インダストリー4.0とは?製造業の未来を担う第四次産業革命

 2020.01.06  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

インダストリー4.0とは「第四次産業革命」とも呼ばれる製造業のデジタル化を目指すドイツの国家プロジェクトです。インダストリー4.0の意味や原則、主な取り組みの理解を深め、製造業にどのような影響をもたらすのかを知ることは、今後の製造業の方針を考える上で大いに役立ちます。本稿ではインダストリー4.0について、その基本から実現できること、日本の状況などをご紹介します。

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インダストリー4.0とは

「インダストリー4.0」とは「第四次産業革命」を指し、ドイツにおいて政府や産業界が主導して推進する製造業の国家戦略プロジェクトです。製造業におけるコンピュータの活用に重点を置いており、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったIT技術を積極的に取り入れて、製造業を改革することを目指しています。

インダストリー4.0には4つの設計原則があります。1つ目は「相互運用性」(Interoperability)で、機械やデバイス、センサーと人間を相互に接続し、通信を行うことです。2つ目の「情報の透明性」(Information Transparency)は、基本データによって実世界の仮想モデルを作成し情報を解釈可能にすることを指します。3つ目の「技術的アシスト」(Technical Assistance)とは、人間にとって危険または困難な課題を支援することです。4つ目の「分散的意志決定」(Decentralized Decision-making)は、観測データをサイバー空間で定量的に分析し、意思決定を自律化させることを意味します。

インダストリー4.0とは、このような具体的な原則にもとづいて推進されている製造業の大きな方針なのです。

インダストリー4.0のコンセプトは「スマートファクトリー(考える工場)」

インダストリー4.0の中でも、中心的なコンセプトとして「スマートファクトリー」、つまり「考える工場」が挙げられます。スマートファクトリーとは、機械や人間、その他のあらゆる企業資源が相互に接続して通信し、生産プロセスをより効率化・高品質化させるための概念です。

工場では設備・デバイス・人間などのあらゆる要素が複雑に絡み合って機能していますが、スマートファクトリー化された工場では、そういったデータを的確に把握して最適なオペレーションを実行できるようになります。例えば、機械やセンサーが機能すれば工場の稼働状況の見える化が可能です。さらに発展させれば各製品の製造日時や納品場所といった情報にもとづいて、人間からの指示を逐一受けなくても機械が自律的に判断できるようになります。

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こうした革新によって、製造プロセスが効率化・高速化するだけでなく、より深い分析や複雑なオーダーへの対応も可能になります。サプライチェーンやビジネスモデルの在り方を大きく変えることになると期待されているのです。特に、従来型の同一製品(少品種)大量生産という方法から、多品種少量生産や、高付加価値製品の生産が見込まれており、大量生産の仕組みを土台とした上でオーダーメード生産を行う「マス・カスタマイゼーション」の実現が期待されています。

インダストリー4.0とIoTの違いは?

インダストリー4.0とIoTとは、混同されやすい用語ですが、意味は異なります。まず後者のIoTとは製品・部品・デバイス・設備といったモノがインターネットに接続される仕組みです。一方、インダストリー4.0は、モノがインターネットに接続していることはもちろん、モノとモノ同士が結び付く機能や、あるいはモノの集合体である業務プロセスが相互に連携しながら生産を実施する仕組みを含んでいます。

こういった高度かつ複雑な相互連携によって、生産オペレーションを最適化したり効率化したりして生産プロセスを進化させようとするのが、インダストリー4.0の革新的な点です。

インダストリー4.0によって実現すること

インダストリー4.0の発展が進めば、製造業においてより高度かつ複雑なモノ作りが可能になり、従来の生産モデルを大きく転換することが期待されます。サプライチェーンマネジメントや、需要予測においてもよりダイナミックな戦略策定が可能になるでしょう。

工場の完全自動化

工場においてIoT化がますます進み、製品・部品・業務プロセス・設備・人などあらゆるモノがインターネットに接続することで、工場の完全自動化に近づいていく可能性が高まります。インダストリー4.0によって工場のスマート化が実現すれば、遠隔操作によって生産現場以外の場所からでも稼働状況を把握したり、指示を出したりできるようになるのです。現場に何人ものスタッフを常駐させる必要はありません。生産ラインで人が作業するのは、点検時や故障、トラブルがあった場合のみで、日常的な生産工程では人を必要としなくなる可能性は十分に考えられます。

また、そもそも遠隔での指示も不要になる可能性も高いでしょう。意思決定の分散化が進めば、生産設備自体が「何を、どれだけ、いつ生産すればよいのか」を判断し、そのために必要な稼働を自ら計算して実行できるようになるのです。こういった革新が進めば、近い将来に完全自動化の実現が期待できます。

データによって管理される

製造プロセスのデータ化が進んでいくことが見込まれます。従来、大手メーカーを中心に現場のデータ化を目指して、設備の状態や生産ラインなどのデータは積極的に収集・分析に使用されてきました。しかし、データ収集や分析には独自のシステム構築が必要なことも多く、資金力に乏しい中小製造業者は、熟練者の経験や勘に頼ることがあったのも事実です。大企業であっても、技術的な障壁があるために、データ収集や活用に課題を抱えているケースもありました。

インダストリー4.0がさらに発展すれば、技術力もコスト削減効果も十分に発揮され、従来は難しかった工場全体のデータ収集や、データの有効活用が企業規模を問わずに実現できる可能性があります。データ化が進むと、工場の最適なオペレーションや故障予知、品質の安定化など、期待できる効果は計り知れません。工場の自動化促進や生産性アップも叶うでしょう。

雇用などの課題も

インダストリー4.0の進展によって、さまざまなプラスの効果が期待されている一方、いくつかの課題も生まれています。その1つが、生産工程の効率化や自動化による雇用消失や失業率の増加です。スマートファクトリーでは従来は人が判断していた作業を機械が意思決定できるようになり、生産ラインでも大きな省力化が見込めます。

また、ビッグデータの収集は可能になりますが、業務改善や生産プロセスの最適化につながるかは別問題です。有効活用するには、データを使う目的や使いこなせる知識を身につけなければなりません。製造業は、今以上に頭脳を駆使する場面が増えるでしょう。

日本におけるインダストリー4.0

日本は、ドイツやアメリカなど世界の国々よりもやや出遅れましたが、2015年~2017年あたりから徐々にインダストリー4.0が普及してきました。ドイツでは政府と産業界が一体となって国家プロジェクトとして推進している一方、日本は企業が主体となって個別に取り組んでいるという違いがあります。

世界でのインダストリー4.0の動きを受けて、日本の製造業にも影響がないわけではありません。政府の「未来投資戦略2018概要」には、「Society 5.0」という名称でデジタル化への方針が打ち出されています。また、製造業界でも日本の大手メーカーがアメリカのIT企業と新会社を共同設立し、AIやIoT、クラウドといった技術を活用して新しいサービスを生み出そうとする取り組み事例もあるのです。

まとめ

インダストリー4.0は、製造業界にAIやIoTといったデジタル技術を取り入れ、製造業のサプライチェーンやビジネスモデルを根底から変える可能性があります。スマートファクトリー化による工場の自動化や生産性の向上など、さまざまな革新が期待できる取り組みのため、今後の動きを注視する必要がありそうです。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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