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5Gやコロナの影響は? IoTの市場規模と今後の動向を解説

近年、普及が広まっている「IoT」。IoTの導入を検討するうえで、今後IoT市場がどのように発展していくのか気になる方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、今後IoTの今後の成長率について、5Gや新型コロナウイルスの影響も考慮しながら解説します。

5Gやコロナの影響は? IoTの市場規模と今後の動向を解説

IoTの市場規模

IoTとは、「Internet of Things」の略称で、「モノのインターネット」という意味です。インターネットといえば、パソコンやスマートフォンなどの電子機器から利用するイメージがあるでしょう。むしろインターネットとつながっていなければ、十分に機能しないといっても過言ではありません。しかしIoTでは、これらの媒体に加え、テレビやケトル、エアコンなど、さまざまなモノとインターネットをつなぐのです。これにより、機器の遠隔での操作や、状況確認・監視など、利便性の向上が期待できます。企業でIoTを導入する例としては、作業員の健康状態を監視するリストバンドや工場の稼働具合を監視するセンサーなどが挙げられます。近年では、業務効率向上のため大企業を中心に積極的に取り入れられるようになりました。

ここからは、政府が発表する「情報通信白書」などをもとに、IoT市場について、現状と今後の発展予測を解説します。

IoT市場の現状

IoT市場のなかで、とくに進展を見せているのが移動通信システム、つまりスマートフォンです。IT技術の進展とともに、主に中国において拡大しています。2015年時点では、SonyやFujitsu、Sharpなど日本の企業がトップシェアにランクインしていましたが、現在では、韓国のSamsungや中国のHuawaiか高いシェアを誇っています。

またIoTデバイスは、通信業界はもちろん、産業用途やコンシューマー向けのIoT機器も多く利用され始めています。2015年から2019年にかけて、その数は2倍以上となりました。センサーデータや遠隔監視カメラデータ、GPSデータなどのデータが企業活動に活用されています。

さらに、IoTの普及により、データ通信量が増加していることも見逃せないポイントです。2022年頃からは本格的に5Gが普及し始めることも予想されるので、さらなるデータ通信量の増加が見込まれます。

2019年の支出額

続いて、IoT市場における、2019年の支出額を見てみましょう。

IT専門調査会社の「IDC Japan 株式会社」の調査によると、国内IoT市場における2019年の支出額実績は、7兆258億円です。個人消費者を除く分野別に支出額を見てみると、組立製造、プロセス製造、官公庁などの分野において、IoTへの支出が多いこともわかります。とくに多いのは製造業での支出です。その理由としては、製造業の国内GDPを占める割合が大きいこと、さらに国策として製造業にIoTの導入を促していることが挙げられます。

さらに、社会インフラにおける老朽化対策・交通システムにおける高度化施策の拡大など、IoTを活用できる場面が広がっていることも、支出額が増加している理由のひとつです。

国内企業はどのくらいIoTを導入しているのか?

「MM総研」の調査によると、2019年時点で、国内の23.5%の企業が何かしらのIoT技術を導入していることがわかっています。この調査では、IoT導入が進んでいる製造業において、大手企業と中小企業で差があることも述べられています。大手企業では、IoTを積極的に導入しているのに対し、中小企業ではまだ十分にIoTを活用できていないのが現実です。中小企業において、IoTのメリットが伝わっていないことが明らかになったと言えます。

また、IoTの導入を検討している企業は、13.4%を占めます。そのうちの30%が、2020年中に導入開始予定と回答しています。

では、すでにIoTを導入している企業は、導入によって得られるデータをどのようなことに活用しているのでしょうか。同調査によると、業務改善に利用と答えた企業がおよそ半数を占め、ほかには業務の可視化や自動化、新たな価値創出に活用していると回答しています。IoTという新しいツールを導入することにより、新たな視点で業務が捉えられるようになるでしょう。

予測される2024年のIoT市場規模

徐々にIoTを導入する企業は増加していますが、今後IoT市場はどうなるのでしょうか?

先に紹介した「IDC Japan 株式会社」の考察によると、2019年から2024年にかけて、IoT市場は年間平均で10.3%ずつ成長する見込みです。そして、2019年時点では7兆258億円だった支出額が、2024年には11兆4,697億円まで増加するとしています。つまり、IoT市場は、今後も順調に成長していくと思われます。

ちなみにIoT市場における支出額は、現時点では、製造業や官公庁が大きな割合を占めていますが、2024年には家電やオートメーションを利用したスマートホームが牽引し、製造業に次いで2番目に大きい市場となる見込みです。また、IoTが普及するとIoT向けのソフトウェアやサービスへの支出額も増加するとしています。

さらに、2024年にかけて農業・小売店舗・病院などでIoTの大きな成長が期待されています。ただしIoTを導入する際は、リアルタイムに膨大な量のデータを処理するので、組織内でデータの仕様を統一することが大切です。

5Gの到来による影響

先ほど少し述べた通り、5Gの到来によってデータ通信量は今後さらに増加する見込みです。この5GとIoTの関係について、もう少し詳しく見てみましょう。

そもそも5Gとは、「5th Generation」の略称で、第5世代移動通信システムのことです。日本では、2020年から順次サービスの導入が開始しています。5Gの到来によって、できるようになるのは、主に以下の3つと言われています。

  • 高速で大容量の通信が行える
  • 低遅延の通信が行える
  • 多数のデバイスを同時に接続できる

例えば、緊急性を要する山岳救助などでもドローンを使って常に山の状態を映像で送れたり、車両を10m間隔で制御しながら走行させたりすることが可能です。できることが増えるため、より幅広い産業・分野でIoTの実装が進み、業務効率化に大きく寄与することでしょう。

さらに、携帯電話事業者によるサービスとは別に、企業がニーズに合わせてローカル5Gを創設することも予想されます。「MM総研」によると、製造業を中心に、ローカル5Gの導入を検討している企業が40.4%いるそうです。主にサービス業のセキュリティや、建設業の設備保守などで活用される見込みです。

新型コロナウイルスによる影響

近年IoTの導入が進んでいる理由のひとつとして、新型コロナウイルスによる影響も考えられます。

新型コロナウイルスの世界的流行によって、生活様式の変化が求められています。多くの企業では、感染防止対策の一環として進めているのが、テレワーク導入です。緊急事態宣言が出た7都府県では約半数の53.3%、それ以外の地域でも24.3%もの企業がテレワークの推奨をしています。

また企業だけではなく、学校でも遠隔授業が取り入れられています。大学・高等専門学校において、67.7%が遠隔授業を実施するとしており、検討中とする学校が31.2%あります。つまり、98.9%もの学校が遠隔授業を導入もしくは検討しているのです。

これらの生活様式の変化によって、さまざまな組織が、離れた場所からでもつながるため、積極的にIoTを利用しています。近年大きく取り上げられたIoTのひとつに、電子契約システムがあります。これまで、契約は紙媒体にハンコを押すのが一般的でしたが、そのハンコを押すためだけに出社する「ハンコ出社」がよくない、と世間的に評価されたためです。そこで、すでに43.3%の企業が電子契約の導入を済ませており、27.5%の企業が導入を検討しています。

今後もこのように、IoTを活用することによって、よりスムーズにテレワークや遠隔授業を行うことが可能でしょう。

まとめ

IoT市場は、2019年の時点で7兆を超える市場規模を誇ります。近年急速に普及された理由としては、5Gの到来や新型コロナウイルスによる影響が挙げられます。今後もさらなる市場拡大が見込まれているため、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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