製造業がアフターサービスに力を入れるべき理由

 2020.03.23  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

あらゆる産業でアフターサービス強化が進む中、差別化の要素として強く求められているのが製造業です。「質の高い製品を、より安く製造する」これが今までの製造業の基本理念でした。BtoB製造業もBtoC製造業もこの基本は変わらず、高品質低価格こそが至上という考え方が正義でした。

しかし時代は変わり、今では一部の製造業を除き多品種少量生産によって顧客企業や消費者ひとりひとりにマッチした製品を製造・販売することが急務とされています。技術のコモディティ化、新興国の台頭も進み、製造事業者での差別化が難しくなっているのです。そうした中、大手製造事業者を中心にアフターサービス強化に向けた取り組みが始まっています。

本記事では、製造業が今後アフターサービスに力を入れるべき理由について解説したいと思います。

製造業がアフターサービスに力を入れるべき理由

サービタイゼーションは進んでいるが、アフターサービスはまだまだ?

「サービタイゼーション」という言葉をご存じでしょうか?これは、従来はモノとして販売していた製品が生み出す付加価値に着目して、その付加価値を販売するというビジネスモデルです。たとえば英ロールスロイス社はジェットエンジンメーカーとして世界的に有名ですが、同社が近年注力している「Power by the Hour®」というサービスは顧客がジェットエンジンを使用した際の推進力を測定して、それに応じた従量課金制で料金を徴収するものです。

いわゆるサブスクリプションモデルのサービスであり、顧客はジェットエンジンそのものを所有しなくても航空機を飛ばせるだけの推進力が得られますし、部品在庫を確保したりメンテナンスを実施したりする必要もなくなります。

こうしたサービタイゼーションは世界中の製造業で広がりつつあり、日本においても取り組まれています。1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功した古野電機株式会社では、生化学自動分析装置とう医療機器においてサービタイゼーションを実施し、装置に異常が発生すると営業担当者がスマートフォンで通知を受け取り、現場へ急行してフィールドサービスを円滑化することに成功しています。

出典:日経ビジネス Online Special『老舗の電子機器メーカーの挑戦!サービタイゼーションでニッチな市場を切り開け

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日本国内においてサービタイゼーションへ取り組む製造事業者は多いものの、アフターサービスの強化に注力しているような企業はまだ少ないのが現実です。

アフターサービスの起点はカスタマーサポート部門

製造事業者の多くはカスタマーサポート部門を設けています。製品に関するトラブルを解決したり、疑問を解消したりするために電話・メール・チャット・Web問い合わせなどのチャネルを用意して、顧客企業や消費者からの連絡を受け付けることで、製品購入後の快適な利用をサポートするためです。

しかしながら、このアフターサービスが正しく行われていないことで、企業ブランドに対してマイナス印象を与えてしまうことが少なくありません。その最たる理由が「解決までに時間がかかる」「担当者同士のコミュニケーション不足」「イレギュラーに対応できない」ことです。

本記事を読まれている方の多くが、何らかの理由でカスタマーサポートへ連絡したことがあるでしょう。その際に、トラブルが解決するまでに多大な時間がかかったり、担当者同士のコミュニケーションが取れていないことで何度も同じ話をしなくてはいけなかったり、マニュアルから外れたトラブルや疑問に対する正当なレスポンスが得られなかったといった経験はないでしょうか?

そうした際に持つ印象はやはり、マイナス面と言えるでしょう。そしてそのマイナス印象はいつまでも脳裏に焼きつきやすいものです。心理学では「ネガティブな記憶は時間とともに増幅する」「人は達成したことよりも達成できなかったことの方が記憶に残りやすい」といった話があります。

実際に、過去にメーカーに対してマイナス印象を持ってしまうと、その印象を回復するのは難しいのです。つまり、アフターサービスで万が一マイナス印象を与えてしまうと、その顧客企業や消費者を永続的に逃してしまう可能性が高くなります。

また、今はSNS等で誰もが気軽に情報発信できる時代なので、企業に対するマイナス印象がインターネット上で拡散するのはあっという間です。従って顧客・消費者満足度や製品購入後の企業に対する印象は、そのほとんどがカスタマーサポート部門にかかっていると考えてよいでしょう。

顧客・消費者満足度が増すアフターサービスとは?

では、製造業がアフターサービスへ取り組むにあたり、顧客・消費者満足度を効果的に高めるためには何を意識すればよいのでしょうか?まず大切なのは、顧客・消費者がメーカーにアフターサービスとして望んでいる項目を洗い出した上で、顧客企業や消費者がトラブルを迅速に解決する手段を提供することです。

その点で言えば、FAQの充実化は重要なアフターサービスと言えます。FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で、日本語で「よくある質問」と略されます。多くの製造事業者は自身のホームページにFAQページを設置していますが、情報が十分とは言えません。

顧客企業や消費者が製品に対して何らかのトラブルを抱えている場合、真っ先にメーカーに連絡する人よりも、まずはインターネット上で情報検索する人の方が多いでしょう。その際に、メーカーが用意したFAQがヒットし、それを見ただけでトラブルを解決できれば企業への印象は良くなります。もちろん、修理が必要等のトラブルが発生した場合はメーカーに直接問い合わせる必要があります。

次に、カスタマーサポート部門において顧客企業や消費者ごとの問い合わせ内容を、データとして蓄積する環境も欠かせません。過去の問い合わせとトラブル解決の経緯がデータベースで管理されていれば、新規問い合わせに対して過去事例を参考にしながら迅速に対応できます。さらに、問い合わせ内容を常に記録し、担当者間で共有可能な状態なら担当者が変更になったとしてもスムーズな対応ができ、顧客・消費者満足度も向上します。

アフターサービスの多くは顧客企業や消費者が抱えているトラブルを解決したり、疑問を解消したりとなりますが、決してコストセンターだと考えずにアフターサービスの質向上が将来的な収益拡大につながることを意識しながら、アフターサービスへ取り組むことが大切です。

製造業に高度なアフターサービスを

製造業がアフターサービスを高度化するためのソリューションは多数提供されています。それらの中から自社にとって適切なものを選び、ぜひアフターサービス強化へ取り組んでみてください。徹底した顧客視点によって、企業ブランドの向上や将来的には収益拡大など、必ず企業の利益として返還されます。そのためには、現在のアフターサービスが抱える課題を明確にした上で、自社にとって最適なソリューションは何かを明確にしましょう。

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