総務省が推進する電子政府・電子自治体とは?

 2021.02.12  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

数年前から、政府は行政や自治体の電子化を進めるべく、さまざまな方針を公表してきました。政府が推進する電子政府・電子自治体とは具体的にどのようなものなのか、10の指針を踏まえて解説します。また、改革を進めるうえでどういった課題があり、自治体として何ができるかについても考えていきましょう。

総務省が推進する電子政府・電子自治体とは?

総務省が推進する電子政府・電子自治体とは

電子政府・電子自治体とは、通信情報に関するIT技術を行政サービスの運営に活用し、それを利用する住民や企業の利便性向上や負担軽減を目指す取り組みのことです。これまでは、役所でいくつもの窓口を回って行っていた煩雑な手続きなどが、政府や自治体の電子化が進むことで、インターネットを使って自宅から行うことが可能になるとされています。

行政手続きがオンラインになることで、平日の日中に仕事があり役所に行く時間が取りにくい人や、体が不自由で外出が困難な人、役所から遠方に住んでいる人などの利便性が大きく向上すると考えられます。

電子自治体を推進する取り組み

2013年6月に、政府はIT戦略「世界最先端IT国家創造」を宣言し、日本が今後目指すべき社会のためにIT技術をいっそう活用していくことを提示しました。行政を電子化するにあたって、まず現状の問題点の把握や具体的な施策の検討などを行う必要があります。

こうした議論を重ねる場として、政府は「電子自治体の取組みを加速化するための検討会」を設置し、「サービス向上」「技術・制度」「適正管理」「評価・刷新」の4つを視点を軸とした10の指針を定めました。

この「世界最先端IT国家創造宣言」は、技術の情勢に合わせて幾度となく改良が重ねられています。現在は「世界最先端デジタル国家創造宣言」と名称を変更し、2013年当初のものよりもいっそう現実に即した具体的なロードマップが公表されています。

電子自治体の取り組みを加速化させる10の指針とは

自治体の電子化を推進すべく、政府は2014年3月に「電子自治体の取組みを加速させるための10の指針」を発表しました。その指針の内容について、具体的に確認していきましょう。

<第一節>番号制度導入に併せた自治体クラウド導入の取組み加速

【指針1】番号制度の導入に併せた自治体クラウドの導入
【指針2】大規模な地方公共団体における既存システムのオープン化・クラウド化等の徹底
【指針3】都道府県による域内市区町村の自治体クラウドの取組み加速
【指針4】地域の実情に応じた自治体クラウド実施体制の選択及び自治体クラウド導入を見据えた人材育成・確保
【指針5】パッケージシステムの機能等と照合した業務フローの棚卸し・業務標準化によるシステムカスタマイズの抑制
【指針6】明確なSLAの締結、中間標準レイアウトの活用等による最適な調達手法の検討

<第二節>ICT利活用による住民利便性の向上

【指針7】オープンデータの推進に向けて、地方公共団体が保有するデータに対するニーズの精査及び推進体制の整備
【指針8】ICT利活用による更なる住民満足度向上の実現

<第三節>電子自治体推進のための体制整備

【指針9】CISO機能の明確化等、情報セキュリティに関する人材・体制の強化
【指針10】チェックリストを活用した強力なPDCAの構築

これら10の指針は大きく3節に分けられます。第一節は「番号制度導入に併せた自治体クラウド導入の取組み加速」についてです。番号制度とはいわゆるマイナンバー制度のことで、自治体がクラウド化を進めることでより効率的なマイナンバーの管理が可能になると期待されています。

第二節は「ICT利活用による住民利便性の向上」を目指すものです。電子自治体として情報通信技術を活用することで、行政サービスの電子化や、一つの窓口であらゆる応対が可能となるワンストップサービスの提供が可能となり、住民の利便性向上につながるという点について論じられています。

第三節は「電子自治体推進のための体制整備」についてです。電子自治体を進めるうえで、責任者や責任者を支える体制づくり、さらにはサイバー攻撃などに備えたセキュリティの強化といった環境整備も必要となってきます。第三節では主に、こうした電子自治体そのものを支える体制の在り方について触れられています。

