製造業

作業支援カメラの機能とは? 導入メリットや現場のIT化について解説

製品の品質を担保する重要性が高まる中、注目を集めているのが作業支援カメラです。作業工程で発生するミスを軽減したり、製造現場のIT化を推進したりする役割を果たしています。本記事では、どのような流れでミスを軽減するのか、なぜIT化につながるのかなど、作業支援カメラの機能やメリットについて詳しく解説します。

作業支援カメラの機能とは? 導入メリットや現場のIT化について解説

Factory of the Future

作業支援カメラ

作業支援カメラは、正しい作業結果を記録した画像を事前にカメラへ登録し、現在の作業状況と比較する機能を搭載しています。これにより、作業ミスが起きていないかどうかをチェックできる設備です。業務の様子もカメラで確認可能なため、作業状況を随時チェックできます。

作業支援カメラでは、類似部品が混入していないかどうかや、欠品していないか、組立などの作業順序は合っているかなどを、作業途中にチェックします。一番の特徴は、画像認識による自動チェックです。製造業における組立作業を始めとしたさまざまな工程で、広く活用されています。

作業支援カメラの特徴

作業支援カメラには、さまざまな特徴が備わっており、円滑な作業進行に大きく貢献しています。導入により、多くのメリットを得られるため、検討材料として特徴をチェックしておきましょう。

画像認識と作業指示を連動させることでミスを減少させる

部品の中には、組立などの工程を間違えやすいものも多数あります。作業支援カメラを用いれば、正しい作業によって部品を組み立てた画像を事前に登録しておき、現在作業を行っている画像と照らし合わせ、画像認識によってパターンマッチングし、チェックを行えます。これにより、部品や工程の間違い、欠品などによる作業ミスを防止できます。

このシステムは、画像認識により正しい作業結果だと認められないと、次の工程へ進めません。そのため、作業途中でのミスを減らすことにつながり、生産効率を上げられるようにもなるでしょう。作業者が不慣れであっても、指示やチェックがすぐに行えるため、新入社員向けの教育ツールとしても活用されています。

カメラへのオールインワン機能ですぐに使えるシステム

作業支援カメラは、カメラに画像認識やアプリケーションを全て内蔵している一体型システムです。このため、画像認識などの専門知識を持っていなくても、マウスやキーボード、モニターが揃っていれば、画面表示に従ってセットアップが簡単に行えます。

さらに、パソコンも不要であるため、コストも削減できます。配線作業もなく、セットアップをした後はわずかなスペースで運用が可能です。外部I/Oにより、センサーやフットスイッチなど外部機器との連携も可能ですので、使いやすさは問題ありません。

現場のIT化を促進

部品のシリアルナンバーや組立状況の画像などは、紙で保存するのではなく、CSVやJPGなどの電子データとして、SDカードや共有フォルダに保存できます。データは、作業の分析および追跡に活用が可能であり、現場のペーパーレス化につながるため、IT化が促進できるようになります。

付属のPCソフトウェアを使うと、Microsoft Officeで作成した作業指示書のデータを、画像データに変換できます。このデータは、作業支援カメラのシステムに最適化されているため、簡単に取り込めることが大きなメリットです。

作業支援カメラの具体的な利用シーン

作業支援カメラがもつさまざまな特徴は、具体的にどのようなシーンで利用できるのでしょうか。それぞれの工程に目を向けてみましょう。

組立作業のチェック

組立作業の工程では、決められた手順に沿って作業を行わないと、品質が安定しなくなってしまいます。カメラを使って、作業指示書をモニターに表示することで、自分の作業が手順通りに行えているかを確認できます。

また、部品を取り付けたり、ネジを締めたりする組立作業の段階では、クッションやネジなどの欠品をチェックしますが、目視で行うことが一般的です。そこで作業支援カメラを用いてチェックすることで、早い段階で作業ミスを防げるというメリットがあります。

同梱作業のチェック

同梱作業では、同梱すべき物品の欠品や同梱ペラの有無・言語違いなどを、一般的に目視でチェックします。作業支援カメラを活用すれば、目視ではなくシステムを使って、同梱前の確実なチェックが可能です。

カメラによるチェックは、作業指示と連動して順次行なっていきます。そのため、同梱物が重なって隠れてしまっても、作業と並行して自動でチェックできます。同梱物の欠品を防ぎ、手順に沿って同梱されたかどうかが確認可能です。

型番のチェック

部品の中には、同じ外観でも中身の仕様が異なるものがあります。例えば、HDDは見た目が同じでもディスク容量が異なることが多い部品です。部品を正確に見分けるには、組立の段階で型番をチェックする必要があります。

容量が異なっていれば、検査工程での検出は可能です。ただし、工程が後戻りし、時間やコストが余分にかかるため、組立の時に検出できる状態が望ましいと言えます。作業支援カメラでは、バーコードの文字列を読み取れるため、HDDのような人間の目視では難しい部品の識別も可能です。

PCB手作業のチェック

PCB(プリント基板)の工程では、ヒートシンクおよびジャンパーソケットの取り付けや、リード部分の挿入などで、手作業が必要です。この工程でのミスをなくすために、カメラが活躍します。マッチングにより、ジャンパーソケットの挿入位置やコネクターの向きなどをチェックできるほか、色認識により、取り付け方向の間違いや類似部品の取り付けミスなどをチェックできます。

グリス塗布のチェック

接着剤や放熱グリルは、塗布しなくても部品の組立が可能であるため、塗布の抜け漏れが発生しやすくなっています。形状が安定しない塗布物は、通常のマッチング作業では検出が困難です。そこでカメラを導入することで、ヒートシンクにグリスが塗布されているかどうかを、色認識でチェックできます。

作業支援カメラの導入事例

作業支援カメラの導入により、企業はどのようなメリットを享受でき、業務改善につながったのでしょうか。実際の導入事例を2つ紹介するので、自社で採用する際の参考にしてください。

自動車部品メーカーでの事例

ある自動車部品メーカーでは、自動車や二輪車に必要なブレーキやカーエアコンなどの機器およびユニットの組立を行っています。作業支援カメラの導入前は、類似部品の誤装着やラベルの添付ミスなどが課題となっていました。

この企業では、カメラの導入によって組立ミスが減少し、品質向上につながっています。また、自動で保存された作業ログを活用することで、工数の削減および一層の品質向上に向けた目処を立てられるようになりました。

医療機器メーカーでの事例

ある医療機器メーカーでは、製品の性能上厳しい規格が設けられています。人の入れ替わりが激しい中で、習熟期間が短い作業者でも、品質が維持できる体制づくりが必要とされてきました。

作業支援カメラの導入により、人的ミスの軽減やリソースの効率的な活用につながっています。また、工程に間違いがあると次に進めないシステムのおかげで、熟練でない作業者であってもミスが発生しない体制づくりに成功しています。

まとめ

作業支援カメラは、不要な工数の削減や品質の向上のために、重要な役割を果たす設備・システムです。オールインワン機能で使いやすさに優れており、省配線・省スペースで導入のコストも低いでしょう。働きやすい現場づくりを目指して、作業支援カメラの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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