航空法の規制緩和で期待される、ドローンのビジネス活用

 2020.04.17  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

ビジネス分野でのドローン利用を推し進めるため、国は航空法の規制を緩和するなどの対応をしています。今後、様々な業種においてビジネスでドローンの出番が広がっていくことでしょう。この記事では実際、どのような規制緩和が行われたのか、どんな分野での活用が期待されるのかについて解説します。

航空法の規制緩和で期待される、ドローンのビジネス活用

航空法の改正で政府もドローンの活用を推進

2015年12月に行われた航空法の改正により、国内では指定された場所や条件でのドローン飛行を「許可なく」行うことが禁止になりました。

空港やヘリポートとその近く、高度150m以上の上空、国によって「人口集中地区」と定められた地域では、ドローンを飛ばすには、空港事務所もしくは国土交通省の地方航空局に許可の申請を出す必要があります。

また夜間や目視外(操縦者の目の届かない場所)などの条件に該当する飛行の場合も、許可をとらなければなりません。ドローン飛行に指定の手続きをすることで手間がかかるという側面もありますが、反対にビジネスにおいてはドローンを使いやすくなったとも言われています。

従来の法制度上では、ビジネスでドローンを活用する際のルールが曖昧な状態でした。何が法律に引っ掛かるのか想定できない状況では、知らず知らず大きな不利益を生み出しているおそれもあります。

航空法の改正でドローン利用のルールが明文化されたことは、むしろドローンを用いたビジネスへの追い風だと言えるでしょう。

「空の産業革命」に向けたロードマップ

2019年6月、ドローンを安全に利用するための技術開発や環境整備をさらに推し進めるために、国は第11回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会で作成した

「空の産業革命に向けたロードマップ2019 ~小型無人機の安全な利活用のための技術開発と環境整備~」

を経済産業省のホームページ内で発表しました。このロードマップでは、ドローンの利用を以下4つのレベルにわけて具体的な目標設定をしています。

レベル1:目視内(操縦者が肉眼でみえる範囲内)で操縦して飛行すること

レベル2:目視内で自動・自律飛行すること

レベル3:人のいない場所での目視外飛行※離島や山里への荷物の配送等

レベル4:人がいる場所での目視外飛行※都市部での荷物の配送等

「空の産業革命に向けたロードマップ 2019」では、レベル4を2022年度に実現するという目標をたて、必要な施策を行うとしました。

レベル3に関しては、2018年9月の規制緩和によりすでに実現しています。しかし人口が密集する都市部においてたくさんのドローンが安全に飛行するためには、衝突を回避する運行管理システム等が必要です。

このロードマップでは、そういった開発を補助したり環境を整えたりするための施策を実施すると表明されています。

ドローン導入が期待される分野とは?

ドローンを使ったビジネスは、今後ますます活発になっていくことでしょう。

では実際にどんな分野において、ドローンの利用が求められているのでしょうか。分野ごとに例をみていきましょう。

物流

物流の業界では少子高齢化によるドライバー不足や、宅配便が増えたことによる非効率作業の増加、物流が増えたことによる交通渋滞といった課題を抱えています。

そこに自動飛行が可能なドローンを導入することによって、それまで必要とされてきた人員が不要となります。

効率化も進む上、陸路より断然ルートの多い空路を活用することで交通渋滞に悩まされなくなるといった効果も期待されているのです。

実際に、すでに海外においてドローンによる商品の配送が成功した事例もあります。日本でも配送実験が行われていますが、そんな日が来るのはもう少し先になりそうです。

農業

農薬を空中から散布する場合、これまではヘリコプターが採用されてきましたが、作地面積によってはコストが高くなるのが難点でした。

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その点、ドローンであればヘリコプターよりはるかに少ないコストで導入可能です。機動性においてもドローンの動きは秀逸で、操作性も優れています。

ドローンが活躍する場面は農薬散布だけではありません。種まきや収穫した農産物の運搬などの作業を、ドローンに任せることができます。

そのため、農家の労働者不足の対策としても、ドローンは期待されているのです。今後、空中で行われる農業の主役は、ヘリコプターからドローンへと変わっていくことでしょう。

その他、鳥獣被害対策においても、赤外線カメラを設置したドローンの活躍が見込まれています。

鳥獣の生息実態の把握や、捕獲現場の見回り等を行うことにより、これまでの負担軽減や作業の効率化が進められるでしょう。

建設現場

建設の現場では、すでに測量や検査などにドローンが利用されています。

その上で、今後ドローンのさらなる活用が見込まれるのは「i-Construction(アイ・コンストラクション)」です。

i-Constructionとは建設に「ICT」を導入し、生産性の向上を目指す取り組みを指します。

「ICT」とは「Information and Communication Technology」の略で、通信技術を活用した人同士・人とモノとのコミュニケーションのことです。現代では、様々な分野でICTの導入が進んでいます。

たとえばドローンを用いて測量データを3次元化した上で、そのデータを基に機械を自動制御し建設を進めるのもi-Constructionの事例の1つです。実現にはドローンの活用が不可欠なのです。

