医療向けデータウェアハウス(DWH)とは?必要性や求められるものを解説

 2021.03.29  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

医療向けデータウェアハウス(DWH)は、医療データの活用と経営効率化に欠かせないといわれています。そのため、興味のある医療関係者も多いのではないでしょうか。本記事では、医療向けDWHの必要性と求められるものについて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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DWH(データウェアハウス)とは

DWH(Date Ware House)とは、複数のシステムを介して収集したデータを時系列で保管したデータベース(DB)で、医療機関では分析用DBとして利用します。

DWHを分析用DBに利用するときには、ユーザーが利用目的に合わせて分析に必要な情報を検索し、データの重複保有のデメリットを回避できるよう、主題別に整理・保存するようにします。

業務用DBと分析用DBの分離

業務用DBは、分析用DBとは目的や求められる機能が異なるため、分離することが重要です。

業務用DBは業務遂行に必要なデータの保存が目的のため、素早くアクセスしたいものです。データは削除を伴う更新も多く、短期間のデータ保有で完結します。一方、分析用DBは、長期間保有を目的とし、データの変化観察も行うため、削除せず上書きによる更新がほとんどでしょう。

不正アクセスやサーバー負荷が原因の業務停滞を防ぐ観点から、分離は必要とされています。

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医療向けDWHと電子カルテや統合型医療情報システムとの違い

医療機関では、情報のデジタル化に複数のシステムが導入されています。

電子カルテは、医療機関が連携するための医療情報のデジタル化とDB構築を目指します。統合型医療情報システムは、救急医療体制の一環で、自治体や消防本部、医師会などの関係機関の情報共有が目的になります。

ここからは、医療向けDWHの特徴をデータ利用の面から紹介します。

一次利用と二次利用

医療現場での電子データは、診察に利用する一次利用と病院経営に役立てる二次利用の2つに分かれます。

一次利用は、患者それぞれのデータが重要で、治療など個人を特定した状態で利用します。二次利用は、統計作成が目的のため、個人を特定しない匿名データの形で活用します。

医療研究の立場から見ると、診察など臨床での利用を一次利用、学術的分析や基礎研究・病理解明などを二次利用に分類することが可能です。

一次利用

医療機関でのデータの一次利用とは、患者の診察や治療などに直接関係する利用方法です。一次利用の効率化に、電子カルテや統合型医療情報システムが導入されます。

電子カルテの特徴は、複数の検査項目を一度に表示し、データ検索が容易なことです。紙データでは困難な年度をまたいだデータの推移確認もできます。

統合型医療情報システムは、医療体制を支援する取り組みです。情報共有により。救命につなげることができるでしょう。

二次利用

DWHデータの二次利用とは、診療や治療など本来の目的以外での利用を指します。

病院経営に必要な統計や指標作成、医療の質を向上させるための評価や原価計算などに使われることが多いでしょう。地区別来院数統計は、経営戦略にも活用されます。患者の待ち時間や手術室の統計は、診療の質を向上させ、病院の評価を高めるために利用可能です。

データの二次利用は、病院の業務以外の面を改善して経営強化に役立つでしょう。

医療機関におけるDWHの必要性

医療機関では、さまざまなシステムによる弊害が発生しています。

医療機関は一般企業と異なり、診察や治療には高い専門性が要求されます。長期的な観察も含め、膨大なデータの保存と活用が必要です。研究は診察によって得たデータが基本となるため、企業の研究チームとは活動スタイルが異なるでしょう。

ここからは、医療機関におけるDWHの必要性を紹介していきます。

1:Office製品による分析には限界がある

ExcelやAccessなどのOffice製品では扱えるデータ件数に限りがあり、データ量が膨大になると取り扱いができなくなります。

入力は簡単でも、検索や抽出機能に限界があります。保健医療分野に特化したデータベースもありますが、患者のデータベース構築と研究利用が目的のため、業務面の利用は難しいでしょう。

医療機関は、患者の会計処理が評価を決定づける面もあります。業務と分析が分離したDWHは、膨大なデータを効率よく扱うために必要でしょう。

2:BIツールを活用するため

BIツールとは経営戦略の決定に役立ち、企業の生産や販売、人事、会計、顧客管理などデータの収集と分析を行うシステムのことです。

BIツールは、業務用に特化した内容のため医療機関の経営部門に利用可能ですが、一次利用の診察や治療には不向きでしょう。DWHの複数のシステムからデータを一元管理する機能も持っていますが、分析結果の可視化が目的のため、研究利用には適していない可能性があります。

