国土交通省のBIMガイドラインをわかりやすく解説

 2021.04.09  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

国内ゼネコンで導入されているBIMは、建設現場の生産性向上に有効です。今回の記事では国土交通省が改定したBIMガイドラインを取り上げます。ガイドライン導入で期待される効果と、ガイドラインの総則、設計業務編、工事編の3部構成のポイントについて、要約して解説します。

国土交通省のBIMガイドラインをわかりやすく解説

BIMとは

BIMとはBuilding Information Modelingの略で、「建物の建設前にコンピュータ上に3次元のデジタルモデル(BIMモデル)を作製し、建物の基本情報など建築物のデータベースを情報活用すること」です。

これは、業務効率化を図れる新しいワークフローです。BIMモデルには建材パーツの幅や奥行き、高さ、設備機器の品番や価格などの情報から、組立の工程や日数も登録可能で、メンテナンスや資材管理に活用できます。

すべてのデータを連動させているため、設計変更があっても平面図や断面図、立体図、パースなどが自動的に修正されます。従来の3DCADは平面図の作製後にCGで3次元モデルを作製することが主流で、設計変更がある場合は平面図の修正からやり直しが必要でした。BIMは3次元設計から始めて自動でデータを修正し、設計やコスト、仕上げなどすべての建築情報を一元的に管理できるので、業務効率を高め、生産性を向上させます。

国土交通省はBIM導入の効果や課題を検証するため、平成22年以降の官庁営繕事業のうち3件の事業で試験的な導入を行いました。その結果を取りまとめ、平成26年に「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作製及び利用に関するガイドライン」を公表しています。さらに建設現場のICT(情報通信技術)活用を推進するため、平成30年にBIMガイドラインを改定しました。

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国土交通省のBIMガイドラインの導入で期待される効果

国土交通省のBIMガイドラインを導入すれば、BIMを利用する意図をより詳細に知ることができます。ガイドラインでは各種シミュレーションや建物の内外観、部材の取り付け具合などを可視化し、手戻りや不具合の干渉チェックなど技術的な検討の具体例を参照できます。BIM導入方法を試行錯誤せず、効果を実感することも可能です。また、柱や梁などBIMモデルの代表的な作製例や、詳細度の目安が紹介されているため、初めてのBIMモデル作製もスムーズに行えるでしょう。

BIMガイドライン(総則)について

BIMガイドラインは3部構成になっています。まず、総則について要約して解説します。

目的と適用

BIMガイドラインは官庁施設の建設・修理事業の設計や工事業務において、BIMモデルの作製や利用を能率よく進めるために、必要となる基本的な考え方、注意点を明らかにします。また、設計・工事の品質を保ち、生産性を向上させることが目的です。

BIMガイドラインは、「官庁における建築・修繕工事発注者の指定」や「受注業者による設計・工事技術提案」の際に、BIMモデルを用いるときに適用します。また、完成図などを作製したり、確認を受けたりする場合にも適用します。

受注業者が自ら建設プランの検討や調整でBIMモデルを作製し、用いる場合は、BIMガイドラインの目的から外れないようにします。また、受注業者がBIMモデルの作製・利用により、技術的な検討を行ったり、完成図などを仕上げたりする場合もBIMガイドラインの適用対象です。

設計業務編と工事編に分かれており、設計や工事の契約時に必要となる、設計仕様書や工事の設計図書に基づく適用基準なども定めています。

BIMモデル作製に係る利用方法

発注者からBIMモデルの利用を指定される場合や、受注業者が設計・工事技術の説明で必要なBIMモデルや完成図を作製する場合は、その内容や実施方法、作業体制などについて発注者と協議します。実施方法にはBIMソフトウェアや解析ソフトウェアの製品名、バージョンなどが含まれます。BIMモデルは発注者が指定したり、受注業者から技術提案などのために作製したりする場合も対象です。

例えば発注者が建築物の特定箇所をBIMモデルで作製・利用したいと要望したり、受注業者が自社の技術提案のため、BIMモデルを一部作製して用いたりするケースがあります。企画・提案内容で業者を選定するプロポーザル方式や、入札価格と技術提案を点数評価して落札業者を決める総合評価落札方式では、BIMモデルを用いることを受注業者が提案できます。その内容が図面や設計書、仕様書に反映されれば、受注業者はBIMモデルを作製し、用いることが可能です。

BIMモデル作製に係る共通事項

受注業者がBIMモデルを作製する際、創意工夫を妨げないように、最終的に提出するのは2次元の図面や仕様書などとしています。BIMモデルだけを納めることはありません。ソフトウェアもBIMモデルを2次元図面に変換できるものを使用するのがポイントです。意匠や構造などをすべて接合したBIMモデルの機能を利用するには、互換性のある国際規格のIFC形式ファイルに変換可能なBIMソフトウェアを使用します。

BIMモデルのオブジェクト作製は、空間と建物部材それぞれのガイドラインを設定しています。空間オブジェクトは事務室や会議室など特定の役割ごとに構成し、区切りがなく複数の役割を持つ空間は判別できるようにします。また、名称と室番号などで区別します。

