食品衛生管理におけるHACCPの概要と、企業がすべき対応とは

 2021.05.28  デジタルトランスフォーメーションチャンネル編集部

2021年6月以降、食品事業者は「HACCP(ハサップ)」という基準を考慮した上での食品衛生管理が義務となりました。
HACCPに基づいた食品衛生管理が求められるので、これからの対応を具体的に把握する必要があります。
企業によっては今後の義務化に向けて、いくつかの準備が求められるでしょう。

本記事ではHACCPの基本的概要と食品関連企業が知るべき内容を解説します。今回の変更に関連する企業は、まずは基本をチェックすることから始めましょう。

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HACCPで変わる食品衛生管理

食品衛生管理は、今後HACCPによって変わっていくことが決まっています。
まずはHACCPについての概要と、変化するこれからの食品衛生管理方法を確認します。

HACCPとは

HACCPとは、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(必須・重要)、Control(管理)、Point(点)の5つの英語の頭文字を取った言葉です。
日本語ではHazardとAnalysisで「危害分析」、CriticalとControlとPointで「必須管理点」とそれぞれ訳されます。

危害分析では、原材料から出荷までの各工程で食品に有害な原因、例えば細菌や化学物質などが混入するリスクがないか管理します。
必須管理点では、食品の危害を与える可能性のある要因を減少及び除去するための管理を行います。例えば加熱・冷却・包装などの部分を、継続的に監視して記録するのがポイントです。
食品の製造工程を細かくチェックして、健康被害につながる可能性を予測しながらリスク管理を行う方法を意味します。あくまで安全管理の方法であって、品質管理とは別のものです。

義務化されるHACCP

既にアメリカやヨーロッパ各国では、HACCPに基づいた対応が義務付けられています。
一方で、日本ではHACCPの導入率が低く、食品衛生管理の安全性向上が遅れていました。
対応が遅れていたために、日本の食品の安全性が疑問視される可能性も危惧されています。

しかし、日本でも食品衛生法が改正され、現状が変わりつつあります。
具体的には2020年6月から、国内でもHACCPによる食品衛生管理が義務とされました。
法律が施行されてから1年間は猶予期間になりますが、2021年6月には完全義務化になるので、食品事業者は必要な準備をしなければなりません。
現状では実際に導入しなくても罰則はありませんが、改正食品衛生法では都道府県で定められている条例による罰則が規定される可能性があるとされているので対応が求められるでしょう。

食品を扱う企業で必要なHACCP対応

HACCPの義務化によって、食品を取り扱う事業者は新たな衛生管理方法に対応する必要が出てきます。
企業ごとに対応内容が異なるので、以下を参考に詳細を確認します。

HACCPに基づく衛生管理を求められる企業

基本的に食品事業に関わるすべての事業者は、HACCPの導入対応をしなければなりません。しかし、規模の小さな企業が変化に対応することが難しくなることを考慮して、対応内容は「一般事業者向け」と「小規模事業者向け」に分けられています。

従業員数が50名以上の一般企業は、「HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)」の対応が求められます。
HACCP 7原則に基づいて、企業自らが衛生管理計画を作成する必要があります。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求められる企業

従業員が50名以下の小規模事業者に関しては、企業体力を考慮して「HACCPに沿った衛生管理(旧基準B)」による対応が求められます。
各業界団体が作成した手引書を参考にして、簡略化された形で対応できるのが特徴です。一般事業者と比較して簡易的な内容になり、HACCPの考え方を現在の事業に取り入れる形の食品衛生管理が行われます。

HACCP対応を求められない企業

食品衛生上のリスクが低い企業に関しては、HACCPによる特別な対応は不要です。例えば下記の企業が導入対象外とされています。

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  • 食品や添加物の輸入業者
  • 食品や添加物の貯蔵、運搬のみを仕事にする事業者(冷凍や冷蔵倉庫業は除外)
  • 常温で長期間保存をしても、品質が変化して食品衛生上のリスクが発生することがない包装食品の販売業者
  • 合成樹脂を除く器具容器包装の製造事業者
  • 器具容器包装の輸入や販売業者
  • 農家や漁師が行う出荷前の調整の仕事
  • 学校や病院以外の給食施設(20食未満)

上記企業はこれからも対応が不要ですが、当然一般的に求められる食品衛生管理は実施し続ける必要があります。

食品衛生管理のHACCP対応で実際にすべきこと

食品衛生管理のHACCPを実施する際には、具体的に以下の対応が求められます。

7原則12手順による食品衛生管理

HACCPでは、7原則12手順によるマニュアル作成が必要です。
7原則12手順とは、下記の内容を意味します。

手順1:HACCPのチーム編成
HACCPを導入・運用するチームを編成するために、各部門から必要とされる人材をピックアップします。必要に応じて専門家を外部から招くこともあります。

手順2:製品説明書の作成
取り扱っている製品の原材料や特性をまとめ、安全確保のための基礎資料を作成します。

手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
製品の使用方法(加熱の必要性など)や、提供先となる消費者の情報をまとめます。

手順4:製造工程一覧図の作成
製造に必要とされる工程を記載します。

手順5:製造工程一覧図の現場確認
手順4の製造工程図を参考に、実際の現場を確認して適宜修正を加えます。

手順6(原則1): 危害要因分析の実施
食品の工程ごとに危険要因を把握し、考えられるリスクを洗い出します。

手順7(原則2):重要管理点の設定
食品製造における危害要因を除去・低減するための、重要管理点(CCP)を決めます。例えばノロウィルス対策として、加熱処理を重要管理点として設定することなどが考えられます。

手順8(原則3):管理基準の設定
重要管理点を正しく運用するための、管理基準(CL)の設定を行います。例えば「加熱処理を〇分以上行う」など、具体的な基準が設けられます。

手順9(原則4):モニタリング方法の設定
先に定めた重要管理点が、重要基準のもとできちんと運用されているのかを確認する方法を決めます。

手順10(原則5):改善措置の設定
仮にモニタリングによって管理基準を満たしていないことがわかった場合、どのように対処するのかを決定します。

手順11(原則6):検証方法の設定
HACCPが正しく実施されているのかを検証する方法を決定し、定期的に修正が必要かを検証する機会を設定します。

手順12(原則7):記録と保存方法の設定
実施内容の記録方法と保存方法を設定し、その後の修正・改善に活用する準備を行います。対象となる一般事業者は、上記の内容を自身で作成して管理することが求められます。

小規模事業者におけるHACCP対応

小規模の食品関連事業者は、企業が関連している業界団体が作成した「業種別手引書」を参考にしてHACCPの対応を行います。
手引書からは、それぞれの業種・業態が把握すべき危害要因の解説や、具体的に行うべき計画の手順書の雛形などが確認可能です。
既存の手引書をフォーマットにして対応が行えるので、負担を少なくすることができます。

一方で、小規模の食品関連事業者もHACCPの記録保存は必要です。企業の記録保存方法が紙媒体である場合には、その管理が難しくなることが考えられるので、この機会にDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めることも検討されます。

まとめ

食品衛生管理を変えるHACCPへの対応が、今後急務となる事業者も多いです。新たなシステムの導入に遅れないように、この機会に基本的な概要を確認してみましょう。
HACCPへの対応を進める際には、シムトップスの「i-Reporter」を導入して記録保存作業を最適化することもおすすめです。

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