小売業の陳列棚は将来どのようになるのか?

 2019.11.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

小売業で売り上げを高めるために非常に重要になるのが店舗に並ぶ陳列棚です。近年、この陳列棚にもIT技術の導入が進んでいます。そこで、売れる商品陳列のノウハウや最新の什器情報、陳列棚はこれからどのように進化していくのか?などを詳しくご紹介します。

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商品陳列の意義と目的

言われるまでもなく、陳列棚を含めて売場をどのように作り上げていくかは、小売業に関わっていれば誰しもが関心をもつ所です。まずはあらためて、店舗の中で商品陳列が持つ意味を考えていきましょう。

なぜ商品陳列を工夫する必要があるのか

店舗に訪れた顧客は、買うものが明確に決まっている場合を除き、店内を回遊しながら何を買うかを選びます。目に入ったものを手に取ったり、複数の商品を比較したり、値段が妥当かどうかを考えたりといった行動が想定されます。また、時には買うつもりは無かった商品に気が付くこともあるでしょう。

たとえ買うものが決まっていても、お目当ての商品を見つけるまでは店内を移動することになります。ならば、そこに至るまでの商品陳列を工夫しておくことで、売れ筋の商品をおすすめしたり、関連する商品をついでに買ってもらったりすることも可能になるでしょう。

このように店舗で販売を行う小売業では、商品が並ぶ陳列棚次第で顧客の購買意欲が大きく変わります。もちろん、やって来る顧客のタイプはお店によって千差万別です。それでも、立地や業種、スペースの大小などに関係なく、小売りの長い歴史の中で定番となった陳列法がいくつもあります。

陳列法の主な種類

ではさっそく、商品の購買率を高めてくれる陳列方法について紹介しましょう。

フェイス陳列

フェイスとは、商品を並べたときの陳列面です。同じ商品を2つ並べた場合は2フェイス、3つなら3フェイスとなります。このフェイスを大きくすればするほど、売り場で目立たせることができます。

ボリューム陳列

フェイス陳列をさらに進めたものがボリューム陳列で、壁一面を埋めるような大仕掛けな見せ方です。インパクトを出すためには短期間が良いとされています。フェイス陳列は日常的、ボリューム陳列は非日常的、と言えます。

ディスプレイ陳列

フェイスやボリュームほどではないにしろ、商品をパッと目に付くように見せる陳列です。例えば本屋では、よく売れている書籍や雑誌を平積みにすることで、目に付くようにしています。売れ残りの品をワゴンに入れて通路に出しても目立たせることができるでしょう。

展示陳列

「ムードアップ陳列」と言われることもあります。贅沢にスペースを使い、商品の世界観をセンス良く表現する陳列法です。メッセージ性や専門性の出し方が問われ、化粧品や装飾品など高級な商品で多く使われています。

圧縮陳列

展示陳列とは逆に、狭いスペースに商品を詰め込み、視線の中にたくさんの商品を入れて衝動買いを促す陳列法です。国内ではドン・キホーテがこの手法を取り入れており、棚の陳列にとどまらず、店内自体をジャングルのようにして圧縮陳列化を図っています。

Googleマップにも表示される時代に

スマホを始め多くのユーザーに利用されているGoogleマップは、日々新たな実験やサービスの投入を図っていることでも知られています。そんなGoogleマップでは現在、一部の大型の商業施設を対象に「乳製品」「ペットボトル飲料」「酒」「野菜」「精肉」「冷凍食品」など、店内でどの棚にどんな商品が並んでいるかまで、表示ができるようになっています。

もちろん施設の構内にある階段や、エスカレータなどの位置も画面上で分かります。つまり、アプリに誘導されて来店した人がそのままスマホの画面を見ながら店内を移動し、お目当ての商品が売られている棚の前まで来れてしまうというわけです。

エレベーターなどをクリックすると、売り場のフロアも選択できるなど、利便性も非常に高まっています。これまでは陳列棚の配置は来店して始めて分かる情報でした。しかし情報化が進んだことで、お店に来る前に何がどこにあるのかが伝わる時代になってきました。最終的には商品の陳列状態まで把握できるようになるかもしれません。

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売れる商品陳列の工夫とは

陳列法の主な種類については先程ご紹介いたしましたが、さらにその中で使える陳列の工夫についても紹介します。組み合わせて導入することで、より効果が得られるでしょう。

カテゴリでまとめる

同じ価格帯や、同じ季節、子ども向けや主婦向けなど、同じグループで商品をまとめると、顧客は複数の商品を買いやすくなります。

関連性でまとめる

メインの商品に関連するものをまとめる方法です。お肉の売り場に焼き肉のタレや鍋のスープなどを置いておく、マネキンを使って帽子から靴までの全身コーディネートを見せる、などがよくある使い方です。

前進陳列

商品が手に取りやすいよう、棚の一番前のラインに商品が並べられている状態です。そもそも前面に隙間があると「在庫が少なそう」、「手入れが行き届いていない」「古い商品が並んでいそう」などと思われてしまいます。

