ヒヤリハットは放置しない!製造現場の事故を防止するための対策とコツ

 2021.02.26  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

製造現場における重大な事故は、「二度と起こさない」ではなく「徹底的な予防」が肝心です。そのために、日常的なヒヤリハット活動は欠かせません。そこで、本記事では、ヒヤリハット活動の進め方や定着化のコツについて詳しく解説します。

ヒヤリハットは放置しない!製造現場の事故を防止するための対策とコツ

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ヒヤリハットとは

「ヒヤリハット」とは、労働中に生じる重大な事故につながりかねない事象のことです。「ヒヤリとした」「ハッとした」という場面であることから、ヒヤリハットと呼ばれます。ヒヤリハットは、労働災害が大事に至りやすい製造現場や医療現場などで特に危険視されています。製造現場は大型機械を用いることが多い、医療現場は人命に密接にかかわる、というのがこれらの現場でヒヤリハットが危険視される理由です。

大きな労働災害を未然に防ぐには、ヒヤリハットの段階で対処することが重要だといわれています。その裏付けとして「ハインリッヒの法則」という事故の発生についての経験則があります。「1:29:300の法則」ともいわれ、1件の重大災害の背後には軽傷災害が29件、さらに水面下では300件のヒヤリハットが起こっているという内容です。1951年に日本で周知されて以降、現代まであらゆる現場において注意喚起に活用されています。

そもそもヒヤリハットはなぜ起こる?

ヒヤリハットを減らすには、そもそもヒヤリハットが起きる原因を知ることが重要です。ヒヤリハットはさまざまな原因がありますが、代表的なものをいくつか紹介します。

・作業への不慣れ
作業に関しての知識・経験が足りなかったり、危険性の認識が曖昧だったりすると事故につながります。特に、仕事を始めたばかりの新人に多いヒヤリハットです。

・油断
もっとも事故が起きやすいのが、作業に慣れ始めて油断した頃合いです。何十年も作業に従事してきたベテランでも、危険性を軽視したり効率を優先したりした結果、事故に至るケースがあります。

・思い込みによる判断ミス
ベテランの従業員が陥りやすい失敗です。これまでの経験から作業手順の要不要を自己判断した結果、本来必要な手順を飛ばしてしまうなどが原因で事故が起こる危険性が高まります。

・焦り・パニック
なんらかのアクシデントにより正常な判断ができなくなると、普段ならありえない行動をしてしまう可能性があります。

・疲労
長時間作業を続けていると、疲労から判断力が低下します。また、思い通りに身体が動かないと事故につながります。

・コミュニケーション不足
聞き間違いや認識違い、あるいは連絡不足などがあると、誤った作業に繋がる可能性があります。また、誤った作業をしている従業員に対して、注意喚起がしづらい現場の雰囲気では、さらに危険です。これらはいずれも、上下間・従業員間のコミュニケーション不足が原因です。

上記のように、ヒヤリハットは新人からベテランまで起こり得ます。いずれも人為的ミスに感じられますが、不十分な管理や脆弱なフォロー体制などが問題です。従業員に一任せず、会社として改善に取り組みましょう。

製造現場におけるヒヤリハットの事例

実際にあった事例を知るとヒヤリハットへの有効な対策を立てやすくなります。厚生労働省のサイトに載っている、2つの事例とその対策を簡単に紹介します。

ヒヤリハット事例1. 作業場での激突

1つ目は、食料品製造業における市場内荷卸しの最中に起きたものです。作業場内で、方向転換のためにフォークリフトをバックさせたところ、後方にいた作業員とフォークリフトが激突しそうになりました。

こちらの事例では、作業員がフォークリフトの作業場へ自由に立ち入れる現場環境が問題です。対策としては「フォークリフトの作業場には労働者を立ち入らせない」「フォークリフトの作業計画を定め、運行時には誘導員を配置する」などが考えられます。

ヒヤリハット事例2. 作業中のはさまれ・巻き込まれ

2つ目は、金属プレス製品製造業におけるボール盤での穴あけ作業中に起きたものです。ボール盤でステンレス板に穴をあける作業をしていた作業員が、ボール盤台上にある異物を手袋をはめたまま片手で取り除こうとしたところ、回転中のドリルに手袋が巻き込まれそうになりました。

こちらの事例は、油断や慣れからくるミスです。「ほかの作業を行う際には、必ずボール盤の電源を切る」「不要なものは盤台上に置かない」「巻き込まれるおそれのある手袋は外し、作業は素手で行う」などの対策が考えられます。

