IoTによって実現する未来のエレベーターとはどのようなものなのか?

 2021.03.05  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

「エレベーター」に着目する機会はそれほど多くないかもしれません。しかし、エレベーターの在り方はビル設計において重要な意味を持つうえ、建物の利便性をも左右します。特に近年は、IoTの普及によってエレベーターも進化しています。当記事では、IoTを活用したエレベーターの事例とともに、エレベーターの将来について解説します。

IoTによって実現する未来のエレベーターとはどのようなものなのか?

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理想だったエレベーターがリアルになる時代へ

エレベーターは、今では当たり前のように利用されており、大型ビルなどに限られることもなく、さまざまな場所で見かけます。これは、ここ数十年で急速に増えてきたものであり、それ以前は現在ほど見かけるものではありませんでした。そして、この進化は今もなお続いています。より先進的なエレベーターの構想も進められており、実用化に向けた研究開発が行われています。

現状では、箱型の部屋がワイヤーで吊り下げられ、単に上下運動を行うタイプのエレベーターが一般的です。しかし今後は、より自由な形でエレベーターが進化していくと見られています。また、IoTの技術発展・普及に伴い、安全面を強化するためのエレベーターおよび周辺技術も開発されつつあります。今後は新たな運用の形も実現されていくことでしょう。

このように、これまで理想として掲げることしかできなかったエレベーターの先鋭化が、段々と現実味を帯びつつあるのです。その流れを推進するように、東芝エレベーター株式会社主催のもと「未来エレベーターコンテスト」も開催され、さまざまなアイデアが集められています。

同コンテストでは、10年後のエレベーターの在りようを広く募っています。「身の回りのあらゆるモノがインターネットに繋がる」というIoTが浸透する中、今後これをどのようにEV技術に活用できるのか、そのヒントを得ることに役立てています。今すぐは実現できなくても、いつか実現できるものも含まれているかもしれません。

実際、IoTの活用によって、未来のエレベーターは変わると予想されています。例えば、スマホなどに音声で目的階を告げることで、もっとも早く目的地に到着できるエレベーターへと誘導してくれる機能なども生まれるかもしれません。ほかにも、単なる移動場所として活用するだけでなく、室内のタッチパネルで商品の購入ができたり、怪我人や妊婦などを自動判別してサポートを行ったりするなど、多機能型のものも出てくるかもしれません。このように、IoT技術を活用することでさまざまな可能性が広がるのです。

IoTを活用したエレベーターの事例

すでに国内外の一部企業では、エレベーターにIoTを導入した事例があります。国内の事例は、メンテナンスや運用面で特に機能するもので、比較的導入も進めやすいといえるでしょう。対して国外の事例は革新的なもので、今すぐの普及は難しいものの、今後の進展が期待されるものです。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

時代に先駆けて登場した「スーパーヘリオスメンテナンス」

まずは、日立ビルシステム提供の「スーパーヘリオスメンテナンス」をご紹介します。こちらはエレベーターの状態を24時間、常に見守ってくれる遠隔監視システムです。目視が難しい箇所でも、IoT技術によりリアルタイムの点検を実施でき、定期的な予防保全も自動で行ってくれます。ベルトの緩みも0.1m単位で定期的に計測を行い、予防保全の精度を向上させることに役立ちます。

技術者の点検を主体とする一般的なタイプだと、しばしば点検と点検の間で発生する故障が問題となることもあります。しかし同システムでは、いつでもどこからでも遠隔で点検を実施できるため、切れ目なく安全な環境を維持できるメリットがあります。

また、技術者の五感に頼っていた点検内容もIT化することで、ヒューマンエラーを減らすとともに、安定した点検クオリティを実現できるようになります。必ずしも人であることを要さないため、複雑な構造をしたスペースや非常に狭いスペースに関しても、問題なく保全が実施できます。

これは、エレベーターそのものが先進的なつくりになるわけではなく、まして利用者が目新しさを体感するものでもありません。しかし、安全を確保することは機能性以上に配慮しなければならないポイントであり、管理を行う者にとっては革新的な技術であるといえるでしょう。

稼働状況をスマホでチェックできる「BUILLINK」

続いては、同じく日立ビルシステムが開発した「BUILLINK」をご紹介します。こちらは稼働状況をスマホでチェックできるようになるなど、ビルオーナー向けのダッシュボードです。「見える、つながる、動かせる」がコンセプトで、今後は東南アジアを中心にグローバル展開していくとされています。

なお、BUILLINKはエレベーターだけを対象とするものではありません。ビル設備全体がその対象であり、各設備の稼働状況・保全状況などのチェックを簡易化するとともに、収集したデータをもとに分析し、予防保全にも役立てられるよう設計されています。すでに数多くのビル設備にて導入が進んでいます。具体的には、かご内の情報表示・運行制御・保全レポートの表示など、多様なサービスが提供されています。

今後もIoTをはじめとした、AI・VRなどの最先端技術を幅広く活用し、より快適な空間を提供するサービスの登場が期待されています。

ワイヤレスの新型エレベーター「MULTI」

「MULTI」は、世界的企業であるティッセンクルップが開発した、ワイヤレスのエレベーターです。動力源にリニアモーターを採用し、ワイヤレスにすることで、上下移動のみならず水平移動も可能にしています。

縦横無尽に移動できるため、利用者は目的地まで最短での移動が可能です。これには、効率的な輸送を実現するだけでなく、占有面積を削減できるメリットもあります。これによりビル設計の自由度が向上し、建築上の制限も少なくなります。その結果、エレベーターに限らず、ビル設計そのものに革新的な発想を取り入れることも可能となるのです。

現段階ではコストが大きいため、普及には時間がかかるとされていますが、エレベーター業界に起きた革命として、世界的に注目を集めています。

まとめ

IoTの活用によって、エレベーターのメンテナンスにかかるコストや作業量の削減が期待できます。実際、予防保全などを自動化するシステムの導入が進んでおり、エレベーターは進化を続けています。IoTは今後も発展が見込まれるため、それに伴いエレベーターの利便性も向上していくことが予想されます。

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