マイクロソフトのプラットフォームを使ったトヨタのAI/IoT活用事例とは?

 2020.01.17  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

トヨタは現在「モビリティサービス」に力を入れ、2018年にはトヨタ自動車の豊田章男社長自ら「トヨタを、自動車をつくる会社からモビリティカンパニーにフルモデルチェンジする」と宣言しています。トヨタはマイクロソフトのAzureやHoloLens 2を用いて、自社のみならず顧客の課題解決にも寄与しています。

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Azure×Toyota Material Handling Group

トヨタ マテリアル ハンドリング グループ(TMHG: Toyota Material Handling Group)は、産業車両を主力製品とするトヨタ系列の製造グループです。日本・北米・欧州・中国をはじめとした世界を網羅するグループ体制を敷き、世界中に製品の供給やサービスの提供を行っています。世界シェアトップであるフォークリフトはフルラインナップを取り揃えており、その他にも物流機器からシステムも含め幅広い商品の開発や生産、販売、サービスを手がけています。

TMHGのクライアントは、流通業・製造業・建設業・運送業といったさまざまな業種です。倉庫用の運搬車や機器の他にも、必要とする製品やソリューションが数多くあります。例えば、電子商取引が世界中で普及を続けている中、クライアントが対応できるよう支援するのもTMHGの大切な役割です。また、クライアントが商品をスピーディに、高い頻度で、正確に、そして安全に扱えるように支えなければなりません。TMHGはこういったクライアントの悩みやニーズに対応するため、トヨタグループ得意の創意工夫や効率的な製造方式によってサービスの工夫を重ねてきました。

TMHGが物流ソリューションを高度化するために製造方式の他にも力を入れてきたのがデジタル技術のイノベーションです。例えば、AI(人工知能)やAR(拡張現実)、IoT(モノのインターネット)は内外の知見によって技術力を強化しながら、こうした技術を活用したソリューションを実施してきました。
(参照元:https://www.toyota-shokki.co.jp/about_us/business/industrial_vehicles/

デジタルツインを用いた倉庫の仮想モデル

TMHGは、「デジタルツイン」を用いた倉庫の仮想モデルを作成することで、最適な物流の実現に向けた支援を行うというビジョンを打ち出しています。

デジタルツインとは、顧客環境をスキャンして仮想モデルに再現する技術、あるいは再現された仮想モデルです。例えば、倉庫などの物流施設や、倉庫内で使用されるフォークリフトや無人搬送車といった車両などを、実際にある顧客の施設を3Dスキャンによって再現します。その上で、倉庫での作業シナリオをシミュレーションし、機械や車両のトレーニングを積み重ねていきます。

これにマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」の学習機能とAIを組み合わせることで、機械が施設内の最適な稼働方法を自動的に学習します。最適な車両の数や種類を把握できるようになり、パフォーマンスを最大化していくのです。効率的な稼働方法を学習した上で現実の機械を配備すると、搭載されたインテリジェンスによって、車両は移動する周囲の環境をもとにルートを理解し、継続的にパフォーマンスを改善していきます。

製造業におけるMixed Realityの活用

このような技術によって、TMHGはクライアントに大きなメリットのある物流ソリューションを提供することが可能です。通常、IoTソリューションを展開する際、顧客の特性やニーズに合わせてカスタマイズしてから導入するには、半年から1年ほどの時間がかかるといわれています。しかし、TMHGの仮想化という手法であれば、デジタルツインと機械学習を組み合わせることで、ソリューションの提供にかかる時間を大幅に短縮できるのです。

また、従来のスキャナーやビジョンセンシングテクノロジー、ヒューマンプログラミングといったテクノロジーから機械学習に移行することで、障害物や所定外の物体といった小さなトラブルにも臨機応変に対応できます。倉庫内の状況に適応し、必要に応じて運用を拡大したり縮小したりする柔軟性も備えられます。
(参照元:https://toyota-forklifts.eu/why-toyota/about-us/news-and-editorials/toyota-material-handling-europe-presents-future-logistics-vision-at-hannover-messe-with-microsoft/