柱や壁などのオブジェクトは、BIMソフトウェアに装備されている部材オブジェクトを使用して作製できる仕様です。概算数量を計算可能で、コスト管理に役立ちます。該当するオブジェクトがない場合は、既成のオブジェクトからBIMモデルを製作し、寸法などを変更します。

複数階で外壁などの建物部材が異なる場合などは、原則フロアごとにBIMモデルを作製。エネルギー解析を行うときは、気流や温熱環境に影響を与えないよう、建物部材のオブジェクトを隙間なく連結させます。BIMモデルの作製対象や、どのくらい具体的に表示するかを利用目的に応じて定めています。

例えば内装仕上げを詳細に作製すると、設計変更で修正作業が増えるため、詳細度は下げる方が適切です。空間の名称は原則、設計業務であれば企画書、工事業務であれば設計図書の記載名称を使用すると、それぞれの空間面積が簡単に割り出せます。

BIMガイドライン(設計業務編)について

「設計業務編」を要約して解説します。所定の契約書や仕様書を適用していることが前提です。

設計業務委託における取扱い

「建築設計業務委託契約書」や「公共建築設計業務委託共通仕様書」を適用した設計業務委託であることが必要です。設計発注者が追加業務で、BIMモデルを用いるように指示した場合も同じ扱いです。例えば建物内装の素材感や彩色などをBIMモデルで細かく作製する業務を追加で指示された場合、その範囲や箇所数などは契約図書に明記される必要があります。ただし、プロポーザル方式や総合評価落札方式での技術提案で、BIMモデルを用いる場合は当てはまりません。

図面等の作製

平面図は「建築工事設計図書作製基準」や「建築設備工事設計図書作製基準」に準じ、BIMモデルで作製します。基本設計方針策定では建築可能範囲や建築物までの取り付け道路、平面計画などをどのくらい具体的に表示するかを提示。BIMモデルの作製対象となる周辺敷地や意匠、敷地・外構についてまとめています。基本設計図書を作製する際に、BIMモデルの作製対象とどのくらい具体的に表示するかを提示していますが、詳細図や展開図など、建物部材のBIMモデル作製は原則不要です。

意匠・構造・設備設計それぞれのBIMモデルで、建物部材のオブジェクトのサイズを決めています。実施設計方針の策定は建築主と協議し、変更や修正はBIMモデルで行い、どのくらい具体的に表示するかは変更前の基本設計図書と同様です。

部分詳細図や電気設備の実施設計図書の作製で、建物部材の情報を詳細に登録するとデータ量が一気に増えます。すると操作性は低下しますので、注意してください。

設計業務における技術的な検討

設計技術の検討をBIMモデルで行う際は、検討する時期や目的に合わせて、作製対象や表示基準を具体的に設定します。詳細度を高めるとシミュレーションの算出時間が長くなるので注意しましょう。

通常行う一般業務の範囲を明らかにし、建築可能範囲、建築物への取り付け道路、平面計画などの技術提案に必要な情報をまとめています。設計仕様をBIMモデルで明示するときは、必要に応じて具体的な表示基準を用います。自動計算機能を使用するときは、BIMソフトウェア機能の特徴を確認することが必要です。干渉チェックに用いる場合は、必要な対象をBIMモデルで作り上げ、一体化させます。

BIMガイドライン(工事編)について

BIMガイドライン「工事編」を要約して解説します。標準仕様書を適用していることが前提です。

施工計画書・施工図等の確認

BIMモデルで施工図などを作り、発注者に確認する場合は、平面図などとの使い分けを担当職員とあらかじめ協議します。BIMモデルから施工図を作り上げる場合は、BIMモデルを変換した2D図面を編集して仕上げられます。

完成図等の作製

工事完成図などをBIMモデルで作り上げる場合は、空間や構造体などの建築仕上げや構造耐力で主要な建築躯体、エレベーター設備、敷地や外構などについて、どのくらい具体的に表示するか、指標があります。BIMモデルを納める際は、必要があれば補足説明事項などの説明書を作製します。尚、利用に供しない実施工程表や施工計画書、施工図などの工事関係図書のために、作製したBIMモデルは提出しなくても構いません。

工事における技術的な検討

BIMモデルで施工手順を確認する際は、目的に合わせて必要な情報を登録します。仕上がりを確かめるため、BIMモデルでデザインのチェックや、不具合などの干渉チェックを行う場合は、建物部材のオブジェクトを必要に応じて具体的に作製します。施工図などの図面作製やBIMソフトウェアによる演算処理、各種技術資料などの作製についても同様です。干渉チェックを実施するときは、製作したBIMモデルを統合し、各建物部材の寸法や隙間、施工・維持管理スペースを考慮します。

まとめ

国土交通省のBIMガイドラインは、建設現場の生産性向上に有効なBIMモデルの作製や利用を進める上で、基本的な指南書となります。設計業務や工事業務ごとに、技術提案の具体例・BIMモデル作製の代表例、そして詳細度の目安なども紹介されています。これを参照すれば、BIMモデルの試行錯誤をせず、効率よく作製できるでしょう。

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