建設業におけるDXのポイント

 2021.05.31  デジタルトランスフォーメーションチャンネル編集部

日本では、諸外国に比べて後れをとっているDX(デジタルトランスフォーメーション)について、政府を挙げて推進が図られているところですが、建設業におけるDXの実態はどうなっているのでしょうか。

この記事では、DXによって建設業が抱える問題をどのように解決していけば良いのか、日本の建設業における現状の課題を挙げながら解説していきます。また、なぜ諸外国に比べて日本のDX化が遅れているのか、この点についても併せて見てみましょう。

建設業におけるDXのポイント

建設業のDXの現状

まずは、日本の建設業におけるDXの現状を見てみましょう。建設業に限らずさまざまな分野でDX化が進められていますが、その中でも建設業のDX化はどの程度進められているのか、その成果はどれほどなのかをご紹介します。

日本の建設業のDXは進んでいる?

各種調査が行われた結果、日本の建設業のDXは進んでいる方だということがわかりました。

IT専門調査会社・IDC Japanの調査「国内CIO調査2020」によると、さまざまな業種の中でも建設業は、国内では2番目にDXが進んでいる業種ということです。

さらに、アメリカ・フランス・イギリス・ドイツ・韓国・中国などを含む12カ国における建設業の比較でも、日本の建設業のDX成熟度は1位という結果になりました。日本のDX化は遅れているといわれていましたが、建設業においては非常にDX化が進められているという結果です。

また、詳細な数字では、約43%の国内企業がDXに取り組み、そのうち建設・土木を抜いて最もDXが進んでいるのが金融という結果になりました。製造業といった他の業種に比べ、建設業のDX化は想像以上に進んでいるといえます。

相対的順位が具体的な成果につながらず

日本の建設業のDX成熟度は国別ではトップである一方、順位は高くても成果は上がっていないことに注目しなくてはなりません。

先の12カ国調査では国別で1位でも、その中身となる5段階評価では下から2番目の「限定的導入」にとどまっています。この調査はDXのパフォーマンスレベルとして5段階評価がされており、日本の建設業は国別のトップでありながらも2段階目という結果でした。

また、経産省の調査によりますと、日本でDXに全面的に取り組んでいる企業は10%に満たないこともわかっています。つまりこれは、「世界的にDXが遅れている建設業の中」と、「世界的にDXが遅れている日本の中」での高順位にすぎないといえます。

DX化が進められているとはいえ、残念ながらまだまだ高い水準とはいえないのが現状です。

建設業でのDXの浸透を阻む要因

それでは、建設業でのDXの浸透を阻む要因はいったい何なのでしょうか。ここからは、建設業が抱えるDXへの課題をピックアップし、それぞれ解説していきます。

DXを進める上で解決すべき課題とは、どのようなことがあるのでしょうか。

ビジネスモデルの不適合

まず、建設業におけるDXとの「ビジネスモデルの不適合」について解説します。

建設業は基本的に現場作業が行われること、そして一つの建造物を作り上げるのに鳶工やコンクリート業など多くの業者が関わること、それぞれの現場の構造や地形などが違うことなどがデジタル化を妨げると考えられます。

また、同じように一つの建造物を作り上げるために、企画から施工、管理運用などのバリューチェーンが縦割り化し、分断されていることがネックです。DXを用いるビジネスモデルの多くは、こうした複数の工程を一元化してデータ管理することで業務効率化を図るため、多くの違う人材が関わる建設業は残念ながらDXには不適合といえるでしょう。 新たなシステムとなるDXを建設業に広めていくためには、業界人へのDX周知だけでなく、そもそもDXを適合させる仕組み作りを行わねばなりません。

就業者の高齢化

建設業が抱える大きな課題の一つが、「就業者の高齢化」を解説です。いわゆる職人と呼ばれる人材から、新たな世代へ技術やノウハウを引き継ぐ機会が減っています。これにより、DXに対応できるITスキルを持ち合わせた人材が少なくなっていることから、DX化が進みづらくなっていると考えられます。

建設業の就業者は高齢化が進んでおり、総務省の「労働力調査」によると、2019年の時点では65歳以上の従業員が16.4%なのに対し、34歳以下の働き手は18.6%とほぼ同じ割合になっています。

また、OECDの調査によると、日本の高齢者は年齢を重ねるほどITスキルが低くなる傾向が示されていることからも、高齢化が進む建設業ではDXに対応しきれていない部分が課題となっています。

企業規模の小ささ

「企業規模の小ささ」もDXの浸透を阻む要因です。

建設業は中小企業、そしてさらに規模の小さな零細企業の比率が高くなっています。建設業の7割近くは、従業員規模が4人以下という結果になっており、さらに建設業の95.9%は小規模事業者ということがわかっています。

