コロナによる小売業への影響とは? アフターコロナに向けた課題

 2020.07.14  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

外出自粛によりECサイトでの購入が増えたり、家で過ごす楽しみが定着したり、消費者の価値観が変化しています。 では、新型コロナウイルスは、小売業にどのような影響を与えたのでしょうか。小売業が抱えるアフターコロナに向けた課題についても解説します。

コロナによる小売業への影響とは? アフターコロナに向けた課題

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新型コロナウイルスが小売業界に与えた影響

新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、2020年4月7日、日本政府は「緊急事態宣言」を発令しました。緊急事態宣言以降、消費者が外出を控えたことで、小売店舗や飲食店の売上は激減。営業を続けることも難しく、休業を余儀なくされた店舗も多数発生しました。

セブン&アイ・ホールディングスの2020年2月期の決算説明会資料では、前年の3月度と比較した売り上げの増減を発表しています。この資料によると、ヨークベニマルの売り上げは3.9ポイントの微増、イトーヨーカドーは5.3ポイントのマイナス、セブンーイレブン・ジャパンは3.2ポイントのマイナスでした。さらに、そごう・西武の店頭販売は、33.4%のマイナス、デニーズは25.9%と大幅なマイナスと発表されました。

小売業の中でも、影響が大きい業種と比較的小さい業種があります。食料品・日用雑貨・飲料など、日常生活の必需品を扱うスーパーマーケットなどは、新型コロナウイルスの影響をあまり受けませんでした。一方、外食や服飾品など日常生活の必需品には含まれない商品を扱うデパートやレストランなどは、新型コロナウイルスの影響が顕著でした。

外出自粛により生まれた小売業のトレンド

外出自粛により消費者からのニーズが高まったのが、Amazon・楽天・ネットスーパーなどのEコマースや、Uber Eats・出前館などの宅配サービスです。新型コロナウイルス対策による外出の自粛は、家での食事やショッピングという新しいトレンドを生み出しました。

実際、紳士服・婦人服・雑貨の販売を行うユナイテッドアローズでも、2020年4月度の売り上げを前年同月と比較すると、店舗での小売では前年度比9%と激減していますが、ネット通販部門では前年比125%と好調です。

また、家での体験を楽しむニーズも拡大し、宅飲み・ゲーム・個人宅用フィットネス器具などの売り上げが拡大しました。家でパンや菓子作りを楽しむ人が増えたために、一部のスーパーマーケットでは、パンの在庫はあるのに、小麦粉だけ品切れ状態になったほどです。

小売業での接客対応にも変化が

新型コロナウイルスにより、消費者のニーズだけではなく小売業での接客対応も変化しました。

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店舗への来店客が激減した三越伊勢丹ホールディングスでは、2020年6月9日から、オンライン会議システム「Zoom」などを通じて、顧客に商品を紹介するサービスを開始しています。顧客は自宅から店舗内にいるスタッフとオンラインで会話し、気に入った商品があればネット通販で購入します。

緊急事態宣言が発令された時期は、次年度に小学校への入学を予定する児童と保護者がランドセルを購入し始める時期とも重なりました。文字や写真では伝わりにくいランドセルの内部構造などについても、スタッフが商品を開け閉めしながら説明することで、店舗に出向いて説明を受けるのとほぼ同じ効果が得られます。

三越伊勢丹は、今後、婦人服や化粧品などでもオンライン会議システムを通じた接客のサービスを展開していく予定です。

アフターコロナに向けた小売業への課題、到来するニューノーマル

新型コロナウイルス問題が過ぎ去った後の世界は、「アフターコロナ」と呼称されます。小売業界においても、アフターコロナ時代をどう生き抜くかという議論に軸足が移っています。

アフターコロナでは、新型コロナウイルス発生前の状態に完全に戻るとは言い切れません。「ニューノーマル(新常態)」とも言われる、新しいビジネスモデルがやってくるとされています。ニューノーマルとは、これまで異常と見られていたものが当たり前になることです。

ECサイトの購買率増加

アフターコロナでは、店舗での売り上げが新型コロナウイルス発生前と同水準には戻らないという考え方が圧倒的多数です。

なぜなら、多くの企業が巣ごもり需要に対応するためにECサイトを急ピッチで立ち上げ、EC化が一気に進んだからです。外出自粛中には、これまでECサイトを利用したことがなかった人も、ECサイトでの買い物を体験する機会が生まれました。この新規層が、ECサイトユーザーとしてそのまま定着すると見られています。

ECサイトでの購買率の増加傾向は、すでに数字として現れています。アクセンチュアは日本を含む世界15カ国の消費者を対象として、新型コロナウイルスによる消費者の購買活動の変化を調査しました。この調査によると、新型コロナウイルス問題をきっかけに、食料品を初めてオンライン購入した消費者は全体の1/5でした。さらに、全体の37%がアフターコロナでもオンライン購入を続けると回答しています。

実店舗には「顧客体験」が求められる

アフターコロナでは、ECサイトとともに実店舗も併用して運営することになります。実店舗は単に商品を販売する場ではなく、実店舗でしかできない体験を提供する場への変化が求められています。

百貨店大手「Nordstrom(ノードストローム)」が、ニューヨーク・マンハッタンにオープンした店舗が好例です。この店舗では通常の商品陳列だけではなく、靴の修理・スタイリストによるアドバイスの提供など、商品の購入以外のサービスを重視しています。さらに、店内7箇所にあるバーやレストランでは、要望に応じて買い物中に飲食物を届けるサービスも行っています。このように、店舗内での体験そのものが来店目的になるような店舗設計が必要です。

AIやIoTなどデジタル技術を活用した管理

アフターコロナでは、ある製品が消費者に供給されるまでの一連の流れ「サプライチェーン」の管理にも、AIやIoTなどデジタル技術が投入されると見られています。

新型コロナウイルスが流行した際、スーパーマーケットなど生活に欠かせない商品を販売する店舗では、トイレットペーパーや缶詰などの日持ちする食材を求めて、人々が殺到するパニック消費が発生しました。このとき店舗運営側では、倉庫在庫はあるのに陳列作業をする人的リソースが足りず、商品の品出しができませんでした。

人の手による在庫管理には限界があるため、今後はデジタル技術を活用して、在庫数・時事ニュース・天気・道路状況などの変数から適切な在庫数や必要な人的リソースの数を自動的に導き出すなど、サプライチェーン管理の自動化が進むと予想されています。

まとめ

新型コロナウイルス問題は、消費者の購買動向や価値観を変えるきっかけを生みました。アフターコロナでも、実店舗ではなくECサイトでの購入が定着すると見られています。

これを受けて小売業でも、「ニューノーマル」の中で成功するための施策を検討しましょう。

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