コト売り”時代に乗り遅れないための製品IoT導入のポイント

 2021.04.23  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

多くの製造業が、IoTを活用したビジネスモデルの創出に取り組んでいます。顧客体験を高めるためには、従来から行われてきたモノの消費ではなく、コトの消費を意識することが不可欠です。そこで本記事では、製品IoTに求められるコト売りの概要と、製品IoTをサービスに導入する際のポイントについて詳しく解説していきます。

コト売り”時代に乗り遅れないための製品IoT導入のポイント

モノ売りからコト売りへの変遷

技術革新や消費者の価値観の多様化により、製造業が今まで行ってきたように、単に「モノ」を作るだけでは消費者ニーズに対応しきれなくなっています。市場が成熟した日本のような先進国において、ユーザーの求める価値はいまや、モノそのものではなく、心の豊かさにあると言われ、モノから得られる「体験(コト)」を重視する消費傾向が強まっています。

たとえば、動画や音楽配信サービスなどのサブスクリプション形式のサービス需要の増加や、SNSの「いいね!」に見られる、体験の共有を求める傾向にもそれは表れていると言えるでしょう。しかし、モノ売りからコト売りに移行するためにはどのような取り組みが必要になるのでしょうか。

製品IoTの導入がコト売りに繋がる

モノ売りからコト売りに繋げるためには、製品IoTを導入することが近道です。
というのも、コト売りの方法としては、製造したモノの「商品価値を高める」ことや「カスタマージャーニーに合わせた商品価値の提供」が求められます。カスタマージャーニーとは、商品の認知から購入、利用に至るまでの一連の顧客体験の流れのことです。つまり、カスタマージャーニーに合わせたサービスを提供するには、単にモノを売って終わりではなく、モノを通して継続的に顧客と接点を持ち続ける営業戦略が必要になるのです。そしてここで大きな役割を果たすのが、「モノのインターネット」を意味するIoT技術の導入です。

IoTの導入事例としては、たとえば冷蔵庫にAI技術を搭載したIoTを搭載することで、クラウドサービスを通して冷蔵庫内の食材からおすすめのレシピを提供するといった事例が挙げられます。このようなサービスは、冷蔵庫(モノ)に関連した料理という体験(コト)の質を高めることにつながります。

このように、IoTをうまく導入することで、柔軟なサービスの提供が可能になり、製品に大きな付加価値を与えることが可能です。つまり、IoTの導入がコト売りの推進に繋がるのです。

製品IoT導入のポイントとは

製品IoTを導入するには、どのような取り組みが必要になるのでしょうか。以下では製品IoTを導入するために必要なポイントについて解説していきます。

DX戦略に基づいたシステム構築

IoTを導入するには、DX戦略に基づいたシステム構築が重要になります。経済産業省による2018年の「DXレポート」によれば、日本においては多くの経営者がDXの必要性を理解しているものの、それに必要なシステム環境が整っていない現状が指摘されています。

(参照元:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf)

日本企業の既存システムは短期的な視点の下で構築されていて、部門ごとに情報システムの分断(サイロ化)が生じていたり、幾度にも渡るカスタマイズによってシステムが複雑になりすぎてブラックボックス化していたりする事例が多くあるのです。こうしたシステムは「レガシーシステム」と呼ばれることもあります。

レガシーシステムはIT担当者の負担を重くし、また、互換性などの問題から最新のIT技術の導入において足枷になる可能性もあります。経産省は先のレポートにおいて、こうしたレガシーシステムの放置は、企業を現在のサイバー競争における敗者とし、システムトラブルやシステムの保守運用の高コスト化を呼び込む「技術的負債」となるリスクを指摘しています。つまり、製品IoTを導入して既存の経営戦略を大きく変えるためには、企業はDXを行う上でのビジョンを明確化し、必要なシステム投資を検討することから始める必要があります。

DX人材獲得

システム構築やIoT技術の導入にあたっては、当然ながらそれを担うDX人材(IT人材)の獲得が不可欠です。ここでいうDX人材とは、システムを直接的に保守管理するエンジニアだけを意味するのではありません。ビジネス戦略や、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上におけるDXの必要性を理解し、DXを自社サービスに積極的に活用するためのアイデアやスキルを持った人材を指します。DX人材の例としては、プロデューサー、ビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト、AIエンジニア、UX・UIデザイナー、エンジニア、プログラマーなど、多種多様な職種が挙げられます。

従来、多くの日本企業においては、IT関連の業務を外部企業に完全に委託することが多かったため、企業内のDX人材の獲得・育成が滞りがちでした。しかしDXやIoTをどのように自社の業務やサービスに活かすかには、企業内からの視点が欠かせません。今後労働者不足がさらに深刻化し、さらにDXの重要性が増していく中、企業間におけるDX人材の採用競争は激化していくことが予想されます。こうした状況を長期的に見すえて、早急に自社内のDX人材の充実を図っていくことが大切です。

データ管理基盤の整備

IoTを活用するには、データ管理基盤の整備が重要です。
すでにご説明したように、製品にIoTを導入する大きなメリットの1つは、カスタマージャーニーに沿った継続的なサービス提供が可能なことです。そのためには、顧客の保有するIoT製品から収集したデータを、どのようにサービスに活かしていくかが問われます。

つまり、IoTを導入する際には、企業とユーザーをつなぐクラウド型のIoTプラットフォームを構築し、そこでどのようなデータを収集し、保管していくか、データガバナンスの整備が必須となるのです。
もちろん、データは保管しているだけでは意味がありません。IoT製品から収集した膨大なデータ(ビッグデータ)を活用するためには、そのデータに効率的にアクセスしたり、解析したりするためのアプリケーションツールの活用なども重要になってくるでしょう。

まとめ

本記事では現代の製造業において求められる「コト売り」の重要性と、それを可能にするIoT技術の活用において、必要となるポイントについて解説しました。製造業のコト売りを実現するためには、自社の製品をAIやIoTを活用してどのように最適化できるか、システムの構築も含めて全社戦略を基に検討することが重要です。


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