DX戦略の立て方とは?成功のポイントやビジョンの設定事例も紹介

 2022.10.19  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

Strategyと書かれた吹き出し

いまや多くの企業がDXに取り組んでいますが、思うようにDXが進まないという声も多くあがっています。DXに成功している企業の多くがDX戦略を立てて取り組んでおり、DXの成功・失敗をわけるポイントはDX戦略の立て方にあると言っても過言ではないでしょう。

本記事では、DX戦略の概要や立て方、ビジョンの設定事例やDX推進成功のポイントなどを紹介します。ぜひ本記事を参考にDX戦略の立案・見直しを行ってみてください。

DX戦略とは?

クエスチョンマーク

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を活用し、業務効率化や生産性向上を通して、ビジネスモデルの変革や顧客への新たな価値提供を行うことを指します。DX戦略は、DXに 中長期的な視点で取り組み、DXの目標を達成するための指針です。DX戦略では、DXの方針や取り組みの内容、推進体制などを定義し、DXの目標達成を円滑に進めるために策定されます。

DX戦略の必要性

Checkの文字とCheckマーク

DXは、ITツールを利用した単なるデジタル化ではなく、新しい価値を創出することを目的としています。一朝一夕で実現できるものではないため、中長期的な取り組みが必要になります。また、DXの実現には様々な角度から既存の業務改善を行う必要があり、効果的に成果を得るためにはコストパフォーマンスの高い施策から全社一丸となって優先的に取り組んでいくことが重要になるでしょう。

DX戦略を立てずにDXに取り組もうとすると、対応が場当たり的になり、ITツールを導入したものの一部の現場でしか活用されず、多くの現場で利用が形骸化してしまうなどの問題が発生しがちです。DX戦略を立て、DXの取り組み方針や将来のビジョンを社員に共有し、戦略的にDXに取り組むことがDXの実現成功につながります。

DX推進ガイドラインとは

本が映ったタブレット企業が効果的なDXを推進するための標準書として、経済産業省は 「デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)」 を公開しています。DX推進ガイドラインでは、DX推進のための経営のあり方、DXを実現する上での基盤となるITシステム構築における体制・仕組みから実行プロセスまでが定義されています。

DX推進ガイドラインのなかでも、「経営戦略・ビジョンの提示」がDX推進時のチェック項目 として挙げられています。DX推進にあたっては、DX推進ガイドラインに記載されている通り、「どの事業分野でどのような新たな価値を生み出すことを目指すか」、そのために、「どのような ビジネスモデルを構築すべきか」 を検討し、戦略的に取り組むことが重要です。

DX戦略におけるビジョンの役割とは

visionという文字ビジョンは企業として今後の自社のあるべき姿を示すものです。DXに取り組み、新たな価値を創出すると言っても、社員が明確にDXに取り組んだ結果の未来をイメージできるかというと難しいでしょう。社員がDXに積極的に取り組むようになるためには、経営層からDX推進によって実現し得る未来をビジョンとして発信する必要があります。

このビジョンが社員にうまく伝えられていないと、多くの社員がDXによって何を実現するのかをイメージできず、DXに取り組む必要性を理解できません。DX戦略におけるビジョンの役割は、経営層と社員との間でDX推進によって実現する未来への認識を統一し、DXへの取り組みを加速させるものと言えます。

DX戦略とビジョンの設定事例

ミーティングのシルエット

DX戦略およびビジョンの設定が重要であることを解説しましたが、どのようなDX戦略・ビジョンを設定すると良いのでしょうか。実際に企業で設定されているDX戦略・ビジョンの例を紹介します。

味の素株式会社

味の素株式会社では、「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」をパーパス(志)として掲げています。DX戦略としては、2030年までに「10億人の健康寿命の延伸」「環境負荷50%削減」のアウトカム実現と無形資産への投資によるASV進化を経営方針とし、DX(n.0)モデルを採用して5段階のStepを定義し、細かな設計を行っています。

マーケティング、SCM、R&D、人財育成の4つの柱を中心にデジタル技術の活用に取り組み、外部組織との連携を含めたDX推進体制の確立やサイバーセキュリティ対策、重点KPIを設定したDX推進といったDX推進を効果的に進める取り組みも特徴的です。これらの取り組みが認められ、味の素株式会社は2022年にDX認証制度 の認証を取得、DX銘柄 2022への選定を実現しています。味の素株式会社のDX戦略は、多くの企業がDX戦略の設計を行う参考にできるでしょう。

富士フイルムホールディングス

富士フイルムグループでは、以下のビジョンを掲げています。

わたしたちは、デジタルを活用することで、一人一人が飛躍的に生産性を高め、そこから生み出される優れた製品・サービスを通じて、イノベーティブなお客さま体験の創出と社会課題の解決に貢献し続けます。

出典:富士フイルムホールディングス「DXビジョン 」

富士フイルムグループでは、このビジョンのもと、ITインフラおよび「製品・サービスDX」「業務DX」「人材DX」の3つの柱でDX基盤を構築しています。ビジョンが明確になれば、社員にDXの取り組み方針を共有しやすくなるとともに、必要な取り組みを洗い出しやすくなるでしょう。また、外部のステークホルダーに対してもDXの取り組みをアピールしやすくなります。富士フイルムホールディングス株式会社もDX銘柄2022に選定されており、DX戦略の設計を行う際の参考にできる 取り組みを行っています。

