国内のEC化率から考えるECの重要性

 2020.04.14  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

EC(Electronic Commerce)には、ネット通販に代表されるBtoC-ECもあれば、実は市場規模がその20倍近くあるBtoB-ECという巨大市場も存在しています。そこで、小売業の経営陣に向けて、経済産業省の調査結果を中心に、年々進むEC化の重要性と今後について解説します。

国内のEC化率から考えるECの重要性

EC化率とは何?

はじめに、EC化率の定義を確認しておきましょう。EC化率とは、あらゆる形態による商取引の金額・市場規模のうち、ECが占める割合を指します。ECを除く商取引の形態としては、電話やFAX、Eメール、対面販売などが含まれます。

ECには、広義と狭義の意味があるので、こちらも整理しておきましょう。広義のECとは、コンピュータネットワークシステムを介し、金額を定めた商取引(受発注)が行われる様態を指します。ここでのコンピュータネットワークシステムとは、インターネットだけではなく、EDIと呼ばれる専用回線も含まれています。EDIは、BtoBにおける受注・発注、出荷・納品、請求・支払といった取引を自動化するものです。

それに対して狭義のECは、インターネット技術を用いたコンピュータネットワークシステムを介して、商取引が行われる様態を指します。身近な例では、ネット通販がそれに当たります。

日本国内のEC化率と市場規模

経済産業省は2019年5月16日、2018年の国内におけるEC市場と、EC化率に関する調査結果を発表しました。それによると、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は、前年比8.96%増となる17兆9,845億円、BtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模は、前年比8.10%増の344兆2,300億円と、それぞれ拡大しました。

EC化率は、BtoC-ECで前年比0.43ポイント増の6.22%、BtoB-ECで前年比0.8ポイント増の30.2%と増加傾向にありました。BtoC-ECにはまだまだ伸び代があることがわかります。また、BtoB-ECについてもEC化率は30.2%にとどまっており、どちらの市場も引き続きEC化のトレンドが継続していくと考えられます。

参照元:経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

日本国内のBtoC-ECの市場規模・分野別

BtoC-ECの市場規模やEC化率を分野別にみていきます。経産省の報告書では、ネット通販に代表される「物販系」、チケット販売や旅行サービスなどを含む「サービス系」、電子書籍、有料音楽配信、オンラインゲームなどを含む「デジタル系」と、3つの分野に分けられています。これらの分野別の市場規模は、物販系が前年比8.12%増の9兆2,992億円、サービス系が前年比11.59%増の6兆6,471億円、デジタル系が前年比4.46%増の2兆382億円となりました。EC化率は物販のみ報告されていて、6.22%と2017年より0.43%増加しました。これらの分野は成長市場といってよいでしょう。

物販系におけるBtoC-ECのカテゴリー別市場規模は、大きい順に「衣類・服装雑貨等」、「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」、「生活雑貨、家具、インテリア」、「書籍、映像・音楽ソフト」でした。これらのカテゴリーはすべて1兆円以上の市場を形成し、合計すると物販系分野の市場規模の85%を占めています。

「衣類・服装雑貨等」の分類では、採寸アプリやコーディネートアプリがEC利用のハードルを下げているようです。また、実店舗とECという二つの販路を連携しながら顧客情報を蓄積し、マーケティングに生かしている点も市場規模が拡大した理由のひとつです。

一方、EC化率は高い順に「事務用品・文房具(40.79%)」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等(32.28%)」、「書籍、映像・音楽ソフト(30.80%)」、「生活雑貨、家具、インテリア(22.51%)」という結果でした。

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サービス系分野で最もBtoC-ECの市場規模が大きいのは、「旅行サービス」です。その市場規模は前年比10.27%増の3兆7,186億円でした。次いで「金融サービス(7.9%減)」、「チケット販売(6.34%増)」、「飲食サービス(41.61%増)」、「理美容サービス(17.67%)」が続きます。サービス系分野の中で、伸び率が最も高かったのは飲食サービスでした。これは飲食店のネット予約が可能な店舗数が急増したためです。理美容サービスのBtoC-ECは、ヘアサロン、ネイルサロンなどのネット予約のことで、このカテゴリーも近年市場が拡大しています。2018年における伸び率は、17.67%と高水準でした。

デジタル系分野で最もBtoC-ECの市場規模が大きいのは、「オンラインゲーム(3.0%増)」で、その額は1兆4,494億円となっています。次いで「電子出版(7.57%増)」が2,783億円、「有料動画配信(12.0%増)」が1,477億円、「有料音楽配信(12.51%増)」が645億円となりました。オンラインゲームの伸び率は低いものの、市場自体はデジタル系分野の7割を占めています。

(参照元:経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」)

日本国内のBtoB-ECの市場規模・分野別

BtoB-ECの市場規模やEC化率についてもみていきましょう。2018年のBtoB-EC市場規模は、前年比8.10%増の344兆2,300億円でした。カテゴリーの「その他」を除いたEC化率は、前年から0.8ポイント増の30.2%でした。経産省の推計によると、2018年に市場規模が拡大した業種は、上から「産業関連機器・精密機器(11.0%増)」、「建設・不動産業(10.4%増)」、「卸売(10.5%増)」、「鉄・非鉄金属(8.9%増)」でした。

