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AIをビジネスに導入する流れとは? 成功事例や課題も紹介

昨今のビジネスにおいてはさまざまなテクノロジーが導入されていますが、その中でも今後もっとも活用が期待されている技術のひとつがAIです。そこで本記事ではAIとは何かという基本知識から始め、AIをビジネスに導入する際の流れや、AI導入の成功事例などを紹介します。

AIをビジネスに導入する流れとは? 成功事例や課題も紹介

先端技術とAI倫理がもたらす「より良い医療のかたち」

ビジネスにおけるAIとは?

AI(人工知能)とは、コンピューターがあたかも人間のように物事を知覚し、学習し、判断できるようにするテクノロジーです。AIは当初、単純な情報処理や行動しかできませんでしたが、近年では「ディープラーニング(深層学習)」という新しい機械学習技術が登場したことで、分野によっては人間を超えるほど複雑かつ高度なこともできるようになりました。

AIの能力はビジネスにおいても活用できる部分が多く、人間がこれまで手間と時間をかけて作業していたことをAIに代行させることで業務効率化などを実現できます。たとえば、近年多くの先進的企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)においては、データ活用が鍵になりますが、膨大なデータを分析するのには人間の手作業だと非常に多くの時間と労力が必要です。しかし、高度に発達した現代のAIならば、多種多様な形式のデータを高速で分析できるので、ビジネスにおける意思決定や問題解決のスピードを向上することが可能になります。

AIができることとは?

AIができることは、非常に多種多様です。AIの基幹技術となっているのは機械学習またはその発展形である深層学習ですが、簡単に言うとこれらは膨大なデータをAIに解析させることで、物事を正しく認識・判断できるようにする技術です。

たとえば、AIに画像データを与えて機械学習させれば、多種多様な動物の画像の中からどれが犬で、秋田犬なのかといったことも見分けられるようになります。同様に人間の音声データを機械学習させれば、その声を発したのが誰なのか聞き分けられるようになります。これらは「画像認識」、「音声認識」と呼ばれるAIの機能です。

また、AIの機能の中には「自然言語処理」といって、人間が日常生活で使う話し言葉や書き言葉を正しく理解できるようにする技術も含まれています。たとえばスマホなどに搭載された音声アシスタントがユーザーの言葉を聞き取り、応答できるのも高精度な自然言語処理によるものです。機械翻訳やチャットボット、画像データをテキストデータに変換するOCRなども自然言語処理が活用されている身近な事例でしょう。

ビジネスにおいては、こうしたAIの機能を応用することで、さまざまな問題の解決ができます。たとえば、AIの高精度な画像認識を活用すれば、部品の検品作業などにおいて人間が目視できないような微小な差も見分けて異常検知ができます。また、売上データなどを機械学習させれば、どの顧客がどのような商品を好んでいるのかといった、隠れた法則や傾向性を探索することも可能です。これを応用すれば、将来の売上予測などもできます。

AI導入の流れ

続いては、AIを導入する際の流れを解説していきます。

目的の整理と範囲を制定する

最初に取り組むのは、自社の課題を洗い出し、何の課題をどのように解決するためにAIを活用するのか、AI導入の目的を明確化することです。また、ひとつの課題に対してもAIだけで全てが解決できるとは限らないので、AIの活用範囲を確定することも必要になります。

データの収集・使用するAIの選定する

続いて、AIに機械学習させるためのデータを収集し、使用するAIを選定します。AIが正しく物事を認識したり判断したりできるようにするには、データの質と量の両方が重要です。たとえば、ノイズの多いデータをAIに与えると、機械学習の効率や効果は悪くなってしまいます。また、一口にAIと言っても、「画像認識が得意なAI」、「自然言語処理が得意なAI」というようにそれぞれ特徴があるので、課題や用途に合ったAIを選ぶことが重要です。

AIに学習させシステムに組み込む

データとAIがそろったら、AIに機械学習を行わせ、システムに組み込みます。機械学習の準備段階であるデータの加工処理など、この段階においては専門的なスキルが必要になってくるので、AI人材を事前に確保しておくことが重要です。

導入する

システムへの組み込みが終わったら、まずは試験導入から始め、AIが問題なく機能するか確認・調整します。それが終わったら、実際の業務やサービスにAIを本格導入します。

AI導入にあたって把握しておきたい課題

AI導入にはさまざまなメリットがある一方で、留意しておくべき課題もあります。たとえば、AIによって事故や情報漏えいなどの問題が生じた際、その責任はAIの開発会社が負うべきものか、AIを実際に運用している会社が負うべきものか、判断が難しいです。

また、AIに重要なデータを扱わせる場合には、情報流出などが起きないようにセキュリティ対策を万全にしなくてはいけません。AIに業務を代行させている場合、システム障害やサイバー攻撃などによって、その業務が停止してしまうリスクもあります。

さらに、そもそもAIを扱えるレベルのデジタル人材が社会的に不足しているのも問題です。長期的に考えるならば、自社の社員をAI人材へと育てていく育成環境の整備に取り組むことをおすすめします。

AIのビジネス導入事例を紹介

最後に、AIをビジネスに活用した具体的な導入事例を紹介します。自社でAIを活用するアイデアを今後考える際のご参考にしてください。

新入社員の離職率を低下

ある企業においては、新入社員の面談記録の作成や解析にAIを活用することで、新入社員の離職率を低下させることに成功させました。その企業においては、早期離職を抑止するために、新入社員に対して複数回に及ぶ面談サポートを行っていましたが、数多くの社員との面談記録を作成し、レビューするためには多大な労力を要していました。そこで同社は膨大な面談記録を使って、会社への不安などを抱えている社員特有のコメント傾向を解析させることで、離職の可能性の高い社員をAIに抽出させることに成功しました。これによって、同社は新入社員へより的確かつ素早くフォローすることが可能になり、従来よりも離職率を低下させることに成功しました。

配膳ロボの導入で省人化

AIを搭載した配膳ロボを開発し、レストランにおける配膳業務の自動化・省人化に取り組む企業も出てきています。配膳ロボとは文字通り、調理された料理を注文客の席まで届けるのが役割のロボットです。こうした配膳ロボにはセンサーカメラが搭載されており、注文客が料理を受け取ったか認識したり、通路を通る人を感知して停止したりできるように設計されています。配膳ロボのようにこれまで人間が行っていた業務をロボットやAIに代行させることで、仕事に必要なスタッフを減らすことが可能です。

AIによる商品選定で売り上げが増加

ある企業は、駅構内の自動販売機の商品選定に対してAIを活用しました。自動販売機に収納する飲料物やその本数は、商品の人気やロケーションなどに応じて細かく調整することで売上が変わってきます。こうした商品選定は通常、人間のオペレーターが行う業務ですが、その選定の適切さはオペレーターのノウハウなどに依存した属人的なものになりがちです。そこで同社は、気象データや過去の売上データからAIに売上予測を行わせ、その結果に基づいて商品の選定や配置をするように変更しました。結果、自動販売機の売上を従来より増加させることに成功させました。

まとめ

本記事で紹介したように、AIはビジネスにおけるさまざまな課題解決に役立つため、今後ますます重要性が増していくことが予想されます。他のIT先進国に比べて、日本企業のAI導入は比較的遅れていますが、これはAI導入に早期に着手することで、競合他社の先を行くチャンスとも考えられるでしょう。

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