従業員体験とは? 小売業界でEXを向上させるポイントを解説

 2021.05.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル編集部

労働市場の変化に伴い働き手の数が低下していますが、そこで重要視されているのが「従業員体験(EX)」と呼ばれる取り組みです。従業員体験の改善は小売業界でも急務ですが、この記事では従業員体験(EX)とは何か、なぜ従業員体験が重要視されているのか、そして改善方法についてもポイントを踏まえて詳しく解説していきます。

働き手となる従業員の確保はどの業界でも課題となっていますが、従業員体験によってどのようなメリットがあるのかも見てみましょう。

従業員体験とは? 小売業界でEXを向上させるポイントを解説

従業員体験(EX)とは

まず、従業員体験(EX)とは何かを解説します。

従業員体験(EX)はEmployee Experience(エンプロイーエクスペリエンス)の略で、従業員が会社で働く際「職務を通して何を経験するか」を指します。

従業員の満足度を高めるためには、単純に支払われる給与(報酬)の額を引き上げれば良いというわけではありません。それ以外にも働いた経験を通して得た経験、やりがいや働きやすさなどの満足度を引き上げることが重要で、EXが高まれば企業に対する満足度もアップし、長く働き続けたいという気持ちを高めることができます。

働き手の少ないと言われる昨今、従業員体験(EX)を高めることは従業員を惹き付け、引き止め、モチベーションを高められる可能性が高く、重要視されているのです。

従業員体験(EX)が重視されてきている背景

従業員体験(EX)がなぜ重要視されてきているのか、その背景となる課題をいくつかご紹介します。

まず、日本は少子高齢化が進んでおり、働き手となる世代の数が少ないことで慢性的な人材不足に陥っています。その傾向は今後も続くと言われていますが、企業にとって優秀な働き手の確保が難しくなる一方です。

次に、日本では当たり前だった「終身雇用」の崩壊により、雇用の流動性が高まっていることです。ひとつの会社に勤めたら定年になるまで勤め上げる、終身雇用という考え方が根強かった日本も、リストラや転職が当たり前になりました。そのため、転職によって複数の企業に勤める人が増え、労働市場の流動性が高まっていると言えるでしょう。

また、従来のマーケティング戦略として用いられていた顧客体験(CX)と同様に、企業は従業員体験(EX)も重視しなければ生き残れない環境となったことが大きな要因です。

小売業で従業員体験(EX)が重要な理由

ここからは小売業において従業員体験(EX)がなぜ重要なのか、その理由をひとつずつ解説します。従業員体験を高めると企業にとって、そして従業員の双方にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

待遇の悪さ

まず、小売業における「待遇の悪さ」という問題が従業員体験の重要さにつながります。全産業と比較すると、スーパーマーケットをはじめとする小売業界は低い賃金水準です。レジ打ちや品出しなどの業務がありますが、これらの仕事は特別なスキルが必要でないことも多い一方、リモートでは対応できず必ず人手が必要になる仕事です。

給与をあまり高くしづらいにも関わらず、人手不足になるとたちまち経営に支障が出てしまうこともあるため、企業にとっても給与設定は難しいのが実情と言えるでしょう。

また、長時間労働も多いのが特徴です。短時間勤務ではなく、立ち仕事のまま長時間勤務をせざるを得ない状況であったり、品出しで力仕事をしなくてはならなかったりなどの問題が挙げられます。

さらに、小売業はシフト制が多いため、休みが不規則かつ休みたい時に休めないこともネックです。特に兼業主婦(主夫)の場合、家族の休日と自身の休みが合わなくなりがちで、給与を含めた待遇の悪さが浮き彫りになっています。

非正規雇用の多さ

小売業は正社員となる正規雇用ではなく、アルバイト・パート・派遣社員など「非正規雇用」の多さも問題になっています。厚生労働省の調査によると、業種を問わず働く人のうち3人に1人は非正規労働者であり、このうち卸売業・小売業の非正規雇用者は約半数にもおよびます。

スーパーマーケットなどで働く小売業の従業員は、その構造的にどうしてもパートなどの非正規労働者になることが多く、正規雇用従業員との不平等を感じたり、待遇の低さを感じやすくなったりするなど、EXを低下させる要因が多いと考えられます。

