建設・ビル管理

スマートビルディング化は進まない?スマートビルディングが抱える課題

近年、スマートビルディングという言葉を耳にする機会が増えました。ビルを所有するオーナーの中にも、スマートビルディングに関心を抱く方は少なくないでしょう。本記事では、スマートビルディングの概要や、進めるうえでの課題、障害となることなどについて解説します。記事の内容を今後の判断材料にされてください。

スマートビルディング化は進まない?スマートビルディングが抱える課題

Factory of the Future

スマートビルディングとは

スマートビルディングとは、IoTを活用したオフィスビル、商業施設などを指します。エネルギーの管理をシステム化でき、さまざまなメリットを得られることから注目を集めています。

一般的に、スマートビルディングではBEMSと呼ばれるシステムが使用されます。Building Energy Management Systemの略語であり、建物に使用しているエネルギー利用状況の可視化、制御などを実現できるシステムです。

BEMSは、ビルエネルギー管理システムとも呼ばれます。建物のどこに、どれだけのエネルギーが使用されているのか、非効率なエネルギー消費をしていないか、といった情報を自動的に収集し、必要に応じて制御も行います。

たとえば、あまり使用されていない空間なのに、他の部屋と同じようにエアコンが稼働していたとしましょう。このような場合、センサーから収集したデータを分析し、必要に応じて電力の供給を制限できます。無駄な照明を自動的に消す、部屋ごとにエアコンの稼働をコントロールする、といったことが可能になるため、エネルギーの最適化を図れるのです。

また、スマートビルディングでは、BEMSによるエネルギー管理だけでなく、IoTセンサーや入退室管理システムとの組み合わせにより、高度なセキュリティ環境の構築も可能です。外部からの侵入者をいち早く感知し、警備スタッフに通知できるため、適切な対応を行えます。

スマートビルディングが抱える課題や障害は?

スマートビルディングの導入により、さまざまなメリットを得られるのは間違いありません。それゆえに注目を集めているのですが、導入や運用に関しては、課題や障害があるのも事実です。

高額な初期コスト

IoTで建物を管理すれば、エネルギーの最適化を図るとともに、効率的な管理が可能となるため、トータルでの運用コストダウンにもつながります。長い目で見れば、相当な額のコストを抑えられると考えられますが、仕組みを構築するのに多額のイニシャルコストが生じるデメリットがあります。

スマートビルディング化するにあたり、まずはBEMSを導入しなくてはなりません。BEMSの導入だけでも、100万円単位のコストが発生します。さらに、各種センサーや蓄電システム、太陽光発電システムなども導入するため、高額な初期コストが発生してしまうのです。

注目が集まりつつも、スマートビルディング化がそこまで進まない大きな理由が、多額な初期コストなのです。数百万円、ときには数千万円、規模によってはそれ以上の費用がかかることも珍しくないため、気軽には導入できません。

長い目で見ればコストを抑えられるとしても、あくまでこれは一般的にいわれているメリットや効果であり、保証されているわけではありません。

つまり、高額なコストを投入し、スマートビルディング化を実現したとしても、投下したコストを確実に回収できるかどうかはわからないのです。システムの不具合や機器の故障、それに伴うメンテナンスなどで逆にコストが上昇することも考えられます。高額な費用を投入して効果がなかったらどうしよう、と不安になってしまうのも仕方のないことでしょう。

思わぬセキュリティ事故の懸念も

スマートビルディングは、IoTを駆使して建物の設備をインターネットに接続します。あらゆる設備をネットワーク接続することで、高度な管理やエネルギーの最適化が実現できます。

しかし、すべてがオンラインでつながっている状態は、さまざまなリスクも招きます。たとえば、外部からのサイバー攻撃です。一箇所がサイバー攻撃を受けた場合、オンラインでつながっている建物すべてが脅威にさらされてしまうかもしれません。

サイバー攻撃は、一部の企業だけを狙って行われるものではありません。あらゆる企業や団体、官公庁などのほか、個人がターゲットになる可能性もあります。一般的なビルの所有者がサイバー攻撃の対象になり、被害を受けるといったことも十分考えられるのです。

万が一セキュリティ事故が起きた場合、オンラインでつながった施設すべてが被害を受ける可能性があります。広範囲にわたって被害を受けると、復旧にも時間がかかってしまうでしょう。場合によっては、システムの中心部に侵入されてしまい、取り返しのつかない事態に陥る可能性もあります。

このような事態を招かぬよう、堅牢なセキュリティ環境を構築しなくてはなりません。高水準なセキュリティ環境を構築するだけでなく、サイバー攻撃から建物を守るためのノウハウも求められます。

スマートハウスと比較して知名度が低い

スマートハウスとは、スマートビルディングの住宅版です。スマートビルディング化にはBEMSを用いますが、スマートハウスではHEMSが用いられます。

近年では、さまざまなハウスメーカーや建築会社、工務店がスマートハウスを提供しています。一般消費者向けのスマートハウスを、テレビCMや公式サイトなどで大々的にアピールしており、知名度や認知度も大きく向上しています。

一方、スマートビルディングは、スマートハウスほどの知名度がありません。一般消費者向けではなく、ビルオーナーや企業向けなので、どうしても知名度が低くなりがちなのです。

また、企業におけるスマートビルディングのメリットとして、ブランドイメージ向上が挙げられます。省エネで地球環境にも配慮している、快適な職場環境の構築に努めている、とアピールできるため、ブランドイメージが向上するのです。

ブランドイメージが向上すれば、消費者や取引先によい印象を与えられるでしょう。また、就活生にも好印象を抱いてもらえ、採用活動をしやすくなる可能性もあります。

このようなメリットがあるのは事実ですが、初期費用に対し費用対効果が高いとはいえません。すでにお伝えした通り、スマートビルディングには相当な費用がかかります。投入した費用に対する見返りが釣り合う保証もありません。

トラブル発生時の影響が甚大

オンラインでつながったスマートビルディングは一元管理が可能です。これも大きなメリットのひとつであることには間違いありませんが、万が一中央制御装置にトラブルが発生すると、建物全体に甚大な影響を及ぼすおそれがあります。

もし中央制御装置にトラブルが発生した場合、全館の電力供給がストップしてしまう可能性があります。オフィスの照明がつかない、パソコンが使えなくなる、エレベーターが停止するなど、オフィスの機能停止や商業施設の営業が不可能になることなどによって、甚大な被害をもたらしてしまうかもしれません。

外部との通信がとれなくなる、一時的にシステムのセキュリティ機能が低下して悪意ある攻撃者の侵入を許してしまいやすくなるなど、さまざまな影響が考えられます。オフィスとして貸している場合、入居している企業に機会損失などの被害を与えてしまい、損害賠償を請求されるといったおそれもあります。

このように、トラブルが発生したときの影響が甚大であるため、従来以上にメンテナンスを徹底しなくてはなりません。トラブルが発生しないように対策をしておく必要がありますが、万が一何か起きたときに、迅速な対応ができる体制も整えておかねばならないでしょう。

緊急時に適切な対応をするには、マニュアルの作成や管理スタッフへの教育なども必要です。万全な体制を整えておけば、いざというときも慌てず対処できるでしょう。

まとめ

スマートビルディング化を進めたいのなら、具体的にどのような課題や障害があるのかを正確に把握しておきましょう。そのうえで、どのように進めるのか検討することが重要です。
なお、スマートビルディングに関する課題については、たしかな実績のあるAVNETのような技術商社に問い合わせることが望ましいでしょう。

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