総務省は、この10の方針に基づいて2017年を終期とした工程表を提示し、各地方自治体へ電子化を目指したフォローアップを実施するとしていました。2021年現在、こうした取り組みはどのような局面を迎えているのでしょうか。

電子自治体の推進における課題

「世界最先端IT国家創造宣言」から分かるように、政府は何年も前から政府・自治体における電子化を積極的に推進していました。2021年現在、「世界最先端IT国家創造宣言」は「世界最先端デジタル国家創造宣言」に名称を変え、ロードマップも現状に合わせてアップデートされています。

国家のデジタル化に向けていっそう力を入れていることが分かりますが、こうした変更の背景には、これまでの施策を進めるうえでいくつかの問題点があったことがうかがえます。行政の電子化において、現状どういった課題が問題視されているのか具体的に確認していきましょう。

自治体の組織体制

大きな変革の際にまず求められるのが、組織体制の整備です。現状、多くの自治体がその管理体制に不足がある状態だとされています。自治体の電子化にあたって「調達管理」「セキュリティ管理」「資産管理」「運用管理」など様々な面での管理が必要となります。自治体の電子化を達成するために必要な体制の整備が急務であると言えるでしょう。こうした問題が浮き彫りになっている背景の一つに、情報通信技術に精通した人材が自治体に不足しているという点が挙げられます。

この問題を解消するには、自治体内部の人材育成だけに留まらず、他の自治体や地元の民間企業との連携を密にし、専門的な知識をより幅広く取り入れる姿勢が求められます。情報通信技術は、特に高い専門性が求められる分野ですので、IT企業との協力体制を強めてそのノウハウを取り入れることは、管理体制の大幅な強化につながるでしょう。

フランスやアメリカで30代のデジタル担当大臣が登用されるなど、海外ではIT技術に精通した若い人材を積極的に採用する動きが見られます。現状を打破するには、こうした思い切った、よりオープンな組織体制も必要となってくるでしょう。

取り組み目標の設定

電子自治体を目指すうえで、「世界最先端IT国家創造宣言」では目標の設定があいまいな部分があったという点も大きな課題として挙げられます。そのため、各自治体においても何をすべきかという目的が明確にならないまま、職員や住民への理解が深まらず具体的なアクションが起こりにくい状況に陥っていたと考えられます。

目標を明確にするためには、自治体全体で行政や住民、地域産業のニーズを洗い出して分析し、実効性の高い施策の論議が必要です。

住民の評価制度の導入

自治体の電子化に際して、住民からの声に耳を傾けることも重要な課題です。そもそも、電子自治体の最大の目的の一つに行政サービスを利用する住民の利便性向上が挙げられます。この目標をきちんと達成できているか、住民の満足度に不足はないかを定期的にチェックし、不備がある場合はその都度対策を講じる必要があります。そのためにも、住民からの評価やニーズ、提案などを風通し良く把握できる環境を整えておかなければなりません。

行政と住民のつながりをよりスムーズにする手段として、スマートフォンのアプリを活用している自治体もあります。株式会社パスコが提供するスマートフォン向けアプリ「PasCAL Voice(パスカル・ボイス)」は、住民が自治体へ手軽に通報を行える窓口として活用できます。すでに500を超える自治体で導入されており、自治体と住民のスムーズな連携を実現しています。

電子自治体を進めるうえで、こうした技術やサービスを基盤として、さらに住民の声や評価が届きやすくなるような環境を整備することが望まれます。

行政や自治体の電子化は、以前から国をあげてのプロジェクトとして進められてきましたが、2020年の新型コロナウイルスの流行に際していっそうその体制が求められる動きとなりました。これまでに示したロードマップに加え、労働環境のリモート化、医療や教育のオンライン体制の充実、電子決済の拡充など、今後はさらなる電子化が必須となってくるかもしれません。

まとめ

2013年の「世界最先端IT国家創造宣言」以来、政府は行政や自治体の電子化を積極的に推進してきました。以降、多くの自治体で電子化が着実に進みつつありますが、いくつかの課題も残されているのが現状です。新型コロナウイルスの影響でさらにリモート需要が高まる中、電子政府・電子自治体の整備は急務であると言えるでしょう。

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