ドローン物流への期待と各企業の実証実験を徹底解説!

 2020.05.18  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

通信販売などで世界的にニーズが増えている物流業界ですが、その一方で、ドライバーをはじめとする労働力の不足している状態が長年続いています。こうした人手不足やコスト削減を解決すべく、ドローンによる物流実験が世界中で進められています。そこで当記事では、ドローンの活用法や課題、実際に導入した事例などについてご紹介します。

drone-logistics

労働力不足を解決するドローン物流への期待

日本の物流業界における年間輸送量は、9割近くをトラックによる運送に頼っています。しかし、こうした需要の高さとは裏腹に、トラックドライバーは長時間の拘束や仕事量に見合わない低賃金といった労働環境の問題を抱えており、物流業界全体において慢性的な人手不足に悩まされているのが現状です。さらに、少子高齢化が進む日本では、時代が進むにつれてこの問題はさらに深刻化していくだろうと予想されています。

この問題を解決するために、近年ではドローンによる配送サービスの技術開発が積極的に進められています。ドローンを活用することで解消されるのは、何も人手不足だけではありません。空を飛んで宅配するドローンは交通渋滞に左右されないため、配達にかかる時間が読みやすくなります。そのため、配達の時間短縮や効率化にもつながり、今よりもスムーズな物流を実現することが可能だと考えられています。

ドローン物流の活用方法

それでは、ドローン物流に期待できるさまざまな活用方法を具体的に見ていきましょう。

まず挙げられるのが、「ラストワンマイル」における配送です。ラストワンマイルとは、各地にある配送拠点から家やオフィスといった最終宅配地点までの区間を指します。この区間の配送は、距離は短いながらも、荷物の手渡しや不在時の応対などの煩雑な手間を要するものとされており、配送会社にとっては悩みの種の一つとされている部分です。このラストワンマイルにかかる手間暇を短縮する手段として注目されているのが、ドローンによる宅配です。ドローンは、トラックのように県をまたぐような長距離運送はできませんが、こうした一手間かかる部分を無人で任せられる点は大きな魅力です。

次に、過疎地域への宅配においても、ドローンの有用性を発揮できるとされています。離島はいわずもがな、川や山などに遮られ交通整備が整っていない地域では、トラックでの輸送は一苦労です。こうした陸路での移動に時間がかかる場所でも、小回りが利くうえ空を飛ぶことができるドローンなら、あっという間に荷物を運ぶことができるでしょう。また、こうした地域にドローン配達の物流拠点ができることで、過疎地域の雇用の活性化につながるとの見方もあります。

ドローンは他にも、高齢者へのサポートにも役立ちます。高齢者による交通事故が相次ぐ近年、運転に消極的になる高齢者の方もいます。また高齢者の中には、公共交通機関のない場所に住んでいたり、体が弱っていて長距離の歩行に難があったりする方も多く、日常の買い物も一苦労だという声が数多く上がっています。こうした深刻な悩みを解決するために注目されているのが、ドローンによる配達です。

過疎地域への宅配について前述しましたが、こうした地域には高齢者の方が多く住んでいます。そのため、ドローン配達のニーズは都心部よりもこうした地域でいっそう高まるだろうと考えられています。

期待される一方で課題も

あらゆる面で期待されているドローン配達ですが、新たな取り組みである分、課題も多く存在します。

まず挙げられるのが、運送における安全性です。今までにない空路を運ぶことになるので、ドローンが多く活用されれば衝突事故や荷物の落下などの危険性も高まります。また、無人での配達となるので、運んでいる最中や受け取り損ねた荷物が盗難にあった場合、保障や責任の所在はどうなるのかといったトラブルも予想されます。

こうした混乱を極力避けるべく、まずは新たな航空管理システムや法律、企業‐消費者間のルールの認識といった地盤をしっかりと整える必要があるでしょう。

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ドローンを活用した国内企業の取り組み

2020年現在、あらゆる企業がドローン配達の実用化に向けて多くの実証実験を行っています。国内では主に、物流会社やインターネット販売に力を入れている企業が、ドローンの活用に向けてさまざまな取り組みを進めています。

