医療・製薬

医療データやシステムをクラウド化するメリットを解説

医療現場では、診断データなど機密性が高いものや、高品質な画像など大容量のデータを頻繁に取り扱います。そのデータの取り扱いにクラウドを活用することで、医療にどのようなメリットがもたらされるでしょうか。クラウドそのものについて説明したのち、医療データやシステムにおけるクラウド活用について解説します。

医療データやシステムをクラウド化するメリットを解説

先端技術とAI倫理がもたらす「より良い医療のかたち」

そもそもクラウドとは

医療への活用以前に、まずは「クラウド」そのものについて理解を深めましょう。

そもそも、クラウドとはユーザーなどが自身でソフトウェアを所有しなくても、インターネットを経由してストレージやアプリケーションをはじめさまざまなサービスを利用できる仕組みです。一昔前のように、たとえば勤怠管理などのサービスを利用するにあたり、ハードウェアの購入やソフトウェアの導入をすることなく、インターネット上で完結できます。そのため、端末に依存する必要がなくなり、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンから同じアカウントでサービスを利用できます。

「クラウド」は、インターネットを「雲」に見立て、その裏側の見えないところから提供されるサービスを利用しているというイメージから「クラウド」と呼ばれるようになったといわれています。2009年に米国商務省の配下にある国立標準技術研究所がクラウド・コンピューティングを定義づけましたが、端的に言うとさまざまなサービスを必要な時に必要な分だけ利用できる仕組み、ということになります。

医療データやシステムのクラウド化とは

クラウドを利用することで、サービス提供者はサービスを開発できる分野が広がります。そのため、多様で新しいサービスが日々生まれ、ユーザーとしてもサービスを利用するハードルが下がります。この点も踏まえ、医療におけるクラウドの利用について解説します。

医療におけるクラウド化はますます広がっています。たとえば電子カルテやレントゲンなどの画像、各種検査結果などのデータをクラウド環境で保存し、必要に応じて引き出せるようになりました。従来では、病院など物理的な施設内にサーバーを設置して内部でのみデータを閲覧し、サーバーのスペースを確保する必要がありました。しかし、クラウドの活用により外部のサーバーにデータや情報を保管し、病院や機関からその情報を閲覧・利用できます。あるいは、医療独自の仕様や特徴にも対応した会計システムをクラウド上のサービスを通じて利用することも可能です。

では、医療におけるクラウド化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

医療データやシステムをクラウド化するメリット

以下では、医療データやシステムをクラウド化するメリットについて複数の観点から説明します。さまざまなクラウドサービスがあるため、サービスによって差もあります。あくまで例として確認してみてください。

コストを抑制できる

医療に限りませんが、クラウドサービスが広がる前は何らかのサービスを利用し始める際、基本的にはソフトウェアの導入などで初期費用がかかるケースが多くありました。しかし、インターネットを通じてサービスを利用できることで、初期投資を始めとした各種費用を抑えることが可能です。サービスの利用は運用保守も含めた月額料金制であるケースが多く、初めから手軽な価格でサービスを導入できます。効果が出ない場合は解約もできます。また、サービス料金だけでなく、内部に物理サーバーを置く必要もなくなり、そのメンテナンスの手間やコストも削減できます。このように、クラウドサービスを導入することでコストが削減できるメリットがあります。

容量についての心配を減らせる

医療現場においてはさまざまなデータや情報があり、その容量は場合によっては非常に大きなものになります。従来のように物理サーバーを設置する場合、状況に応じて容量を拡張することが容易にはできませんでした。基本的に導入時に必要になる容量を想定しておかなければなりません。しかし、クラウド上のサーバーでは、必要に応じてデータ保管の容量を増減できます。特に近年はCTスキャンなどで鮮明な画像が増加し、データ量が増えています。クラウドサービスであれば、小規模なサーバーでスタートし、必要に応じて容量を足していく使い方により、コスト効率を高められます。また、容量追加は物理サーバーではなく仮想サーバーを利用するため、追加コストも抑えることができます。

共有がしやすくなる

従来の物理サーバーでは、基本的に情報やデータが内部のみで管理され外部からはアクセスができませんでした。しかし、クラウドサービスを導入することで、仮想空間上に医療に関するデータが保存され、外部からもアクセスが可能になります。データは非常にデリケートな内容であるため、セキュリティの担保が前提にはなりますが、複数の関係者で迅速な情報共有も可能になります。また、クラウドに保存されたデータにアクセスする際、デバイスに依存しないため、タブレットやスマートフォンでもアクセスでき、生産性向上にもつながるでしょう。

データ損失リスク対策になる

物理サーバーからクラウドにデータの保存先が変わることで、大きなメリットになるのが重要なデータの損失を未然に防げることです。内部にデータを保存している場合、その地域で自然災害が起きた際にデータを失うリスクがあります。これは医療に限定した課題ではなく、自然災害が多い日本において、一般企業なども災害時の事業継続は向き合うべき課題となっています。クラウド上で保管していれば、データ損失リスクを限りなく低減できます。一方でサイバー攻撃などへの十分な対策が必要ですが、バックアップなどもしっかり取っていれば、クラウド化はデータ保管の面で大きなメリットをもたらします。

メンテナンスや機能更新が容易になる

医療に限らず、クラウドサービスの場合、メンテナンスや機能の更新、バージョンアップが容易になります。ソフトウェアを使用していたり、物理サーバーなどがあったりする場合、都度業者を呼んでメンテナンスや更新作業を行う必要があります。あるいは、業者に質問しながら自身で作業を行うケースもあるでしょう。一方、クラウドであればインターネットを介してメンテナンスや更新を行えるため、手間や負担が減ります。

まとめ

インターネット技術の発展やスマートフォンの普及などで、クラウドサービスが広がっています。医療現場でも従来の物理的サーバーによる管理からクラウドサービスに切り替えることで、データの共有や保管などで大きなメリットがあります。セキュリティさえ確保できれば、メンテナンス費用の節約や労力の削減も可能です。

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