その他、人が直接作業するのが難しいような高所や狭所でも、ドローンが活躍しています。近い将来、建設現場でドローンが飛んでいるのが当たり前になるかもしれません。

設備点検・調査

設備点検や調査の分野でも、ドローンの活躍が期待されています。たとえば小型のドローンを使い、配管のような狭い場所に侵入して映像を撮影したり、クレーンや足場が必要な高所設備の点検をドローンで行ったりする使い方が可能です。

ドローンが撮影したデータを基に画像解析を実施するという活用方法も考えられます。

ドローンによる設備点検・調査では作業効率のアップやコスト削減、人が危険な場所に入り込む必要がなくなることによる安全性の向上などのメリットが見込めます。

知っておきたいドローンの規制

ドローンを飛ばすには、航空法だけでなく複数の法律の規制をクリアしなければなりません。具体的にドローン飛行にかかわる法律の種類は以下の通りです。

  • 航空法
  • 小型無人機等飛行禁止法
  • 道路交通法
  • 民法
  • 電波法

ここでは、ドローンにまつわる上記規制について1つずつ紹介します。

なお、都道府県や市町村によっては、ドローン利用を規制する条例を設けている場合もあります。ドローンを飛ばす際には、あわせて利用地域の条例を確認するようにしましょう。

航空法による規制

記事の冒頭でも述べたように航空法の改正により、空港やヘリポート周辺、高度150m以上の上空、人口が集中する地域でのドローン飛行を許可なしに行うことは禁止されています。また航空法では、以下についてもルールが定められています。

  • 日中のみの飛行可能
  • 目視の範囲内での飛行に限る
  • イベントや催し事が行われている場所での飛行は禁止
  • 人・建物などと30m以上の距離を守って飛行をする
  • ドローンから物を投下するのは禁止
  • ドローンで爆発物などの危険物を輸送するのは禁止

航空法第 132 条第1号に示される空域(空港やヘリポート周辺、高度150m以上の上空)における飛行の許可は各空港事務所に申請します。

それ以外のルールから外れる方法で飛行をする場合の許可・承認は、国土交通省地方航空局にあらかじめ申請しておく必要があります(静岡県・長野県・新潟県から東は東京航空局へ、愛知県・岐阜県・富山県から西は大阪航空局)。

申請は郵送やWeb上からでも可能です。航空法に違反したり、無許可での飛行を行ったりした場合は、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等飛行禁止法は、国が定める重要な施設周辺でドローンなどの「小型無人機」の飛行を禁止する法律です。

具体的には、国会議事堂・議員会館・内閣府・皇居・自衛隊基地・外国公館・原子力事業所などでの飛行が禁止されています。

違反した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

道路交通法

ドローンを使って道路の上空から撮影を行う、というだけであれば道路交通法の規制を受けることはありません。

しかしながらドローンを利用して、交通を妨げる可能性がある場合や、人が集まって結果的に交通に影響が生じる可能性がある場合は道路使用許可が必要です。

違反をすれば、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

またドローンの飛行において、自動車との距離が30m未満となる場合には、国土交通大臣の承認も必要となるので注意しましょう。

民法

民法において土地の所有権は、土地自体とその上下に及ぶとされています。そのため許可なく他人の私有地をドローンで撮影した場合、民法の違反とみなされることになります。

ただし、ドローンで私有地の上空を撮影したことが、財産の損失や精神的損害に直結すると判断されることは稀です。

そのため、民法違反ではあるものの賠償を求められるとは限りません。とはいえ、マナー上、他の人の私有地で飛行する場合は、事前に許可をとるべきでしょう。

ちなみに、航空機に関しては公共性が認められていることから、「私権は、公共の福祉に適合しなければならない」という民法の基本原則(民法第1条)によって、私有地上空であっても、土地所有権の影響を受けることなく飛行が可能とされています。

(引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

電波法

電波法とは電波を使う際に従うべきルールです。現代では様々な電波が活用されていますが、無秩序に利用した場合、互いに干渉しあい正常な利用ができなくなってしまいます。

そこで公平かつ能率的に電波を利用する目的で、国によってルールが定められているのです。

ドローンの場合、920MHz帯・2.4GHz帯・5.8GHz帯という3種類の電波を利用します。

このうち920MHz帯・2.4GHz帯に関しては、正規代理店から購入した「技適マーク」付きのものであれば、そのまま利用してかまいません。

一方、技適マークが付いていないもの、5.8GHz帯を利用するものに関しては、無線局の免許を取得しないと利用できません。違反した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

以上のように、法制度を遵守せずにドローンを運用すると、さまざまな罪に問われるおそれもあります。

利用の際は、必ず自治体の条例や法律を確認し、事前に申請を済ませておきましょう。

まとめ

ドローン利用のルールが明確になったことで、ビジネスで活用しやすくなりました。

さらに今後は「空の産業革命に向けたロードマップ 2019」に従い、人や交通量の多い都市部においてもドローンの活用が本格化するでしょう。

ドローンが私達の生活にとって、なくてはならない重要なツールになる日も近そうです。

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