ANAホールディングス

2019年6月、航空会社ANAホールディングスは、長崎県五島市において離島間のドローン配達実験を実施しました。

五島市は五島列島と呼ばれる小さな島の集まりから成る地域です。中心となる福江島を始点に、黄島・赤島を配達先としてドローン実験は行われました。黄島には商店が1件ありますが赤島にはなく、物資を調達するには福江島からの定期便を利用して買いに行くか、福江島から取り寄せる必要があります。こうした中、五島市は市民の生活の利便性を向上させるべくドローンの活用を検討しており、それに伴う物流システムや人材育成にも取り込んでいるとのことです。

楽天

楽天は、ドローン宅配による物流システムを一般に提供する、「そら楽」の開発を進めています。スマートフォンにインストールさせた専用アプリを使って買い物をするシステムで、2016年の5月から6月にかけて、ゴルフ場で飲み物などを配達するサービスを実験的に実施しました。楽天は、こうしたサービスを一般的な買い物だけに留まらず、物流が困難な地域や緊急時における被災地へのサポートなど、ビジネスだけでなく社会貢献に活かすことを目標に掲げ、研究を重ねています。

日本郵便

日本郵便では、郵便局間の輸送にドローンを活用する実験を行いました。人口減少が進む過疎地域でこうした技術を取り入れることは、人手不足の解消や仕事の効率化につながるとされています。

実験内容は、福島県にある小高郵便局と浪江郵便局の間の輸送を行うというもので、これまでトラックで25分かかっていた輸送が、ドローン配達にすることで15分に短縮することができました。

KDDI

電気通信事業を行うKDDIは、最大飛行距離が約175kmにも及ぶシングルローター型ドローンを物流に活用する実証を、愛知県・三重県・滋賀県の三県をまたぐ形で行っています。ドローンは一般的に数キロ程度の輸送を前提として考えられているため、最大175kmというのは他と比べても圧倒的に長い距離であるといえます。

KDDIは、この長距離飛行ドローンの実証実験をもとに、短距離だけでなく中・長距離の輸送もドローンが担えるかの見極めを行いたいとしています。また、同時にこうした技術が地場産業の活性化につながるか、緊急時の災害支援に活用できるかといったポイントにも着目しています。

ドローンを活用した海外企業の取り組み

ドローン技術に関しては当然、海外企業においても至るところで積極的に開発が進められています。中でも、世界的に有名な2社の取り組みについて見ていきましょう。

Amazon

通信販売をはじめ、さまざまなWebサービスを提供するAmazonは、ドローン配送サービスである「Prime Air」の開発を進めています。このサービスに用いるドローンの飛行距離は約24kmで、2.26kgまでの荷物を運び、約30分間の飛行が可能とされています。このサービスが実用化されれば、アメリカにおけるプライム配送が2日から1日に短縮できることになり、より迅速な配達を実現できるとされています。

Amazonは2015年ごろから積極的にドローンの活用を検討していましたが、安全性の確立や法整備といった課題が残るため、実用化には至っていない段階です。

DHL

DHLは航空機での輸送を主とした、ドイツの国際物流会社です。DHLはドローン製造会社であるWingcopter社、国際開発分野でのサービスを提供するドイツ国際協力公社との共同体制のもと、Deliver Futureプロジェクトによるドローンを使った遠隔輸送実験を行いました。「Parcelcopter4.0」と名付けられた輸送用ドローンで、本土から離島へと医薬品を届けるという実験を6ヶ月に渡って行い、無事成功に終わりました。

この実験によって、Parcelcopter4.0は60kmの距離を平均40分で飛行できることが実証されました。医薬品の中には鮮度や温度を保たなければならないものもあるため、ドローンによる迅速な配達は救急医療の場でも大いに役立つであろうとされています。

まとめ

ドローンによる配達サービスが実現すれば、物流業界の人手不足解消やコスト削減といった面での改善はもちろんのこと、人々の日常生活の利便性の大幅な向上も期待できます。

未だドローン配達には解決すべき課題もたくさん残されていますが、世界中の企業がドローン配達の実現に向けてさまざまな取り組みを進めています。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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