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ビジネスプロセス指向で実現するデジタルトランスフォーメーションとは?

多くの企業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を理解しつつも、既存システムが事業部門ごとに構築されています。そのため自社におけるビジネスプロセスの最適化は、DX実現に向けた重要課題だと認識されているでしょう。当記事では、DXを実現させるための「ビジネスプロセス指向」について解説していきます。

ビジネスプロセス指向で実現するデジタルトランスフォーメーションとは?

ビジネスプロセス指向とは

「ビジネスプロセス指向」とは、業務フローをビジネスプロセスとして落とし込み、一連の流れを「見える化」させることをいいます。例えば、配送業者の配達人の業務フローをビジネスプロセス化すると、以下(A)のようになります。

(A)

地区センターでそれぞれが担当する地域向けに荷物を仕分けする

→仕分けされた荷物を各トラックに乗せる

→お届け先に向かう

→不在だった場合には、指定された日時に再配達を行う

上記が配達人の仕事の流れで、これを1つのプロセスとして業務が成り立っています。では、業務全体のプロセスを(B)とし、どのようになっているのかも見てみましょう。

(B)

お客様からの荷物を受付する

→受付した荷物を担当のセンター向けに仕分けする

→仕分けされた荷物をトラックに乗せる

→荷物を担当センターに運ぶ

→ここから(A)のプロセスにつながる

上記を見てみると、複数のプロセスが重なって業務が成り立っていることがわかります。このように、企業活動の一連の流れを「ビジネスプロセス」として見える化させることを、ビジネスプロセス指向と呼ぶわけです。

DXでは、ビジネスプロセス指向をないがしろにすることが多く、そのせいで理想とする目的が得られないという問題も起こります。企業がDXを成功させるには、ビジネスプロセス指向から企業の強みやボトルネックを探すことが重要なのです。

ビジネスプロセスマネジメント(BPM)の活用がDX実現のカギ

「BPM」とは、「ビジネスプロセスの作業工程」「各プロセスの繋ぎ目」「プロセスに使用している業務システム」などを分析して、ボトルネックや強みなどを把握するための取り組みです。

上記で紹介した配送業者の一例でも、受付担当者は「荷物の測定」「中身・配送先の確認」「ラベルの発行」「壊れ物などのシール貼り付け」といったように複数のプロセスを経て、仕分け担当に繋げています。このように各プロセスを細かく洗い出すことで、どこに無駄や問題があるのかを明確化していくのです。

またBPMで重要なのが、経営戦略としてのみだけでなく、現場をしっかりと理解することです。システムではなく人を中心として見ることで、現場も含めた円滑な業務改善を図っていきます。

ビジネスプロセスマネジメント(BPM)で解決できる課題

BPMを導入することで、企業はさまざまなメリットが受けられます。ここでは、BPMの導入によって解決できる課題を解説していきます。

ビジネスプロセスの可視化で差別化領域と標準化領域の明確化

BPMを導入することでビジネスプロセスが明確になり、企業の「差別化領域」と「標準化領域」とが明確にわかるようになります。そして、差別化領域を強化することで、同業者との競争力を向上できます。

いわば差別化領域とは、その企業の持ち味であり特徴です。その部分をいかに押し出して、独自性を出すかが重要なのです。また標準化領域の理解は、効率化と低コスト化の実現にも役立てられます。

業務間連携の強化

ビジネスプロセスを理解することで、各部門の連携によって企業の業務が成り立っていることがわかりました。さらにBPMでは、各プロセスの方向性を把握して、連携強化に役立てることが可能です。

例えば、オーダー受付部門では「大きな商品開発を請け負って生産部門に回したい」、生産部門では「品質を抑えて効率よく商品を生産したい」といったように、それぞれのプロセスごとに方向性を定めています。

しかし、上記のような方向性では、全体の足並みがそろっていないことがわかります。この場合では、オーダー受付部門を「価格を抑えた商品開発を大量に受注したい」、もしくは生産部門を「オーダー受付部門と連携して、お客様の声を反映した良質な製品を作りたい」などの方向性にしたほうが、全体の統一感が出るでしょう。

このような方向性の違いによるばらつきや、プロセス感の歪みを理解することで、無駄・無理・ムラを排除して連携強化に役立てられるのです。

社内外の環境変化への俊敏性

時代は常に変化しており、トレンドやビジネスモデルも変わっていきます。そのため、業務の流れを固定化していると、トレンドに対応できないこともあるでしょう。そんなときに役立つのが、ビジネスプロセスの追加・変更です。

BPMを行うことで、状況に応じてビジネスプロセスの柔軟な変更が可能となり、社内外の環境変化にもすぐに対応できます。また、ビジネスのプロセス化を行うと、どこに問題点があるのかもよくわかるようになります。

例えば、よくある問題として、「急に受注量が増加して生産が間に合わなくなる」ということがあります。このようなトラブルでは、人員をその場限りで増やしたり、残業したりして対応することも多いですが、過剰な受注のあった場合には対応できなくなることも考えられます。そのため、なるべく事前に受注量を理解して、なおかつ生産ラインも繁忙期に対応可能なように増設しなければいけません。業務をプロセスに分解すると「1つの問題に対してどの部分を強化すればよいか」がわかるのです。

社内リソースの最適化

社内リソースの最適化は、企業にとって重要です。リソースが最適化されていないと、重要な部分で不足してしまったり、無駄なコストが発生したりします。

BPMによって見える化を行うことで、「各プロセスにおいてどの程度リソースが必要なのか」が把握できます。また、必要なリソースは常に変動します。こうした変動に対応可能なシステム作りが、安定稼働の鍵と言えるでしょう。

属人的な業務ノウハウの伝承

業務の属人化は、保守・運用において大きなトラブルの原因となります。正しくノウハウが伝承されないまま、前任者が辞めたり異動したりすると、後任者はスムーズな運用ができなくなる可能性もあります。

この問題では、まず属人化している業務の特定をしなければいけません。そのため、BPMを利用して、各プロセスの中で属人的な業務を探し出します。発見した属人的なノウハウはマニュアル化することで、後任でもわかるようにします。こうすることで事業継続性を確保でき、人材の流動化も可能となるのです。

コンプライアンスの強化

BPMを利用する際には、コンプライアンス要件を満たした標準プロセス定義をしなければいけません。その際、プロセスの中でのコンプライアンス違反や、ミスによる違反にも対応できるように設定していきます。

例えば、「監査する第三者に対してのプロセス提示」「誰が何をしたという情報の管理・保存・記録」「内部統制のコントロール」「承認情報の保存」などです。さらに、BPMでどのようなデータを取り扱うのかを把握して、適切に管理しましょう。情報が外部に流れるようなルートがないか十分精査し、怪しい部分があれば排除しなければいけません。

このように細かくプロセスを定義することで、コンプライアンス違反のリスクを軽減できます。

全体最適化

BPMによって、これまで人任せだった業務への理解が増し、個別に扱われていたプロセスが一連の流れとして扱われます。そして、プロセスを全体から改善することで、企業全体の最適化につながるのです。

企業全体の最適化が行われれば、「効率化・コスト削減・利益向上がどの部分で行えるか」も見えてくるでしょう。

まとめ

適切なイノベーションは、自社を理解してこそ初めて実現できるものです。企業はビジネスプロセス指向を利用することで、どの部分に強みがあって、どの部分に改善が必要なのかが見えてくるでしょう。そして、これまであった無駄が改善されることで、企業はさらに効率化やコスト削減といった、さまざまな恩恵を受けることができます。

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