製造業における人手不足の現状と外国人材の受け入れについて

 2020.05.03  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

昨今の日本経済を取り巻く環境は、とくに人手不足が深刻化していると言われています。今回はその中でも特に「製造業」に的を絞って、人手不足の現状や人材確保に向けての対策、さらに外国人材の受け入れについて、詳しく解説していきます。

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94%以上が実感 製造業における人手不足

近年わが国の社会や経済において「人手不足」が大きな問題となっています。製造業においても、人手不足の問題は例外ではありません。

経済産業省による調査では、「現在の人材確保の状況」について「特に課題はない」と回答した企業は、2016年は製造業全体の19.2%だったのが、翌年は5.8%と大幅に減少しました。2018年の調査でも5.2%と、若干ではありますが、さらに低下しています。

一方「大きな課題となっており、ビジネスにも影響が出ている」という回答は、2016年には22.8%でしたが、2018年は35.7%と13%近くも増加しました。これらの結果を見る限り、2016年に「特に課題はない」と答えていた企業がそっくりこちらに移行してきたような形となっています。

実際、就業者の数もそれほど増えてはいません。国内全体の就業者数は、2012年末に安倍政権が誕生し、いわゆる「アベノミクス」が開始されて以降は景気回復の波に乗り、それまでの減少傾向から大きく増加へと転じました。製造業の場合も増加の傾向にはありますが、全体の伸びと比較すれば決して高いとは言えません。以前の水準には及んでいないというのが現状です。

「ビジネスにも影響が出ている」という回が多く見られた業種は「輸送用機械」「鉄鋼業」「非鉄金属」「金属製品」です。企業の規模では大企業より中小企業のほうが若干多くなっています。また、「特に確保が課題となっている人材」については、「技能人材」という回答が55.0%と最も多い結果となりました。これに次ぐのは「設計・デザイン人材」の8.8%、「営業・販売、顧客へのアフターサービス人材」の8.6%で、技能人材の突出ぶりが際立っています。

製造業の人材確保対策

では、このように人手不足の問題が深刻さを増している中で、企業はどのような対策をとっているのでしょうか。こちらも経産省が企業に行ったアンケート調査の結果から読み取ってみましょう。

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現在の対策

現在の「人材確保対策に向けた最重視の取組」については、「新卒採用の強化」という回答が大企業、中小企業ともに最多となっており、新卒採用が基本という点では両者一致しています。ただ、これに次いで重視している取り組みに関しては、それぞれに違いが見られます。大企業が「人材育成方法の見直し・充実化の取組」を考えているのに対して、中小企業では「社内のシニア、ベテラン人材の継続確保」や「社外のシニア、ベテラン人材の採用強化」という回答が多く、育成と並行して即戦力を求める傾向も見られます。

今後の対策

一方、今後の対策に関しては、大企業では「IT・IoT・ビッグデータ・AI等の活用などによる生産工程の合理化」や「多様で柔軟な働き方の導入」という回答が増加しており、「きつい」「汚い」「危険」のいわゆる3Kのイメージを変えていこうという考えが見受けられます。これに対し中小企業のほうは「自動機やロボットによる自動化・省人化」という回答が多く、ここでも「即戦力」を求める傾向が見られます。また「国籍にこだわらない人材活用」という回答も増加しており、人材不足がより切実な問題になっていることもうかがえます。少子化により労働人口そのものが減少しているという現状を考えれば、「外国人材の活用」ということも極めて現実的な選択肢となってくるでしょう。

製造業に外国人材を受け入れるメリット

もし外国人材を受け入れるとなったら、企業には一体どのようなメリットがあるのでしょうか。いくつか考えられるものをあげてみましょう。

海外とネットワークを築くことができる

海外でビジネスを展開していく際に外国人社員がいると、彼らを通してその国や地域の言語や習慣を学ぶことができます。また、外国人社員が自社の事情や情報に精通することで、彼らの母国などと取引を行うときに、彼らが間に入ることで交渉がスムーズに運んでいくことも期待できるでしょう。

新たな技術や発想を取り入れることができる

外国人社員から学べるものは、言語や習慣だけに限りません。まだ日本には入ってきていない新しい技術や日本人には見られない斬新な発想などを、他社に先駆けていち早く取り入れることができます。

訪日外国人への対応やサービスに寄与してくれる

近年は日本を訪れる海外からの観光客も増加傾向にあり、必然的に訪日外国人に向けた対応やサービスへの需要・必要性も高まっています。外国人社員には、こうした取り組みにおいても活躍が期待できます。

若く、優秀な人材を確保することができる

日本の大学等で学ぶ留学生の多くは、日本語も堪能で、かつ日本の文化や習慣にも精通しており、意欲や向上心も旺盛です。会社の将来を担う、若く優秀な人材を求めるなら、彼らにも大いに目を向けるべきです。

社内の活性化につながる

日本人にはない知識や技術を持ち、また意欲や向上心にもあふれる外国人社員が加わることは、日本人社員たちにとっても、よい影響や刺激になります。社内が活性化していくという副次的な効果も期待できるでしょう。

外国人材を受け入れる際の注意点

実際に外国人材を受け入れることになった場合は、やはり日本人とは若干事情が異なりますので、配慮や留意しなければならない点も多々あります。外国人材を受け入れるときの注意点を挙げてみます。

就労には確認や申請が必要

外国人は入国時に取得した在留資格の範囲内でなければ日本で仕事をすることはできません。違反するといわゆる不法就労となってしまいますので、受け入れに際しては、必ずこの点を確認することが必要です。

また日本に住んでいない場合は、まず現地の日本国大使館または総領事館において就労ビザを取得しなければなりません。この際、ビザの申請前に日本国内の地方出入国在留管理局で「在留資格認定証明書」の交付を受けておくと、ビザの発給までの期間が短縮されます。これを提出しないと1~3か月ほどかかってしまいますので、事前に取得しておいたほうがよいでしょう。

外国人労働者を雇用した際は、ハローワークにその旨の届け出もしなければなりません。外国人の雇用状況を申告することはすべての事業主に課せられた義務です。これを怠ると、30万円以下の罰金が科される恐れもあります。

「差別」に注意が必要

待遇の面においても、仕事の面においても、外国人というだけで日本人社員と差をつけることは禁止です。「日本とはお金の価値が違う」などと都合のよい理由を並べて不当に低い給与で雇用したり、「研修」と称して休日返上で連日長時間の勤務を強いたりするようなことは絶対にあってはなりません。

「異なること」への配慮も必要

外国人であれば、当然日本とは異なる文化や習慣、考え方を持っています。受け入れる以上は、それらを否定するのではなく、尊重して理解しようとする姿勢が大切です。また、留学などを経ずに来日した場合は、自分一人だけが外国人という状況に慣れず、疎外感や孤独感を感じることも多いはずです。周囲から積極的に声を掛け、溶け込みやすい雰囲気を作っていくなど、彼らが一人で孤立することのないように気配りしていくことも必要です。

まとめ

製造業においては、会社の規模を問わず、人手不足の解決は大きな課題となっています。少子化やそれに伴う労働力の減少という現状は、今後も大きく変わることは期待できません。若年層の取り込みと並行して、外国人材を活用するということも積極的に検討していくべきでしょう。 

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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