BIツールを導入する場合は、分析用DBを別に整備するのが望ましいでしょう。

3:EBMの実現のため

EBM(Evidence-Based Medicine)とは「根拠に基づいた医療」です。医療従事者は、患者の意向をくみ取って疑問にこたえ、臨床研究を検索して治療への適用を検討・評価します。

近年までは、医師の経験で治療方針を決定していたでしょう。しかし、DWHを導入すると、データを分析・視覚化できるため見落としを防ぎ、従来では気がつけなかった関連性を発見できるようになります。

DWHは、医療の質を向上させるEBM実現に欠かせないシステムでしょう。

医療向けDWHに求められるポイント

医療向けDWHに求められるポイントは、基盤の共通化と検索補正・データの連携です。医療機関で利用するには、放射線などの画像データや検査のレポートデータ、数値データ、手術や治療に対する同意書などのデータ形式への対応が必要です。

DWHは、連携させたデータの検索や集計を容易にし、医療従事者のニーズに応えてくれるでしょう。

1:基盤の共通化

DWHを構築・運用するための効率的な構造化には、基盤の共通化が重要です。同じ医療機関内の電子カルテデータは共通化していますが、レセプトや特定健診結果など外部連携させる際に、共通化した基盤が導入されていなければ、十分に機能しません。

基盤の共通化によって、個別に収集されたデータの分析やEBMの利用機会を広げることができるでしょう。

規格化されたデータ格納モデルに基づいた電子化

基盤の共通化を行う場合には、医療機関内の全体で規格化されたデータ格納モデルを利用した電子化を行う方法もあります。

全体で規格化されたシステムに統合すると、他の施設との連携が深まり、既存のDBの拡充や相互利用ができるようになります。基盤の共通化では、規格化と共通化を一度に完了させることが可能です。

2:同義語や略語を考慮した検索補正

医療向けDWHは、同義語や略語などを検知し、検索結果を補正する機能を持たせると、求めるデータの取りこぼしを低減させることができます。

欲しいデータを網羅するためには、専門用語を利用した検索の他に、自然言語の利用や全文検索などの機能強化が必要です。医療用語の同義語や略語も盛り込み、一層目的のデータに近づけましょう。

限定した領域でデータを深掘り検索するなどの検索機能の拡充は、ユーザーの満足感を高める可能性があります。

3:部門別になっているデータの連携

医療機関は、部門ごとに異なるフォーマットでデータが蓄積されています。医療向けDWHで統合して扱うためには、違いを吸収してデータ連携させる仕組みが必要です。

蓄積した状態で利用できなければ、連携させても使いにくいシステムになります。データ連携は、DWHの構築と運用の効率化に欠かせない機能でしょう。

医療向けDWHを分析用DBへと進化させる上では、蓄積したDBを変換・連携させて構造化させることが重要です。

データサイエンティストの育成も重要

データサイエンティストは、医療向けDWHの活用には不可欠な、デジタル化された情報を分析・活用するための役割を担う人材です。

また、データサイエンティストは環境の構築や分析を行いますが、データの分析、集計を専門に行うデータアナリストもDWH活用に役立つ人材でしょう。

データサイエンティストもデータアナリストも医療分野に従事する場合、高い技術力と医療知識、個人情報へのコンプライアンス意識などが求められます。

まとめ

今後、外部の電子カルテやレセプト、特定健診結果などを外部データと連携することや、医療データの基盤構築は大切なポイントとなるでしょう。また、利用するためにデータサイエンティストなどの人材育成も必要です。

株式会社医用工学研究所が提供する医療向けDWH「CLISTA!」は、医療機関内のすべてのデータを集約、分析するシステムです。あらゆる部門と接続して、それぞれに分散・蓄積されたデータを統合します。

テンプレートを活用した操作は簡単で、求める統計を自由に作成可能にするでしょう。また、検索や抽出機能も充実し、経営や診療、研究・分析など医療機関で行う業務に対応します。

医療向けDWHへの理解を深め、多くの医療機関に導入実績のある「CLISTA!」を検討してみましょう。


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