BMWとマイクロソフトのオープンマニュファクチャリングプラットフォーム(OMP)とは?

 2019.12.25  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

BMWグループとマイクロソフトは2019年4月、産業用のIoTとクラウドサービスを活用した「オープンマニュファクチャリングプラットフォーム(OMP)」を発表しました。BMWはあらゆる製造業における開発環境・作業環境を共有し、業務の能率を上げて製造業全体にイノベーションをもたらすことを目指しています。

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未来の製造業を支援する新たな構想

2019年4月にドイツ・ハノーバーで開催された世界最大の産業技術見本市「ハノーバーメッセ2019」で、BMWグループは、マイクロソフトと共同で、製造や物流の革新を目指すための産業用プラットフォーム「OMP(Open Manufacturing Platform、オープン・マニュファクチャリング・プラットフォーム)」の開発を行っていることを発表しました。

OMPは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上に、BMWグループが使っているプラットフォームを元にして構築します。BMWグループは自動車業界にとどまらず、すべての製造業に対しOMPコミュニティへの参加を呼びかけています。

OMPの「オープンマニュファクチャリング」とは、製造業(Manufacturing)の環境をより開かれた(Open)ものにするという意味です。自動車を始めとする製造業は、数千台のロボットを動かして、細かいパーツから段階的に製品を組み立てていくため、複数の工程や膨大な作業が必要です。それもあって製造システムは、各パーツなどの分野ごとの独自性が強く、工程も複雑になりがちです。効率性が損なわれやすいことが長年の課題でした。

そこで、BMWグループはOMPを通じてこうした非効率性を見直し、業種問わずあらゆる製造業が基準や環境を共有できるシステムの構築に乗り出したのです。IoTを活用することで膨大なロボットとの接続をよりスムーズに行い、自律的な学習機能によってさらなる効率化を図ってくれるため、従来と比べて作業を短縮させることができます。

また、OMPの魅力は、一般に広く開かれたクラウドサービスを利用していることと、プラットフォームで使われているシステムやアプリケーションなどがオープンソースである点です。

製造に関するノウハウは自社で厳重に管理し、外部には明かさないのがこれまでの通例でした。しかしOMPの思想ではプラットフォームを共有し、OMPのコミュニティに参加しているすべての企業の間で情報資源を共有します。他社の開発したソースコードやプログラムを活用したり、他社のリソースを土台にさらなるカスタマイズを加えたりすることができるのです。

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Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

同業他社はもちろん、全く異なる業種との間で今まで蓄積したノウハウを伝え合ったり、お互いにカスタマイズして利用したりするなど、双方向・多方向のコミュニケーションを図れます。こうすることで、産業全体のイノベーションにつながるという考えがOMPにはあるのです。

BMW Group とマイクロソフトの取り組み

OMPのシステムやアプリケーションは、BMWがドイツ・レーゲンスブルグで自律型輸送システムに使って大きな効果を上げた、IoTプラットォームをベースに開発されています。

生産性向上に寄与している代表例が「物流自律輸送システム」です。自動車工場は敷地が非常に広大で、取り寄せた部品を所定の部署に運ぶだけで莫大な作業が発生します。こういった作業を、IoTプラットフォームに接続して連動し、自律的な動作ができる輸送ロボットに任せることで、運搬作業をより効率的に行えるようになりました。

物流自律輸送システム以外にも、自動車の組み立てを行うロボットアームにIoT機能を搭載してプラットフォームに接続しています。このロボットアームの先端には3Dカメラが搭載され、より細かい作業ができるようになりました。従来は人の手が必要だった精密部品の取り付けも、ロボットアームが介入できるようになったのです。

また、IoTプラットフォームは製造ラインのコントロールのほかに、効率的な業務管理にも大きく貢献しています。従業員には社内プラットフォームと接続するスマートウォッチが配布されており、業務上の連絡や作業の割り振りなどが個別に配信される仕組みです。意思疎通をよりスムーズに行うことができます。これらのレーゲンスブルグ工場のIoTプラットフォームシステムはWEF(世界経済フォーラム)からも、その先進性・先見性が高く評価されています。

BMWは現在、Microsoft Azure上に構築したプラットフォームに3,000台以上の機械や製造ロボット、自律搬送システムなどを接続して、このネットワークを基盤にして工場を稼働しています。BMWで成功したこのシステムをほかの企業も利用できるようにカスタマイズしたのがOMPです。BMWとマイクロソフトはあらゆる製造業者に、OMPへの参加を広く呼びかけています。

導入製品とサービス

OMPの土台となっている「Microsoft Azure」はマイクロソフトのデータセンターやインフラを使ったクラウドサービスです。Microsoft Azureのサービスは、ユーザーがプラットフォーム上にアプリケーションやデータベースシステムを自由に構築できる「PaaS型プラットフォーム」と、サーバーやネットワーク機材などのITインフラも併せて提供する「IaaS型プラットフォーム」の2種類に大きく分けられます。

企業がクラウドサービスを活用する最大のメリットは「ハードウェアやネットワークの保守管理を自社で行う必要がないのでコストを削減できる」「セキュリティーの堅牢性が高く、災害など不測の事態でも対策が採りやすい」という点です。

国内の大手企業も次々と「Microsoft Azure」を導入し大きな成功に繋げています。

大手タイヤメーカーの株式会社ブリヂストンは、Microsoft Azure上にタイヤの製造や在庫を管理するプラットフォームを構築しています。タイヤにセンサーを取り付けてデータをMicrosoft Azure上のプラットフォームに収集し、トラブルをいち早く検出する「Tirematics」というシステムを世界20か国で展開しました。このシステムを使えばタイヤ点検やメンテナンスにかかるコストを削減したり、タイヤの不具合による運行トラブルや事故を未然に防いだりすることが期待できます。日本ではすでに「はとバス」などと連携して、個々の車両の状況を把握してコントロールセンターに直接警告を知らせる仕組みの実証実験も行っています。また、この「Tirematics」では、顧客の点検結果や装着タイヤ情報など、タイヤのライフサイクル全体における管理も可能です。ブチヂストンは製品とサービス提供を組み合わせた市場開拓を進めています。

農業機器メーカーの株式会社クボタは、農機にIoT機能を持たせて収集したデータなど農業経営に関する全ての情報を一元管理して、農業経営の効率化を図る試みを行っています。稲の刈り取りと脱穀を行う農機のコンバインに、収穫した米の水分含有率やタンパク含有率を測定する「食味センサー」と、収量を測定する「収量センサー」を搭載したのです。それらのデータを収集・分析して、米の食味の改善と収穫量を上げるたに最適な施肥計画作成のヒントを得ています。ほかにもクボタは、農業の抱える深刻な人手不足問題を解消するために、農機の自動運転の研究にも取り組んでいます。クボタは元々オンプレミスで構築したこれらのプラットフォームを、Microsoft Azure上のシステムに徐々に移行し、今後のさらなる発展を目指しています。

このように、すでに国内でも多くの企業がIoTとIoTを統括するプラットフォームを活用して、製造プロセスの改善やコスト削減などの課題にたゆまず取り組んでいるのです。

まとめ

BMWグループが提唱するOMPは、IoT化とビッグデータの集積利用が進む最近のトレンドをさらに後押しする可能性を秘めています。クラウドサービスやIoTの効果的な活用は、今までボトルネックとなっていた人手不足や非効率性などの課題を解決し、飛躍的に生産性を上げる可能性をもっているのです。

 

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