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交通・物流

物流業界の現状と課題とは?

物流業界の需要や市場規模は年々拡大しています。ECサイトやそれを取り巻く多様なサービスが誕生し、競争は増すばかりです。しかし、ネット通販経由の需要が急増する一方で、最前線に立つ運送現場は、かつてないほど深刻な課題に直面しています。当記事では、物流業界の現状や課題、解決策として取り組むべきことについて詳しく解説します。

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物流業界の現状と課題とは

ネット通販などの普及により、物流業界は右肩上がりで成長しています。しかし、その一方で、運送現場の疲弊感は濃くなっています。まずは、物流業界が具体的にどのような課題に直面しているのかを詳しく見ていきましょう。

過酷な労働環境

1つ目の課題は、トラックドライバーが置かれている過酷な労働環境です。そもそもトラックドライバーは肉体労働の多いハードな仕事ですが、それに加え、ここ数年で宅配便の個数が急増しています。

国土交通省の調べによると、平成26年度には約36.1億個でしたが、ネット通販の普及などで年々数が多くなり、平成30年度には約43.1億個にまで上っています。宅配便の個数が多ければ、それだけ搬送や積み下ろしの手間が増えます。さらに、送り先が不在の場合は再配達もしなければなりません。そのため長時間労働が慢性化し、負荷が大きくなっているのが現状です。

さらに、厚生労働省の調査によると、平成30年度における大型トラックドライバーの年間労働時間は2,580時間と、全産業の平均2,124時間と比べて2割以上も多くなっています。一方で、年間所得額は全産業平均の497万円よりも1割近く低い457万円で、長時間労働でありながら低賃金という厳しい労働環境にあることがうかがえます。

深刻なドライバー不足

2つ目の課題は、深刻なドライバー不足です。トラックドライバーの労働環境は過酷であるため、満足に人を集められず、さらに少子高齢化によって働き手の平均年齢も高くなっています。前述の厚生労働省の調査によれば、平成30年度における大型トラックドライバーの平均年齢は48.6歳と、全産業平均と比べて5.7歳も高くなっています。

次に就業者の年齢構成比を見ると、全産業に占める29歳以下の就業者の割合は全体の16.6%ほどですが、道路貨物輸送業全体では約10%しかいません。労働環境が改善されず、少子高齢化にも歯止めがかからなければ、ドライバーの平均年齢は年々上がっていくことが予想されます。最終的には、「これ以上は荷物が運べない」という悲劇的な状況を招きかねません。

燃料の高騰

3つ目の課題は、燃料の高騰です。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、原油価格は急激に下落しました。しかし、原油価格は世界情勢によって変動するので、価格が上がるリスクを常に抱えています。燃料が高騰化した場合、運送料金を値上げしなければ採算が取れません。しかし、運送業者は荷主に対する取引上の立場が弱く、値下げ交渉に応じてもらいにくいのが現状です。また、社会問題のひとつともいえる再配達の多さが、燃料費をさらに圧迫しています。

国土交通省が令和2年に公表した宅配便再配達の実態調査によると、令和2年4月の再配達数は、都市部近郊で約13万2000個(全体の8.2%)、都市部は約9万1000個(8.5%)、地方で約1万4000個(10.1%)でした。これでも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請などから、前年同月よりは減少していますが、相当な数が再配達されています。さらに、日本では運送業者の多くが、再配達を何度でも無料で行っているため、燃料費の圧迫の大きな要因となります。

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物流業界の課題解決

物流業界は今、ドライバーの人手不足や高齢化、業務効率の低下といった大きな課題に直面しています。これらを打破し、現場で常態化している「負のスパイラル」を断ち切るためには、これまでにない発想や視点で業務改革を進めていかなければなりません。そこで、課題解決に向けて物流業界が取り組むべき施策についてご紹介します。

物流システムの導入

物流には、「輸送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」という5つの工程が存在しますが、システム化によってこれらの工程を一括管理すれば、大幅な効率化が可能です。具体的には、物流業界に多い、手分け・手卸などのアナログな作業のデジタル化や、正確な在庫管理、配車やルートの最適化、輸配送中の荷物のリアルタイム追跡などが実現します。このように、物流業務全般をIoTなどの最新技術で効率化することを「スマートロジスティクス」と呼びます。

荷待ち時間や配送にかかる時間が短くなれば、その分、ドライバーの長時間労働の抑制にもなるでしょう。企業としても、さまざまな無駄が省け、コスト削減を実現できます。また、スマートロジスティクスがもたらす効果は、輸送側のメリットだけにとどまりません。荷物の最新状況を明確に把握でき、自分の都合に合わせて受け取りやすくなるので、顧客満足度の向上にもつながります。

宅配ボックス設置による再配達の防止

宅配ボックスを活用し、再配達数を減らしていくことも大切です。共働き世帯が増え、在宅時間が短くなっていることなどから、宅配ボックスを設置する集合住宅が増えています。一戸建てでは、まだまだ普及しているとはいえませんが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、非対面で荷物を受け取れる宅配ボックスに注目が集まっています。

宅配ボックスの設置にあたっては、受け取り側がコストを負担しなければならず、集合住宅では個人都合での設置は難しいのが現状です。しかし、「確実に荷物を受け取れる」「予期せぬ荷物にも対応できる」「非対面で荷物を受け取れる」など、受け取り側にも大きなメリットがあります。荷主や受け取り主の理解を得ながら、積極的に活用していくとよいでしょう。国土交通省でも、再配達の削減を目的として、宅配ボックスの活用に向けた施策を進めているなど、追い風が吹いています。

物流業務のアウトソーシング

業務のアウトソーシングも選択肢のひとつです。「物流アウトソーシング」とは、外部の専門業者に物流業務からシステム管理まで委託することをいいます。外部のリソースを上手に活用することで、自社では対応できないような高水準の物流サービスの提供も可能になります。さらなる成長が見込まれるEC市場への参入など、これを機にビジネスの幅も広げられるかもしれません。

加えて、物流をアウトソーシングすれば、企業の発展に不可欠な商品開発やマーケティングなどの業務に、限られた人材を集中できます。結果的には、自社の競争力アップにもつながるでしょう。アウトソーシングによって一時的に物流コストは上がりますが、倉庫の維持費や人件費などがなくなる分、長期的に見れば配送料金を抑えられるケースもあります。

ドローンとAIの活用

日本ではまだまだ見かけませんが、アメリカなどでは大企業の支援もあり、すでに一部でAIを搭載したドローン宅配の実用化が始まっています。法整備の問題や安全性の観点などから、日本における物流分野でのドローンやAIの活用は、正直これからといったところでしょう。しかし、現状課題の解消につながる革新的な取り組みであるとして、日本企業でも実用化に向けた実証実験が行われています。

ドローンやAIを活用した配送によって解消できるとされている課題は、「労働力不足の解消」「配送コストの削減」「配達時間の短縮」の3つです。これらに加えて、ヒトでは配送が難しい過疎地や山岳部、被災地への対応も可能になります。ドローンだけでなく、AIシステムを活用した宅配は、再配達の削減にも成果を上げられると期待されています。

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まとめ

日本の物流業界は、いくつもの深刻な課題を抱えています。特に、ドライバーの労働環境は過酷であるため、改善が急務です。スマートロジスティクスなどの最先端のシステムを導入し、徹底した効率化を実現しましょう。ドライバーの負担を減らすことでサービス向上を実現でき、多様化する顧客のニーズにも応えられます。

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