ドローンは物流を変えるのか?実例と今後の展望

 2020.03.16  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

世界のEC大手Amazonが英国で行ったドローン物流の実証実験や、米国セブンイレブンが行ったドローンによる宅配サービス実験など、現在「ドローン×物流」の新しいサービス提供に大きな注目が集まっています。『平成27年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法』によりますと、日本の宅配便取り扱い個数は年々増加しており、2005年から2015年で比較すると11年間で約28%増加しています。

このため、宅配便を早く確実に届けることは、日本の経済発展における最重要課題の1つであり、物流の未来を変えるのに欠かせない施策です。本記事では、ドローンによる物流の実例を交えながら、今後の展望について考察します。

ドローンは物流を変えるのか?実例と今後の展望

ドローン物流ってなに?

ドローンとは無人航空機のことで、大半のドローンは1メートル四方に収まるサイズで開発されています。小型ドローンにいたっては家電量販店や玩具店でも取り使っており、ラジコン感覚で操作できることから広く人気を集めています。

もともとな軍事利用目的で開発されたものですが、2010年にフランスのテクノロジー企業のParrot社が「AR.Drone」を開発・販売したことで、一気に商用化が進みます。iPhoneやiPadにアプリをインストールして操作するという機能は、当時としてはかなり革新的でした。

ドローンはその手軽さから様々な産業での活用が進み、今では農作業における薬品散布や建築現場での測量、大型建築物の点検や監視などその幅を広げています。そして現在では実用化に至ってはいないものの、2016年から大きく注目されているのがドローン物流です。

文字通りドローンを使って物流プロセスを回すことを意味しており、個人・法人が注文した商品を、ドローンを使って配送するというサービスです。人または飛行機がない上空30m~150m圏内においてドローンが飛び回れば、交通状況に関係なく一定の時間で商品を届けることが可能となり、物流のあり方が大きく変わります。

日本の物流業界が抱えている課題とは?

物流増加による交通渋滞の激化

前述のように、日本国内の物流における宅配便取り扱い個数は年々増加しています。ということは、その分商品を配送する専用車が必要になり、交通渋滞は激化していきます。特に都心部での交通渋滞は非常に熾烈であり、物流プロセスが大きく停滞する原因になっています。

労働力不足による物流の鈍化

宅配便取り扱い個数は増え続けていても、労働力は一向に増えません。物流業界は深刻な労働力不足に悩まされており、ドライバー数の減少と高齢化によって今後もどんどん不足してく見込みです。特にトラックドライバーは普通自動車免許では運転ができないため、免許取得に一定のコストと労力がかかることから年々減少しています。

再配達による業務非効率性

都内における宅配便の35%は不在配達です。ドライバーは再度同じルートを取って宅配に回らなければいけないため、業務効率が上がりません。これによる労働環境は悪化していき、物流人材の減少を招いています。

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以上のように、現代日本の物流には深刻な3つの課題があり、その解決が急がれています。

ドローン物流は本当に可能なの?法整備はどうなっている

ドローン物流が本格的に実用化すれば、いつでもどこにいても購入した商品を受け取れたり、配送時間をより細かく指定したりと様々なサービス向上の恩恵が受けられる可能性があります。しかし、ドローン物流は本当に実現可能なのでしょうか?問題として挙がっているのはやはり「法整備」です。

EC事業者などが好き好きにドローンを飛ばしてしまっては、いずれ我々の頭上でも渋滞が起こるかもしれません。危険なのは、ドローン同士や鳥との接触、制御不能になったドローンの墜落などによる人々への被害です。このため、ドローン物流を実現するためには確実な法整備が必要であり、日本政府はこれを急ピッチで進めています。

2019年6月に国土交通省の「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」が取りまとめた中間資料によると、ドローン物流に関する法整備について以下のようにまとめられています。

● 飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には以下のルールに従う必要があり、これらのルールによらずに飛行させようとする場合には、安全面の措置を講じた上で国土交通大臣の承認を受ける必要がある。
  1. 日中(日出から日没まで)に飛行させること
  2. 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
  3. 第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との間に距離(30m)を保って飛行させること
  4. 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと
  5. 爆発物など危険物を輸送しないこと
  6. 無人航空機から物を投下しないこと

● ドローンの落下事案が発生するなどの安全面における課題に対しては、2015 年12 月 10 日に「航空法の一部を改正する法律」が施行され、ドローン等の無人航空機の飛行の安全確保の基本的なルールが定められた。


● 国土交通省では 2016~2017 年にドローンの目視外飛行における安全な自動離着陸が可能で、かつ安価に設置できる「物流用ドローンポートシステム」の研究開発を実施した。

引用:国土交通省:過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会中間とりまとめ

ただし、ドローンの法整備に関しては物流最適化のための法改正よりも、ドローン飛行の規制という側面が強く、実用的なドローン物流の実現にはまだ少し時間がかかると考えられています。

海外で産声をあげる貨物用巨大ドローン:セイバーウィングエアークラフト

今、ドローン業界で話題になっている会社の一つ、それが米国のベンチャー企業セイバーウィング・エアークラフト社(Sabrewing Aircraft Company)です。両翼10mにもおよぶ巨大な貨物用ドローンで1,000kg近くの荷物を運びながら上空6,000mの高度を400km/時で飛ぶといいます。同社のドローンは、パイロットが搭乗せずに天候にかかわらず地球上のほぼ、あらゆる遠隔地域に到達でき、有人航空貨物機よりも安全性、経済性、効率性に優れていることで注目されています。現在、開発中のようですが既にセントポール島アレウト族コミュニティ (ACSPI) が10機購入を決めていることを発表しています。このような動きから太平洋を横断するようなドローンももう近未来の話ではないのかもしれません。

ドローン物流

ドローン物流「そら楽」の取り組み

国内大手EC事業者の楽天は、ドローンを使った物流を実現するための「そら楽」というプロジェクトを立ち上げ、実証実験を行っています。そら楽は完全自立飛行ドローンによる目視外飛行運用を行うもので、直感的に操作可能なアプリから商品の注文・配送を依頼できます。画像認識とビーコンを活用した正確な着陸が可能であり、第1弾プロジェクトとしてゴルフ場(千葉県キャメルゴルフリゾート)でのサービス提供を行いました。

ゴルフ場は広大な開けた空間があり、ユーザーニーズが明確なことと非人口密集地の私有地なので規制対策が容易ということで選ばれました。また、ゴルフ場は全国に3,000以上あるため、市場規模拡大も見込まれます。

また、そら楽は物流困難地域に住む人々を支援するための新しいソリューションとして、災害発生時に被災地へ必要な物資の配送を可能にする手段としてドローン物流に取り組んでいます。

いかがでしょうか?ドローン物流の実用化にはまだ時間がかかりますが、そう遠い未来ではありません。実現すれば、物流業界が抱えるさまざまな課題をクリアして、より多くの人に高品質サービスを提供できるようになるでしょう。今後も、ドローン物流に注目していきましょう。

参考資料:ドローン物流サービスの実例と今後の展望

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