成果を伴うヒヤリハット活動の進め方

ヒヤリハットは、一歩間違えば重大な事故を引き起こしかねない事象です。放置せず次の3ステップに沿ってヒヤリハットの再発防止に努めましょう。

報告書は速やかに作成

ヒヤリハットを経験した従業員には、記憶が鮮明なうちに報告書を提出してもらいましょう。法律上の提出義務や保管義務はありませんが、以降のステップで事故への予防策を考える際に使用します。そのため、ヒヤリハットの発生した状況が第三者にも正確に伝わるような、わかりやすい報告書を作成してもらいましょう。

わかりやすい報告書を作成するポイントは、「客観的かつ詳細な記述」「専門用語や略語は使わない」の2点です。報告書はヒヤリハットにおける5W1Hを踏まえることで、事実や経緯が明確となります。5W1Hは具体的に「誰が」「いつ」「どこで」「なにを」「なぜ起きたか」「どうなったか」といった項目です。客観的かつ詳細な記述を意識してもらえるよう、あらかじめ5W1Hを踏まえた報告書のフォーマットを作成しておくとよいでしょう。

振り返りと分析で原因を明確に

報告書をいたずらに収集しても、同じようなミスはなかなか減りません。報告書から「なぜヒヤリハットが発生したのか」を振り返り、その原因を分析しましょう。

振り返りで大事なのは、先入観や思い込みを捨て、事実の把握に主眼を置くことです。客観的かつ冷静に5W1Hの部分に焦点をあてましょう。ヒヤリハット発生のプロセスが整理できたら、原因の分析を始めます。なお、原因は1つとは限らないので、多角的に分析しましょう。

「機械や作業環境に起因するのか」「手順に問題はないか」など、原因を明確にしたうえで再発防止策を立てます。このとき、当事者の不注意だけで済ませるのではなく、事象の根底にある原因・真因に迫ることが大切です。

対策の周知・追跡評価で再発防止

振り返り・分析から導き出した原因を踏まえ、いよいよ対策を考えます。実際に現場で働いている従業員から、広く改善案を募るのもよいでしょう。ただし、従業員任せにはせず必ず責任者主導で勘案してください。対策が決まったら、職場の関係者全員に周知し、速やかに実行へ移すことが関心です。なかなか実行に移さなかったり、周知が不十分だったりするとその間に同じミスが起きるでしょう。

また、この時点での対策はあくまでも仮説に過ぎません。追跡評価で有効性が立証できて、初めて再発防止策として意味のあるものだったと評価できます。効果がないようであれば、分析・立案に立ち返りましょう。

ヒヤリハット報告を習慣化するための工夫

重大な事故を防ぐには、ヒヤリハットの段階での対策が重要です。そのためには、社員一人ひとりから、できるだけ多くの報告を受けなければなりません。最後に、ヒヤリハット報告を習慣化するためのヒントを紹介します。

勤務時間内に書かせる

報告書の作成には、どうしても時間がかかります。そこで勤務時間内に報告書を作成する時間をとることが大切です。業務時間外の作成では、自発的な報告が減ってしまう可能性があるからです。例えば、「退勤前の15分はヒヤリハット報告書作成の時間」と決めれば、時間に追われずに丁寧な報告が期待できます。

報告書を作成するメリットを明確にする

ヒヤリハットは人為的なミスが原因と思われがちなので、自分の不利益になりかねないと報告を怠る従業員もいます。そこで人事上の不利益がないことを明言するほか、報告書を作成するメリットを提示しましょう。例えば「ヒヤリハット報告を行った従業員をプラス評価する」「優れた提案を行った従業員には報奨金を与える」など、人事評価や報奨金制度と結びつけるのが有効です。

手書きではなくシステムで作成する

ヒヤリハット報告に抵抗がなくとも、文字を書くことや文章を組み立てることが苦手な従業員もいます。あらかじめ記入項目が決められたフォーマットを作成して、簡単に作成・共有できる仕組みを整えるとよいでしょう。ヒヤリハットが「どこで起きたか」「なにをしているときに起きたか」などは、記述式でなく選択式にすると、記述の手間が省け効率的です。

報告を受ける側にとっても「手書きと違い誤読のおそれがない」「記入項目が決められているので分析がしやすい」などのメリットがあります。こういった報告は、蓄積された情報が多いほど、多角的で高度な分析につながります。習慣化するにあたって、効率的にストレスなくヒヤリハット対策を実施しましょう。

まとめ

ヒヤリハットは、安全のための貴重な先取り情報です。大事に至っていないヒヤリハットの段階だからこそ、潜在的な危険を把握し、事故防止策を講じられます。安全責任者や管理職なども率先して報告を行い、誰もがヒヤリハットを報告しやすい環境を整えていきましょう。

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