アドビが提唱する小売業が取り組むべきデジタルコミュニケーション

 2020.08.20  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

消費者が「顧客体験」を求める方向に変化しつつある中、Adobe Systems(アドビシステムズ)は小売業向け統合プラットフォーム「Adobe Experience Cloud」を通してビジネスを変する提案を行っています。今回は顧客体験が重視されるようになった理由や、Adobeが提唱する考え方について解説します。

アドビが提唱する小売業が取り組むべきデジタルコミュニケーション

小売業が注力すべきは価格よりも顧客体験

小売業がいま大きな変化のときを迎えようとしています。この変化は、消費者が注目するポイントが「価格」から「体験」に移り変わり、「モノ」ではなく「コト」を消費する顧客体験重視の時代になりつつあることと密接に関係しています。この大きな流れを踏まえ、小売業でも「企業側が何を売りたいのか」ではなく、「消費者がどうしたいのか」に焦点を当て、消費者のニーズをつかむことが強く求められるようになっています。

価格競争だけでは生き残れない時代に

社会に多種多様なモノがあふれ、消費者が求めているものに変化が起きています。今まではより安い価格で商品を提供できるかどうかという「価格勝負」が売り上げに大きくかかわっていましたが、社会が成熟して競合他社も増えている現在は、いくら価格で勝負してもさらに安値で売り出す競合相手が必ず出現します。つまり、現代において価格で競合他社と差別化することは非常に難しい状況であるといえます。

そこで、競合と差別化するためのポイントとして「顧客体験」が注目されるようになっています。

ROIが高い企業は顧客体験を重視する

ROI(Return On Investment、投資利益率)は投資した費用からどれだけ利益を得られたかを表す指標です。小売業においてこのROIが高く、大きな利益を上げている企業がビジネスでの意思決定で何を重視しているかについて示しているデータがあります。

デジタルデザインに欠かせないPhotoshopやIllustratorなどビジュアル関連ソフトで名高いAdobe Systems(アドビシステムズ)の依頼で、米リサーチ会社フォレスター・コンサルティングが2018年に複数の業界を対象に行った調査によると、ROIを向上させている業界トップの小売事業者ではビジネスに関するあらゆる意思決定を顧客中心の観点で行っていることが分かっています。また、ROIの上昇を重視している小売事業者の82%は向こう12ヶ月以内の新規顧客獲得のために顧客体験の活用を優先して行うと答えているのです。

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リアルとネットの情報でマーケティングを最適化する

購買行動に沿った顧客の行動・思考・感情などの一連のプロセスを「カスタマージャーニー」と呼んでいますが、デバイスの発達に伴いカスタマージャーニーの内容も年々複雑化しています。スマホでECサイトの商品をチェックし買い物かごに追加して、PCやタブレットから決裁をするなどの商品購入の流れがすでに人々の間に定着しています。それを裏付けるように、マーケティング専門のコンサルティング会社「イーコンサルタンシー」が行った調査でも、購買プロセスの開始時と終了時で異なるデバイスを利用した顧客は40%に上っていることが分かっています。

このように顧客の行動パターンが多層化、複雑化している現代において、精度の高い顧客体験を提供するためには、顧客の一連の購買プロセスを正確に把握する必要があります。そのためには、eコマースなどで得られるオンラインの情報と実店舗から得られるリアル世界の情報を正確に収集し、両方のデータを合わせて行動分析を行い最適化することが非常に重要であると考えられます。

あらゆる確度から顧客体験を高めていく

中国ではオンライン・オフラインの融合により顧客の購買行動を多層的に分析して、より上質な顧客体験を提供する試みが世界に先駆けて進められています。

中国の巨大EC企業「アリババグループ(阿里巴巴集団)」が手掛ける大型スーパーマーケット「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」は、ECサイトと実店舗の両方の機能を兼ね備えた新世代型の小売店舗です。オンラインだけでは成長が頭打ちになることを懸念したアリババが打ち出した実店舗との融合をはかる「ニューリテール(新小売)」の戦略を体現したのがこのフーマーフレッシュです。

フーマーではオンライン、オフラインとも決済はすべてモバイル端末を利用した「Alipay(アリペイ)」で行われ、フーマーは各顧客の決済履歴をすべて収集できるしくみになっています。オンラインでの注文には「店舗から3km以内は30分以内で配送」をアピールして、顧客がオンライン、オフラインを気にせずに買い物を行えるような体制作りを行っているのです。

こうして決済、配送など販売にかかわるすべてのデータを顧客ごとに収集し分析を行い、さらにデータを元にして店舗でのサービスやeコマースの企画に生かし、よりよい顧客体験の創出を目指すというのがアリババグループの狙いです。

このように、精度の高い顧客体験を提供するためはリアルとネットの両方から顧客の購買行動をデータ化し分析することが非常に重要であると考えられており、いろいろな企業がこの手法を取り入れ始めています。

最高の顧客体験にむけた顧客体験管理「Adobe Experience Cloud」

Adobeは小売業界に向けて2018年1月に広告配信やECサイトの管理、データ分析などマーケティングに関するあらゆるツールを集めたクラウド型統合プラットフォーム「Adobe Experience Cloud」を発表し、すべての顧客体験を管理して顧客満足度を高める施策の重要性を提案しました。

この統合プラットフォームにはeコマースが構築できる「Adobe Commerce Cloud」のほか、広告配信を束ねる「Adobe Advertising Cloud」や、アクセス分析を行う「Adobe Analytics」、顧客に合わせてサイト情報をカスタマイズする「Adobe Target」、顧客とのコミュケーションの効果を測定する「Adobe Campaign」、そしてオンオフのあらゆる顧客情報を収集する「Adobe Audience Manager」などあらゆるツールが含まれています。

世界的な半導体メーカーのNVIDAや日本を代表する航空会社のANAなどがこの「Adobe Experience Cloud」を活用し、顧客体験の創出に力を入れています。

まとめ

消費者の求めるものが「価格」から「体験」へと変化している今、小売業界でも顧客に関するすべての情報を活用して新たな顧客体験創出に生かそうとする企業が現れ始めています。Adobeは「Adobe Experience Cloud」を通して、すべての顧客体験を統合しよりよい顧客体験を創出するサポートを目指しています。

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