DX戦略の策定準備

Analysisの文字を拡大している虫眼鏡

DX戦略を立てる際には、まず事前準備を行っておくと良いでしょう。具体的には、以下のような情報をまとめておきます。

  • 業界における自社の位置づけ
  • 競合他社と比較した自社の強み弱み
  • 現在抱えている自社の課題
  • DXにさけるリソース

業界における自社の位置づけや競合他社と比較した自社の強み弱みがビジョンの元になります。また、具体的にどのようなDXを行うのかは、現在抱えている自社の課題をベースに考えると良いでしょう。具体的な取り組み内容と自社がDXに割けるリソースをふまえ、どの程度の期間で目標達成を目指すのかの計画が決まります。

DX戦略の立て方

アイデアを出す女性

DX戦略の策定準備が終わったら、実際にDX戦略を策定していきます。DX戦略の策定は以下のようなStepで行うと良いでしょう。

DXの目的と方向性を設定する

まずはDXによって何を達成したいのか、どのようにDXを進めていくのかを定義します。目的や方向性によって、どの程度のリソースを割くのか、どの程度の期間で目標達成を目指すのかなどが異なってくるため、できるだけ具体的なレベルに落とし込んで定義することが重要です。

また、近年では、DXの方向性として社会課題の解決を考慮する企業が増えています。ESGやサステナブルなどの観点も考慮してDXに取り組むことで、社会や外部のステークホルダーからの評価も得やすくなるでしょう。現在日本が抱えている主な社会課題には、「貧困問題」「少子高齢化」「待機児童」「介護問題」といった一般的なことから、ビジネスにおける「人材不足」「後継者不足」、働き方の観点での「長時間労働」 などが挙げられます。

DXのビジョンを明確化する

DXの目的と方向性をもとに、ビジョンを明確化しましょう。ビジョンを明確化することで、DXに向けた取り組みの共通認識を作ることができ、社員がDXに取り組みやすくなります。また、明確化したビジョンは社内だけでなく社外にも公開することで、DXの取り組みをアピールでき、取り組みの促進につながります。

ビジョンと現状のギャップを確認する

明確化したビジョンと現在抱えている自社の課題とを照らし合わせ、どのようなギャップがあるのかを洗い出しましょう。ギャップが大きいものほど、DXに取り組んだ結果の改善効果が高い可能性があります。DXに取り組むうえで、費用対効果も非常に重要なポイントになるため、まずは効果の高い施策から集中的に取り組むのがおすすめです。

ギャップを埋める方法やツールを検討する

洗い出したギャップを埋めるために、どのような方法・ツールを選択するべきかを検討します。企業としてDXに割けるリソースには限りがあるため、割り当てるリソースに対して効果の高い方法・ツールを選ぶことが重要になります。現在では、DXが多くの企業で推進されるようになった結果、非常に多くのソリューションが提供されるようになりました。フリープランが用意されているソリューションも多くあるため、色々なソリューションを試し、自社に合ったものを見つけると良いでしょう。

いつまでに・どのように取り組むかを計画する

取り組み方法や導入するツールが決定したら、いつまでに・どのように取り組むかを計画します。DXは一朝一夕では行えないため、中長期的な視点での計画が必要です。最初からじっくり計画を立てて規模の大きいDX推進を行うよりも、スモールスタートで取り組み、PDCAを回しながら適宜軌道修正を行うのが良いでしょう。

DX推進の成功ポイント

Pointと書かれたホワイトボード

DXを成功させるためには、適切なDX戦略以外にもいくつか重要なポイントがあります。ここでは、DX推進の成功ポイントを3つ紹介します。

経営陣が積極的にコミットする

DXはこれまでの企業のビジネススタイルや組織体制、企業風土など大きな変化をうむものです。大きな変化をうむためには、全社一丸となって取り組むパワーが必要になります。経営陣がDX推進を部下に丸投げしていては、部下は本気になってDXに取り組むことができず、思うような成果は得られないでしょう。部下が本気になってDXに取り組むためには、経営陣が率先してDXに取り組んでいる姿勢を見せることが重要です。決して部下にDXを丸投げせず、経営陣が積極的にコミットするようにしましょう。

DX人材を育成する

DXの取り組みに対する結果は決して一律ではなく、効果的なDXの取り組み方法は企業によって異なります。その理由は、同じ業務を行うにせよ、企業によって決裁ルートや業務の進め方が異なることにあります。とある企業の成功事例を真似したとしても、自社に合った施策でなければ大きな効果を得られない可能性もあるでしょう。

効果的なDXの推進を行うためには、IT関連の知識・スキルがあるだけではなく、その企業独自の文化や風土、業務の進め方などを熟知しているDX人材が必要になります。そのようなDX人材を確保するためには、企業としてDX人材を育成する取り組みも重要です。

成果を評価・フィードバックする

DXによってこれまでの業務フローや手順が変わると、現場の社員には大きな負担がかかります。いくら今後より業務の効率化が行えると言われても、慣れた仕事の進め方が変わることへの抵抗は小さくないでしょう。現場の社員からの反発を防ぐためには、細かな成果でもDXの取り組みに対する評価やフィードバックを行うことが重要です。DXの取り組みの結果をデータとして現場の社員に届けることで、DXの取り組みは価値のあるものだと理解してもらうようにしましょう。

まとめ

DXの取り組みによって得られるメリットは非常に多くあります。しかし、DX推進には金銭的なコストを始め多くのコストがかかるとともに、現場社員の負担増などのデメリットも発生します。デメリットを抑えてDXのす音信を成功させるカギは、適切なDX戦略を立てて推進を行えるかどうかです。

本記事で解説したDX戦略の立て方やビジョンの設定事例などを参考に、ぜひ自社のDX戦略の立案・見直しを行ってみてください。

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