「卸売」の市場拡大は、単純な売り上げ拡大が一因とみられています。

その一方で、総合スーパーやスーパーマーケットを中心に、取引を自動化する専用回線であるEDIの標準化が進んだことも市場拡大に貢献しました。EDIの規格は業界ごとに異なりますが、流通業界においては、流通BMSに代表されるEDIの標準化が進みました。

このEDIの標準化は、「卸売」の市場のみならず、製造業における「鉄・非鉄金属業」や「輸送用機械」といったカテゴリーのEC化率の伸びにも影響しています。

(参照元:経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」)

日本国内におけるCtoCの市場規模

近年、シェアリングエコノミーという言葉をよく耳にするようになりました。インターネット上のプラットフォームにおいて、場所や乗り物、モノや人などを個人間で貸借したり、売買・交換したりする様態を指す言葉です。この分野の成長は目覚しく、GDP(国内総生産)に反映されていないシェアリングエコノミーによる経済規模の一部を、将来的にどう算入するか、内閣府が検討しているほどです。

シェアリングエコノミーの代表格が、モノのシェアであるネットオークションやフリマアプリです。「メルカリ」や「ヤフオク」は、今や誰もが一度は聞いたり使ったりしたことのあるECサービスでしょう。これらCtoC-EC(個人間取引)の市場は年々拡大しています。経産省の調査によると、2018年におけるフリマアプリの市場規模は、推定6,392億円となりました。日本初のフリマアプリは、2012年に登場した「フリル(現ラクマ)」といわれていますから、わずか6年の間にフリマアプリ市場が急成長したことがわかります。要因としては、スマートフォンの普及や、循環型社会の形成に向けた「無駄の排除」といった時代の潮流が挙げられます。また、こうした二次流通は、商材によってはBtoC-ECに影響を及ぼす可能性があります。

一方で、2018年におけるネットオークションの市場規模は、推定1兆133億円でした。ただし、ネットオークションでの取引は個人間に止まるものではなく、実際にはBtoB、BtoCの取引も行われています。経産省が推計した市場規模は、これらを含んだ値となっているため、注意が必要です。中国や米国といった海外においても、こうしたCtoC-ECの市場は拡大傾向にあり、成長分野であることがわかります。

参照元:

経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

総務省「平成29年 通信利用動向調査報告書(世帯編)

スマートフォンの市場規模と今後

BtoC-ECの物販分野では、スマートフォンを経由した購入が年々増え続けています。2018年におけるその市場規模は、前年比21.5%増の3兆6,552億円でした。この額は、物販のBtoC-ECの市場規模である9兆2,992億円の39.3%に相当します。

総務省の「平成29年 通信利用動向調査報告書(世帯編)」によると、スマートフォンの利用方法として、「ネットショッピングのため、パソコンの代わり」が4位に登場しました。また、インターネットの利用者が端末として使用している機器の種類をみると、最も高かったのは「モバイル端末(携帯電話・PHS、タブレット型端末及びスマートフォン)」で90.2%、次いで「PC(67.5%)」、「ゲーム機・テレビ等(18.5%)」となっています。こうした状況から、現在ではスマートフォンで情報を収集したり、消費活動をしたりすることが一般的になってきたといえます。

このようにスマートフォン経由の市場拡大を象徴するファクターがGoogleの「モバイルファーストインデックス」です。これはGoogleが2020年の9月に開始すると発表した新しいwebサイトの評価方針です。これまでGoogleの検索エンジンは、パソコンサイトの内容をもとにコンテンツの質を評価し、検索結果に反映させてきました。それがモバイルファーストインデックスでは、モバイルサイトの評価をもとに行われます。

Googleの発表によると、検索結果に表示されるサイトの大部分はモバイルファーストインデックスに対応できているとのことです。また、検索結果の70%はすでにモバイルファーストインデックスへ移行済みのwebサイトとなっています。Googleの方針は、EC事業者のみならず、あらゆる業種の事業者にとって決して無視できないものです。スマートフォンへの対応は急務といえるでしょう。

参照元:Google「Announcing mobile first indexing for the whole web」

ECの重要性は今後も拡大していく

これまで解説してきた動向からEC市場は今後も拡大していくでしょう。中国において拡大した、インフルエンサーがライブ配信動画で商品を紹介・販売する「ライブコマース」は、5Gの登場により日本国内でも市場が拡大するかもしれません。ECの根幹ともいえる物流や顧客対応、アフターサービスなどさまざまな領域で人工知能(AI)の活用が進み、ECはより便利なサービスに改善されつつあります。ECは消費者だけでなく小売業を含む多く業界の事業者にとって、ますます重要なものになると予想されます。

まとめ

重要性が増すECに対して、どのように取り組むかは、事業者の業種や業態によって異なるでしょう。まずはこの記事で登場したキーワードのうち、自社の事業に親和性のあるものをさらにリサーチして、生かしてみましょう。同業他社におけるECの動向と比較する取り組みも大切です。

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