音とAI アルゴリズムで、溶接の品質を評価

他にもTMHGでは、音とAIを組み合わせることで溶接の品質評価や検証に役立てている事例もあります。

フォークリフトの製造においては、溶接の質が製品の最終的な品質を左右します。溶接で重視される一般的な項目は、設計寸法に従って正確に仕上げられているか、要求されている機能・強度・安全性を満たしているか、溶接部の外観が求められるレベルに仕上がっているかどうかといった基準です。仮に品質が悪いものであれば、クレームや故障、あるいは事故といったトラブルにもつながりかねません。そこで、製品の品質を検査する際は、ビード(接合面の盛り上がり箇所)に亀裂や穴などがないか、ビードの幅・高さや波形などが均一か、仕上がりに歪みがなく設計寸法どおりか、といった細かいチェックを行わなければならないのです。

TMHGは、グループ内の北米カンパニーにおいて音とAIによって溶接の品質を評価する取り組みを開始しました。インディアナ工場の溶接工と協力して、工場現場の音を録音し、その音によってAIアルゴリズムを構築。これを溶接の品質評価・検証や顧客満足度向上に役立たせました。また、新入社員に充実したトレーニング環境を提供できるように機械学習プラットフォームの開発も行い、教育にも活用したのです。

AIを活用した取り組みによって同社は新しいソリューションを生み出しました。人が行わなければならない仕事のうち、AIが代替したりAIと共同作業したりすることによって、効率化できる工程が生まれます。その結果として、従業員が頭を活用する時間を増やせるようになるのです。また、人やモノの生産性も高まるでしょう。例えば、フォークリフトの稼働の追跡によってメンテナンスの計画や予測ができるようになり、倉庫内の効率改善や安全性向上が見込めるといった効果も生まれます。同社はこうしたAIの活用によって、より顧客満足度を高めるソリューションを提供することを狙っているのです。

Azure×Toyota Connected

トヨタ自動車は、マイクロソフトと共同で「Toyota Connected」という会社を設立しました。「Azure」を活用することで、トヨタ自動車のモビリティサービスに貢献しています。

ビッグデータの活用

Toyota Connected社はビッグデータの活用に取り組むのが大きな狙いです。トヨタ自動車は「運転体験を温もりのあるものにし、技術をバックグラウンドに隠すこと」を目標に掲げています。そのためには、膨大なデータを収集・集約した上で、分析を行い、サービスや研究活動に役立てていかなければなりません。Toyota Connected社は、そのような取り組みのためのデータサイエンスプラットフォームとして「Azure」を活用しています。

また、データ解析やモバイル技術といった幅広い分野においてマイクロソフトのエンジニアから協力を受けることも新会社設立の目的の1つです。

HoloLens 2×トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車は、マイクロソフトが提供する「HoloLens2」を活用した自動車点検整備を導入しています。HoloLens2とは、複合現実の機能を持ったスマートグラスで、ヘッドセットのように頭に装着するデバイスです。利用者は視覚的に現実と仮想情報を同時に確認できます。

例えば、自動車修理の場において車種ごとのマニュアルを印刷しなくてもデバイスから確認できるようになるといった使い方ができ、業務効率化やサービス時間の短縮に大幅に貢献します。AIによって作業ミスや手順漏れを検出する機能も開発されており、さらに業務改善に役立つことが期待されているのです。

まとめ

トヨタグループは全社的にモビリティサービスへの転換を掲げています。傘下のTMHGはフォークリフトの製造大手ですが、マイクロソフトのプラットフォームを活用して新しい物流ソリューションを提供しはじめました。AIやIoT技術によって革新的なサービスを創出しているのです。

製造業におけるMixed Realityの活用

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