マンモグラフィ検診におけるポジショニングの重要性と自動化について

 2020.07.08  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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乳がん検診の一つにマンモグラフィ検診があります。しかし、この検査は乳房を直接機械ではさんで締め上げるセンシティブなもので、正確なポジショニングが難しく激痛を伴うことも少なくありません。この記事ではこれらの問題の解決策として期待される最新式マンモグラフィのメリットや最新機器を支えるAI技術について解説します。

マンモグラフィ検診におけるポジショニングの重要性と自動化について

マンモグラフィ検診に不可欠なポジショニング

乳がんの早期発見を目的に行われるマンモグラフィ検診では、検査技師による「ポジショニング」が非常に重要です。乳がんは乳腺に発生する疾患ですから、乳腺組織全体が撮影範囲に入っていることが大前提です。また、乳腺の中の構造を確認する検査である以上、乳腺がしっかりと広げられ分離して撮影されているかどうか確認しなければなりません。しかし、乳腺全体を均一に広げるには、ある程度の圧をかけ乳房を圧迫する必要があります。この圧の調整がマンモグラフィ検診でもっとも難しい部分です。

乳房を圧迫する圧が強すぎると、受診者が強い痛みを感じる結果となり検査がスムーズに進みません。しかし、反対に圧が弱すぎると乳腺が十分に広げられず見落としの原因となり、肝心の検査精度に影響が出てしまいます。定期的な検診を促すためには検査の精度を保った上で、受診者の負担軽減に務めることが求められています。

自動でポジショニングしてくれるマンモグラフィのメリット

マンモグラフィ実施において、受診者の苦痛を極力少なくすることと、検査精度を低下させないことの両方に配慮したポジショニングを実現するためには、熟練したスキルが必要になります。しかし、医療の本来の理念としては検査技師のスキルによって検査精度が左右される状況は望ましくないといえます。

この問題を解決する方法として注目されているのが、自動ポジショニング機能を搭載したデジタル式マンモグラフィの導入です。ここからはデジタル式マンモグラフィを導入するメリットについて解説します。

正確な診断に貢献

自動ポジショニング機能を搭載したマンモグラフィの利点の一つは、検査技師個人のスキルに左右されることなく、より正確な診断を期待できる点にあります。

この自動ポジショニング機能を搭載して3D画像の撮影を行う新型マンモグラフィを導入している医療機関もあります。

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この3Dマンモグラフィでは撮影装置自体が移動して複数の角度から自動で撮影し、収集した画像データを再構成して重なりを修正するしくみになっています。これにより、病変を従来の方法より正確に判定することが可能になりました。

この3Dマンモグラフィでは、石灰化部分やしこりなどの病変に関して、良性か悪性かなどの見極めをより正確に行えるようになっています。特に、乳腺組織が厚いため従来の撮影方法や超音波検査では判定が難しかった若年層には3Dマンモグラフィを使った検診が有効であると考えられています。

他にも、検診で要精密検査となった場合や、乳がんの再発が心配な場合は、このような最新式のマンモグラフィで再度チェックしてみることも一つの方法です。

安心して受診できる

最新式のマンモグラフィは、検査を控えて緊張している受診者に配慮した機能も備えています。乳房の大きさや形、乳腺の数などには個人差がありますが、自動ポジショニング機能を搭載したマンモグラフィでは、個々の乳房に応じて最適な圧迫圧や乳房に圧をかけるスピードを調整する機能があり、受診者に合わせたきめ細かい対応を可能にしています。さらに圧迫板にしなりがある新素材を採用して、圧迫時の痛みや不快感を低減する試みも取り入れられています。

また、受診者にリラックスしてもらえるように曲線で構成され柔らかい印象を与えるように装置のデザインも工夫されています。受診の大きなハードルになる痛みや恐怖を和らげることで、より正確な検査ができることを目指しています。

スピーディーな操作が可能で診察時間の短縮に

自動ポジショニング機能や自動撮影機能などによって効率的に検査を進められるので、検査に要する時間を短縮することができるのも最新機器の特徴です。

最適なポジショニングを設定し、多方向から撮影を行えるため、技師が都度調整しながら何度も撮影する必要がなく、スピーディーに検査が行えます。

乳房を強く圧迫されている時間が1秒でも短ければ、その分だけ受診者の苦痛を軽減することになりますし、短時間で終われば受診者も痛みを我慢しやすくなり、受診者の申し出で検査が中断されることも減ると考えられます。検査する側としても、同じ時間でこなせる検査数が増えれば人件費の節約にもつながります。

マンモグラフィのAI活用への期待

AI技術はさまざまな分野で活用が始まっており、急速にその存在感を増していますが、医療現場もその例外ではありません。マンモグラフィ検査においても、画像診断をより正確に行うことを目的としたAIの技術開発が進められています。

画像診断だけみればすでにAIの鑑別能力は専門医を上回る精度にまで進化しています。

英国の企業などが開発したAIによる画像診断では、約2万8000人の女性の画像データを使って比較評価を行ったところ、病気ではないのに陽性となる偽陽性、病気であるのに陰性となる偽陰性が有意に減少しているとの結果が得られています。

つまり、専門医の判定に加えてAIの診断によるダブルチェック、トリプルチェックを行うことで、検出が難しいタイプの乳がんの早期発見率を大幅に改善できる可能性があります。また、AIを用いることで効率的で精度の高い検査を短期間で行えるようになり、検査結果を待つ受診者のストレス軽減に役立つという点でも注目されています。日本でもAIを組み込んだ最新型機器によるマンモグラフィ検査が標準的な手法として広く普及するのはそう遠くない未来かもしれません。

まとめ

乳がんを早期発見するための検診では、最新式マンモグラフィやAI技術を専門家の目視や触診と合わせて活用することで、受診者の負担を減らしつつ、より正確な検査を行うことができるようになりました。受診者側の快適さ、安心感と正確性を高次元で両立させるために、医療現場でもIT活用によるブレークスルーが期待されています。

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