製造業に画像解析AIを導入するメリットや事例を紹介

 2021.06.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年、画像解析AIの導入を前向きに検討する製造関連企業が増えました。今まさに導入を検討している経営者、担当者の方もいることでしょう。しかし、どのようなメリットを得られるのか理解できているでしょうか。

本記事では、製造業が抱える課題や画像解析AIを導入するメリット、事例などをご紹介します。

製造業に画像解析AIを導入するメリットや事例を紹介

日本の製造業が抱える課題

少子化の煽りを受け、深刻な人材不足に頭を悩ませる企業が増えています。人口の減少により、従来労働力を確保しにくくなっているのです。また、製造業は仕事がきつい、汚い、危険といった3Kのイメージがいまだに強く、これもまた人材難に陥ってしまうひとつの原因だと考えられます。

実際に仕事がきつい、汚い、危険といった工場の場合、人員も定着しにくい傾向があります。コストをかけて採用したのにすぐ辞められてしまい、再度コストがかかるといった悪循環に陥ってしまいます。人の入れ替わりが激しいと、能力にもばらつきが生じてしまい、その結果、品質の低下、不良品の見逃しといったことが起きる可能性もあります。

インターネットの普及により、現代ではさまざまな業界の企業がビジネスにITを取り入れています。一方、製造業はといえば、他業界ほどは進んでいません。IT化により何を実現できるのかわからない、コストを捻出できないなどの理由から、なかなかIT化へと踏み切れない企業が多いのです。

また、技術継承の課題も挙げられます。現在、製造の現場で活躍している職人たちの高齢化が進んでいます。次世代を担う人材へ技術をスムーズに継承できれば問題ありませんが、そう簡単な話ではありません。

先述した通り、製造業は深刻な人材難に喘いでいます。人材を確保できないことには、技術の継承もできません。高度な技術力をどう継承していくのか、企業は真剣に考えなくてはならない時期にきています。

製造業に画像解析AIを取り入れるメリット

画像解析AIは、人工知能に画像の解析を行わせる技術であり、製造業への導入によりさまざまなメリットを得られます。具体的に、どのようなメリットを得られるのか詳しく見ていきましょう。

検品作業のコストを削減

製造に携わる企業の業務において、検品は重要な作業のひとつです。従来では、熟練のスタッフが目視で製品をチェックし、基準に満たないものや不良品を省いていました。

人の目と手で行う作業では、どうしてもミスの発生率を高めてしまいます。人間の能力は完璧ではなく、なおかつさまざまな要因により精度が左右されるからです。経験豊富で優秀なスタッフでも、疲労困憊で集中力が低下していれば、ミスを誘発する可能性は高くなるでしょう。

画像解析AIを導入すれば、このような課題を解決できます。人の目では見逃してしまうわずかな瑕疵であっても、AIなら見逃しません。つまり、ヒューマンエラーをなくせられるのです。

また、検品作業の属人化も回避できます。人による検品では、作業員の経験や能力により精度が左右されるケースも珍しくありません。AIではそのようなことがなく、安定した精度で検品を行えます。

生産性の向上

画像解析AIを導入すれば、ヒューマンエラーや部品のロス、異物の混入などを回避できます。検品のために人員を配置する必要がなくなり、二度手間を防げるメリットもあります。

もちろん、最終的な検品は人の目で行うケースが多いでしょうが、製造プロセスにおける余分な人員を削減できるのです。それまで検品作業を担当させていた人員を、別の業務へあてられるため、トータルでの生産性向上が見込めます。

コスト削減の効果が見込めるのも、メリットといえるでしょう。従来よりも採用する人材を少なくでき、余剰人員の削減が可能です。

安全性の向上

何を製造する工場なのかにもよりますが、製造現場における作業では危険がつきまとうケースも少なくありません。作業員が手や足を機械に挟んでしまう、火傷を負ってしまうといった事故が起きる可能性があります。

また、検品のような淡々とこなす作業は、集中力も長く続きにくい傾向があります。集中力を欠いてしまった結果、ケガへ結び付く可能性は十分あるでしょう。さらに、人手不足が原因で慢性的な長時間労働が行われている工場では、従業員が過労で倒れる、集中力を欠かしてケガをする、病気になるといったリスクも考えられます。

画像解析AIの導入により、これらのリスクも解消できます。人ではないAIは集中力を切らすことがなく、ケガや病気の心配もありません。人による作業では危険がつきまとうケースでも、AIなら何の問題もないのです。

作業員の安全を確保できるだけでなく、顧客にとって安全な製品を提供できるのもメリットです。何らかのミスで不良品を製造し、それが流通してしまった場合、手にとった消費者がケガをしてしまうおそれがあります。このようなことが起きると、商品を市場から回収せねばならず、莫大なコストがかかります。

それだけでなく、企業としての信頼も地に墜ちてしまうでしょう。今後の事業継続にも関わる重大な問題です。AIによる自動化が実現すれば、このようなリスクも回避できるでしょう。

AIを活用した画像解析・外観検査の今

製造業においても、近年ではIT化を推進しようとする企業が増えています。すでに、AIを画像解析や外観検査などに活用している企業も少なくありません。

たとえば某レンズメーカーは、AIによる外観検査を実現し、従来の課題を解決することに成功しました。同社では、現行の画像検査システムでは不具合の検出が難しく、新製品を開発するたびにシステムの再設定が必要になるといった課題を抱えていました。では、同社はどのようなソリューションを実施し、どういった成果を得たのでしょうか。

実施内容

同社では、検品精度の向上を目的に、2種類のAIモデルを導入しました。AIのダブル構成により、従来では見落としがちだった微細な瑕疵も、高精度で検出できるようになったのです。

検査ラインへの組み込みにおいては、当初AIによる判断だけには頼らずグレーゾーンを設けました。グレーゾーンに該当した製品に関しては人の目で検査を行い、その結果をAIに学習させたのです。

このようにして、少しずつAIへ学習させ、精度をより高めていきました。グレーゾーンの範囲も少しずつ狭め、最終的にはゼロにすることを目指しているそうです。

グレーゾーンを完全になくすことができれば、今後人の目で検査を行う必要がなくなります。つまり、検査ラインへ人員を配置する必要がなくなり、労力やコストの削減が実現するのです。同社ではまだそこまで技術が進んでいませんが、最終的に人による判断が必要ない検査ラインの実現を目指しています。

成果

学習AIの導入により従来のシステムでは難しかった、未知の不具合を逃さず検知できるようになりました。それまで使用していた画像検査システムは、ルール化しきれない不具合を検出できないという問題がありました。導入したAIでは、違和感を数値化して表現できるため、従来では検知できなかったような小さな不具合も逃さず検知できるようになったのです。

また、現行システムでは、新製品が出てくるたびに再度設定が必要となり、時間と労力がかかっていました。AIは、不良品として検知すべき要素を学習できるため、このような手間がかかりません。製品の特徴を把握できるわずかな画像を用意し、AIへ学習させれば、そのうえでAIが判断を行えるのです。

このように、同社はAIソリューションを導入し、以前からくすぶっていた課題を解決する足がかりを得ました。すでに、原稿の画像検査システムとほぼ同等の精度は実現しており、あとは新製品への実証を進めていくだけとのことです。

まとめ

画像解析AIを製造業へ導入すれば、検品作業のコスト削減や生産性、安全性の向上といったメリットを得られます。多くの製造企業が抱えていた、さまざまな課題を解決する足がかりも得られるでしょう。

IT化を推進する製造企業は増えています。他社に後れをとらぬよう、この機会に導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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