわれています。

最近話題のインフルエンサーマーケティングは、このウィンザー効果を利用したものとされており、インターネットを使って多くの見込み客に商品を宣伝することができます。

8.ハロー効果

「ハロー効果」の「ハロー」は、後光や光の輪を示す英単語の"halo"から来ています。その語源の通り、1つの特徴に印象が引っ張られてそのもの自体が良く見える心理的効果をハロー効果というのです。

例えば、商品のCMに企業が好感度の高いアイドルや芸能人を起用するのは、このハロー効果を狙っているからだといわれています。アイドルや芸能人がその商品と無関係であったとしても、人気芸能人が後光の役割を果たすことにより、商品そのものまで自ずと魅力的に感じられるという仕組みです。

ハロー効果は、テレビCMだけでなく、キャッチコピーなどでよく見かける「有名モデル〇〇も絶賛!」などの謳い文句でも活用されています。

ただし、この効果は好感度を高める方向だけでなく、マイナス方面に作用することもあります。宣伝に起用した芸能人の不祥事により商品のイメージまで下がるのが典型例です。ハロー効果を活用する際には気をつける必要があるでしょう。

9.おとり効果

多くの企業がマーケティングの戦法として活用している「おとり効果」とは、見劣りする選択肢(おとり)が含まれていることで、それ以外の選択肢を選びたくなる心理的作用をいいます。

おとり効果の活用例として、商品・サービスの料金設定をする際に、明らかに他よりも劣った条件の価格設定を1つだけ選択肢に混ぜるという手法が挙げられます。この劣った条件の価格設定が「おとり」となり、それ以外の選択肢が良いものに見えるわけです。

例えば、雑誌などの定期購読の際に以下のような選択肢があった場合は、おとり効果が用いられている可能性が高いといえるでしょう。

・オンライン版のみ 1か月3,000円

・紙媒体のみ 1か月5,000円

・オンライン+紙媒体 1か月5,000円

このような場合、紙媒体のみの購読が明らかに劣った選択肢となっています。そのため、オンライン+紙媒体が得に感じられ、選ぶ客が1番多くなる傾向があります。

10.ピークエンドの法則

最後に紹介するのは、「ピークエンドの法則」です。これは、人間が何かを経験するときには、「感情のピーク時」および「経験の最後」に感じたことによって、物事を判断するという法則を指します。

顧客が商品を良い印象で購入したタイミングがピークエンドの法則における「ピーク」だとすると、購入後のアフターケアが「エンド」に当たると捉えられます。そのため、できるだけ良い印象で商品・サービスを購入していただいた後に、手厚いアフターサポートを行うことが、顧客がリピートしたいと思うきっかけになるといわれています。

まとめ

今回は、小売業で活用できる行動心理学を紹介しました。行動心理学はいまや様々なマーケティングの手法に用いられており、商品の購買にも密接に影響するといわれています。小売業者の方も、ぜひ行動心理学を活用して売上アップを目指してみてはいかがでしょうか。

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