DXの導入にはITスキルを備えた担当者がいることはもちろんですが、導入に際してコストや手間を必要とします。このため、小さな企業が多い建設業では、DXの導入を実施するだけの金銭的・時間的余力がないことがDX化を阻む大きな要因になっていると考えられます。

従業員の少なさをはじめとするリソース不足により、DXを導入するといった社内体制を新しくすることに抵抗を感じることも考えられるでしょう。たとえDXを導入したとしても、人数が少なくても全員がすぐにシステムに対応できるとは限りません。

建設業がDXで解決すべき4つのポイント

建設業においてDX化が進みづらい理由をご紹介しましたが、ここからは建設業がDXを取り入れて解決すべき4つのポイントを解説します。DXで得られるメリット、これまで多くの建設業者が抱えていた大きな課題を解決できる可能性のあるポイントを見てみましょう。

労働力不足

まず、建設業が慢性的に抱えている課題として「労働者不足」が挙げられます。深刻な人手不足が続く建設業ですが、その有効求人倍率は5倍を超えるといわれています。

その要因として挙げられるのが、「3K」です。

3Kとは、「きつい・汚い・危険」という言葉をとったもので、働き手から敬遠されている業種であるといわれています。若い世代の働き手が業界に入ってこない限り、建設業界の高齢化は進み、人手不足はいつまで経っても解消されないでしょう。

そこで活用したいのが、DXです。DXにより、さまざまな業務内容を効率化して少しずつ人手を不要にしていく必要があります。

建設業の多くは上述のとおり現場仕事が主ではありますが、DXの導入によって自動化したり、データを活用した業務の効率化を図ったりすると、労働環境を改善できるでしょう。これが、新たな働き手の参入につながる可能性があるため、建設業が長く抱えていた問題解決につながると考えられます。

技術の継承

次に、「技術の継承」について解説します。

建設業では、労働者の高齢化が進むことや、若い世代の働き手が参入しづらいことで求人難に陥り、建設や土木における技術が次の世代に継承できない課題を抱えています。昔ながらの木材のみを用いた建築様式をはじめ、長年伝わってきた技術が失われてしまう可能性があるでしょう。

そこで、DXによって求人難を解消することができれば、新たな働き手が参入しやすくなります。DX化が進んで多くの人材が建設業界にやってくれば、職人によって技術や業務が属人化しやすいという課題を解決し、次の世代へ広くノウハウを共有できるようになるでしょう。

このノウハウ共有にもDXが活用できるため、業務のマニュアル化など作業効率を高められるようになります。

サプライチェーンの合理化

続いて「サプライチェーンの合理化」について解説します。

サプライチェーンとは、製品を作るにあたって必要となる部品や部材を調達するところから、実際に作って販売(消費)するまでの流れのことを指します。

建設業におけるサプライチェーンですが、飲食店のように同じ原材料を使って同じように作るというものではなく、部品や建材の受注生産が主なため、どうしても待ち時間が発生してしまうことがネックです。だからといって先読みして部品を発注したり製造したりすると、デッドストックのおそれがあるため、安易に作業を進めることもできません。

そこで、建物の3Dモデルを用いて設計や管理を行う「BIM」を導入するといったDX化によって、建設に関わる業者間で情報の共有や規格の標準化を進めることができます。

費用・工期ともに合理化できるため、大きなメリットといえるでしょう。

スマートシティ対応

最後に、「スマートシティ対応」について解説します。

少子高齢化が急速に進む日本では、ICTの技術を用いて住民や企業の暮らしを豊かにするスマートシティへの実現が急務になっています。大手自動車メーカー・トヨタがスマートシティ建設を進めていることが話題ですが、同じように国外でもすでに多くの場所でスマートシティ化が進められています。

そして、スマートシティの実現を担うのは、ほかでもない建設業です。すなわち、建設業がDXを実現することでスマートシティへの対応力がつくことに直結するといえるでしょう。

建設業界に新たな人材を呼び込み、これまで培われた技術を継承しながら、DXを使いこなせる人材の確保・育成から始めることが急務になっています。

まとめ

日本の建設業ではDXが進んでいることがわかりましたが、その一方で具体的な中身については今一歩という評価になっています。

建設業が抱える課題解決、そして継続と発展のためには、DXの実現が鍵となるといえるでしょう。DXが今以上に進められれば、慢性的な人手不足の解消や、技術の安定した継承、業務の効率化などさまざまなメリットが得られると考えられます。

あらゆる物事のデジタル化が進められている昨今、今一度DX導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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