デジタル手続法とは?基本原則やメリット、推進に向けた施策を解説

 2021.01.27  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

デジタル手続法の施行によって行政手続の効率化や利便性の向上が期待されています。しかし、具体的にどのような法律かをご存知ない方もいるでしょう。そこで、同法の基本原則や、実際に進められている施策の内容、これらの取り組みがもたらすメリットなどを解説していきます。

デジタル手続法とは?基本原則やメリット、推進に向けた施策を解説

デジタル手続法とは?

デジタル手続法とは、2019年5月に公布、同年12月に施行された法律です。正式名称は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」です。

ITを活用した行政の推進を基本原則とし、各種手続をオンライン化することなどを目的に成立しました。手続きをオンライン化する流れは、2001年に政府が掲げた「e-Japan戦略」において、書類ベースや対面ベースで行われている行政手続のオンライン化を目指す「電子政府(デジタル・ガバメント)」の移行推進構想が基となっています。2002年にはデジタル手続法の前身である「行政手続オンライン化法」が制定されました。その後、技術力の向上とデジタル化の基盤になる制度整備の進行により、急速にこの流れが進みました。2019年に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」において、情報システム整備の在り方や取り組みの方向性などが策定されています。

同法もこのような流れの中で成立したものです。電子申請等の利用を可能にし、利用者の利便性を高めるとともに、業務を遂行する側の負担軽減や効率性の向上などを目的としています。また同法の成立に伴って、住民基本台帳法やマイナンバーカードの利用関係も改正されています。

さらに2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大によって、デジタル化の必要性が社会全体でより必要とされるようになりました。こうした事情もあり、行政手続のオンライン化が加速的に進んでいます。

デジタル手続法で期待されること

同法により、事務を遂行する職員、そして行政サービスの利用者にも様々なメリットが期待され、さらに企業に対しても大きな影響を及ぼすと考えられます。主なメリットには「申請作業の時間短縮・省力化」「行政側の人手不足解消」「働き方改革の促進」「交通費や郵送費のコスト削減」などが挙げられます。

補助金や助成金等の申請を例とした場合、旧来の方法では多数の書面記入や添付書類の準備などが必要です。しかし計画が進めばオンライン上で入力が完結し、情報の連携によって添付書類の必要がなくなるなど、申請が容易になることが期待されます。他にも会社の設立手続や納税申告などの様々な手続が簡素化され、事業者の負担も少なくなるでしょう。

また行政側の書類確認が短時間で可能になるため、双方の負担軽減になるとともに、手続のスピード化にも繋がります。原紙の保管が義務付けられているものに関しても、電子保管への移行により検索が瞬時にできるようになり、効率が上がるとともに保管場所の問題も解決されます。また、ペーパーレス化が進むことでコストの削減も期待できるでしょう。

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デジタル手続法の基本原則

行政手続のオンライン化による利便性向上を目指すには、デジタル手続法の基本原則である以下の3つを踏まえることが重要です。

デジタルファースト

「デジタルファースト」とは、各種手続・サービスに関して、デジタルで一貫して完結させる原則のことで、オンライン化を実現するための一つの柱です。

これまでも部分的にはオンライン申請が可能になるなどの施策が講じられてきましたが、添付書類を別送する必要が生じたり、役所に出向かなければならなかったり、といった問題が解決されていません。そこで同法では、手続の最初から最後までオンラインで完結させることが基本原則とされているのです。

ワンスオンリー

現在、行政手続において窓口が変わったとき、同じ情報を再度提出しなければならないといった問題が生じています。このような状況を改善するため、情報システムの整備が取り組まれています。

「ワンスオンリー」は、一度提出した情報の再提出をできるだけしないで済むようにしようとするものです。無駄な作業を省くことで、利用者の利便性が高まることはもちろん、書類の保管にかかる手間の削減にも寄与します。

コネクテッド・ワンストップ

「コネクテッド・ワンストップ」は複数の行政機関にまたがる手続をワンストップで完結させようというものです。ここで考慮されるのは、行政上のサービスに限られません。民間サービスも含めてワンストップで完了できることが重要視されています。なぜなら今後はさらに官民連携が図られ、国民の生活に多様なサービスが密接に関わることになるからです。

特に転居に伴う水道やガスといった契約については、コネクテッド・ワンストップの必要性が高いといえるでしょう。役所で転居手続を行なうだけで自動的にライフラインに関わる契約の内容も更新されれば、手続きの手間がなくなります。どこで生活しても継続が想定される契約などは、このように連携が取れていると非常に便利です。

デジタル化推進に向けた施策

デジタル手続法に基づいてデジタル化が推進される主な個別施策について、具体的な事例を交えて解説します。

国外転出者手続のオンライン化

これまでマイナンバーカードは、国外に転出し住民票が消えると利用ができない状態にありました。しかし国外に長期的に滞在する人が増え、インターネット上でも本人確認を行うニーズが高まり法改正をするに至っています。国外に転出した後もマイナンバーカードの公的個人認証による本人確認が行なえるようになりました。

それにより、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」が利用でき、年金の現況届をはじめとする各種手続がオンライン上で行えるようになります。これからの社会情勢にも適した仕組みといえるでしょう。

情報システムを活用した行政事務の拡大

デジタル化による行政事務を拡大する施策も進められています。例えば過去の居住関係を公証するニーズの高まりに対応し、住民基本台帳法が一部改正されています。住民票が削除された後でも「除票」が保存され、その保存期間は5年から150年に拡大されました。本人確認情報が長期的に、そして確実に保存されることで利用者に優しい仕組みが作られています。

旧来の方式では実現できなかったことでも、情報システムの整備により可能になることが多くあります。膨大な処理の瞬時かつ正確な遂行や情報の保存も比較的容易になります。保管にかかるコスト・労力が少なくて済むため、長期的にデータを残すことによる利便性向上なども期待されます。

オンライン本人確認手段の利便性向上

本人確認に関してはここまでで説明した通り様々な方策が取られていますが、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにするなど、より利便性向上に向けた取り組みが進められています。

公的個人認証法の改正により、利用者証明用電子証明書に関して暗証番号の入力を必要としない利用方法の導入や、暗証番号の入力不要によるe-taxやコンビニ等での住民票取得など、さらに便利さが高まりつつあります。

マイナンバーカードの取得の促進

マイナンバーカードは、以上のように手続のデジタル化を進める上で重要なものです。マイナンバーカードを活用するための仕組み作りは大切ですが、同時にカードの普及も進めなければなりません。そこで取得を促進するため、通知カードの廃止や変更手続の軽減といった施策も進められています。

まとめ

デジタル手続法は、行政手続にかかる利便性を高め、運営の簡素化と効率化を図るための法律です。同法の成立に伴って関連する各種法律も改正されるなど、様々な取り組みが行われています。今後もさらに法律や仕組みが改良されることで、旧来の面倒だった各種手続がより簡潔かつスピーディーに行なえるようになるでしょう。

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