EXが低ければ非正規雇用の従業員は簡単に流出しやすくなるほか、新たに募集するのも難しくなるため、非正規雇用が多いことも課題のひとつとなっています。

接客の重要性

小売業において欠かせないのが「接客の重要性」です。

スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアをはじめとする小売業は従業員と顧客が直接接触する業務がほとんどです。そのため、従業員の提供するサービスが顧客の満足度(CX=カスタマーエクスペリエンス)にも直結します。

従業員体験(EX)が低下すると、仕事へのモチベーションが下がってしまうことが考えられ、それが顧客へのサービス低下につながりかねません。小売業の業績を直撃する事態も考えられるため、企業が従業員体験を高めて接客レベルも高めることは急務と言えるでしょう。

小売業界でEXを向上させるポイント

ここまでご紹介した小売業界の課題を解決するために、従業員体験(EX)を向上させる改善方法などのポイントを3点、詳しくご紹介します。企業は従業員体験向上のために、それぞれどのように対応すべきなのでしょうか。

エンプロイージャーニーマップで改善点を洗い出す

まずは「エンプロイージャーニーマップで改善点を洗い出す」ことです。企業側は、従業員が業務において「何を」体験するのかを把握することから始める必要があります。そこで活用すべきなのが、エンプロイージャーニーマップです。

エンプロイージャーニーマップとは、従業員が入社から退社までの間で何を体験するかの見取り図のことを指します。入職から退職までの間、その従業員が働くうえでどのような体験をするのか、心理的な状況を含めて整理し、可視化したものです。

例えば、入職時にはスタッフやチームに馴染むまでのストレス、業務では生活との両立の難しさやスキルアップ、モチベーションの維持などが発生すると考えられるでしょう。企業側がその従業員に対してどこを優先して改善すべきかを明らかにできます。従業員のスキルやキャリアなどを考慮し、その人に合ったエンプロイージャーニーマップを作成する必要があります。

生産性向上によりEX改善の余地を生み出す

企業は生産性向上に努めることで、従業員体験(EX)改善の余地を作る必要があります。 従業員の満足度を高めるには、単純に労働時間短縮や賃金上昇だけを実現しようとしても難しいことがほとんどです。もちろん賃金や労働時間は従業員が快適に働き続けるために重要なポイントですが、さらなるEX改善には業務の効率化が欠かせません。

業務を効率化して生産性を高めれば、企業にとっても待遇改善のための余地を作り出すことが可能になります。つまり、EXの改善により生産性が向上する好循環を目指すということです。

そのためにできることとしてICTが挙げられますが、ICTを導入すると従業員の働く環境が大きく変化したり、費用もかかったりするため、やみくもな導入は逆効果になるおそれもあるでしょう。そのため、包括的なソリューション導入を目指す必要があります。

EXとCXを同時に高める

企業は従業員体験(EX)を高めることだけに注力するのではなく、同時に顧客満足度(CX)も高めるべきです。

上述のとおり、小売業は基本的に従業員と顧客が場を共有し、直接接触しながら業務を行います。そのため、従業員のモチベーションアップによって顧客へのサービス品質も高まると考えられます。つまり、EX改善で従業員に生まれる余裕により、CXの改善につながります。EXの改善がCXの改善にもなるような、同時に取り組める施策が必要です。

そこで考えられるのが、POS(販売時点情報管理)サービスや、商品タグのデータを読み取れるRFID、キャッシュレス、接客用のタブレットなどICTの導入が鍵となるでしょう。

その実現には、ICTの導入によってCXとEXを両立させることを目的とした「Brainforce」というソリューションを用いるのがおすすめです。Brainforceの特徴は、キャッシュレス決済や、スムーズな買い物を実現するウォークスルーチェックアウト、小さな規模の小売店であっても導入しやすいスモールスタート対応などが挙げられます。

まとめ

企業の多くは顧客満足度(CX)を高めることに注目しがちですが、同時に従業員体験(EX)にも注力すべきということがわかりました。そのためには、従業員が働きやすい環境を整えること、ICTの導入や新たなシステムの導入など先行投資を積極的に行うことが急務です。働き手が足りない昨今、有能な人材をつなぎとめられるという大きなメリットがあるだけでなく、ひいては顧客満足度の向上や売り上げアップにもつながるでしょう。

上述したBrainforceというソリューションは、人員削減や店員の負担を減らせるメリットがあり、購買に関するあらゆる情報をデータ化し、次につなげられるようになる便利なサービスです。

EXやCX向上に向けてどのような取り組みをしたら良いのかという事業者は、Brainforceの導入を検討してみると良いでしょう。

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