ゴールデンライン

歩いていて目に止まりやすい高さにあると、その商品は売れやすくなります。大人であれば概ね80cm〜150cm程度でしょう。売れ筋商品はこのラインの中に配置するのがおすすめです。

先入れ先出し法

先に仕入れた商品を前に置き、古いものから順に売れるようにすることです。賞味期限が短い食品などでよく用いられる手法です。

小売業「陳列棚」の今

小売業界が抱える人手不足の課題に対応したり、狭いスペースを有効に活用したりするため、最新の陳列棚ではさまざまな技術や工夫が取り入れられています。その一部を紹介します。

AIで接客する陳列什器

大日本印刷がNTTコミュニケーションズと共に開発した商品陳列什器では、カメラやセンサー、AIなどを搭載することで顧客を認識、自動で最適な接客を自動で行えます。

棚のスタイルは陳列する商品の形状に合わせて可変できるため、さまざまな業態の店舗に導入することが可能です。またプロジェクターも搭載しており、商品のプライスカードや什器部分、さらに商品自体に対してプロジェクションマッピングを実施できます。

この陳列棚ではまず、やってきた顧客が棚からどの商品を掴み取ったかを認識します。次にその人の外見などから年齢や性別を推測、本部のサーバに情報を送ります。それをAIが分析することで、リアルタイムで顧客と会話をしたり、商品のプロモーション映像を再生したり、さらに関連する情報などを表示するなどして、購入動機を高めます。

映像についても、従来のディスプレイでは画面の大きさが固定されてしまいますが、プロジェクションマッピングは投影型なので、サイズに制約がありません。ダイナミックな表現から控えめな情報掲示まで幅広く使え、紙のPOPの代用にもなります。

セブン‐イレブンのスライド式の陳列棚

究極的な効率化が求められるコンビニエンスストアでは、各社が現場環境の改善にしのぎを削っています。

業界最大手のセブン‐イレブンでも、新しいタイプの店内什器の開発に余念がありません。最近導入されて注目を集めているのは、スライド式の陳列棚です。

スライド式の陳列棚は、商品の補充や、前後の位置の入れ替えなどに要する作業を削減するために開発されました。従来の固定された陳列棚では、既に陳列されている商品をずらしながら、その後ろに商品を追加していく必要がありました。しかし棚を大きく前にスライドさせることでこの作業が楽になり、時間の大幅な短縮に成功しています。

また冷凍ケースでは、スライド式の陳列棚に氷点下以下でも凍らない素材を導入、ガラス扉に曇り止めのシートを貼って商品を常に見やすくするなど、工夫が施されています。

さらに弁当の什器にもスライド式の陳列棚を導入し、昼の混雑時などでもスムーズに店舗オペレーションが出来るように改善が進んでいます。セブン‐イレブンでは、これらの施策によって、商品補充にかかる時間を1日あたり約1時間40分も削減できたとしています。

将来の陳列棚はどう変わる?

このように、既に現在もセンサー付きの什器や、新しい機能を備えた陳列棚などが導入されていますが、将来の陳列棚はさらに情報化や高度な機能が装備されることは間違いありません。ここでは未来の陳列棚の形を少し覗いてみましょう。

リアルタイムで情報が可変する棚札システム

一部小売店では導入され始めていますが、将来的に商品ごとの棚札(プライスカード)のデジタル化が進むでしょう。
オンラインから作業することで、リアルタイムに値札の金額を変えたり、商品情報の更新などが行えるようになります。

タイムセールや閉店前の割引対応も、いちいち手作業で値札を貼り替える必要はありません。しかも事前にアプリに買いたい商品を登録しておけば、その商品が陳列されている棚の場所が表示され、商品の前に行くとタグが点灯、商品をスキャンすればセルフ精算まで可能となります。

単に陳列棚自体がデジタル化されるだけでなく、在庫や売れ行き、顧客情報、商品ごとの情報などが総合的に運用されることになるのです。

関連記事:小売事業に変革をもたらす電子棚札とは?

品切れをチェックするロボットの導入

アメリカのウォルマートでは、陳列棚の品切れ状況をロボットでチェックするという取り組みに乗り出しています。

このロボットは店内を自動で通行し、品切れになっている棚がないかどうかを調べます。また表示されている価格や情報に誤りがないかも同時にチェックしていきます。この取り組みは、顧客が手に取った商品を別の場所に置いてきてしまうという問題の解決も含まれます。

この場合、その商品を元の場所に戻す作業が必要になりますが、それは店側にとって新しい利益を生む行為ではありません。そうした作業はロボットにやらせ、それによって空いたスタッフの時間を、顧客へのサービス向上に使うことが目的です。さらにこのロボットたちは、商品を配達してきたトラックから店内の陳列棚に商品を運ぶ作業もしてくれます。

まとめ

ここで紹介したように、陳列棚の使い方は小売業にとって極めて重要な問題です。まずは基本となる陳列法を元に自分なりの工夫を入れて、顧客のニーズに応える売り場作りを目指してください。そして日々進化する新しい陳列棚へのアンテナも立て、デジタル化を検討していきましょう。

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