製造業IoT事例:久野金属の事例から探るIoTの力を借りて生産性を改善するヒント

 2019.12.28  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

製造業におけるIoT活用が加速しています。今回は、久野金属工業によるIoT事例をご紹介します。

久野金属工業は、愛知県の金属加工メーカーです。プレス加工技術に強みを持ちますが、さらなる生産性向上に向けてIoT化へ取り組み、成果を収めています。同社の課題や目標を解決したのがMicrosoft Azureの導入です。Azureによりコストを抑えながらも同社のニーズに合ったシステム構築に成功しました。

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久野金属工業と“高生産性”の壁

久野金属工業は、創業70年を超える愛知県の金属加工メーカーです。創業から蓄積してきた技術力に加えて、新しい工法・材料にも積極的に取り組み、高品質かつ最先端のモノづくりを支えています。

同社は「技の力と和の心で夢を実現する」という企業理念を掲げており、技術力を磨くと同時に会社・社員・地域との関係も大切にしながら、可能性を追求する姿勢を貫いています。そのほかにも「楽観的発想でテーマを決め、先憂後楽的開発を行え」という開発への姿勢、「技術的に高度な仕事を手掛け、社会において存在価値のある会社にする」という技術力によって社会貢献する在り方、「職場の環境的条件を整えると共に適切な評価を実施」といった社内人事のテーマ、そして「計画的に効率的な設備システムを構築」というモノづくりへの方針が、それぞれ社是として提唱されています。

同社の主力事業は金属加工で、特に高精度かつ複雑なプレス加工技術が強みです。事業においては、クライアントの製品開発段階から設計・製作・加工・組立・表面処理までワンストップで対応しています。金型部門では、最新設備を導入したり、内製化率を高めて品質管理・技術蓄積を行ったりすることで、独自の仕様で高機能な金型を実現しました。量産部門では、プレスメーカーと共同開発した設備や自社開発したロボットなどを用いながら、自動化・合理化を推進し、高品質かつ高効率の生産体制を構築しています。また、最新鋭の自動車づくりを支えるために、ICT技術(情報通信技術)や研究開発にも積極的な姿勢を見せています。

高度な製造業を支えるためには、生産性の向上が欠かせません。しかし、同社を含む製造業界には、生産性アップに取り組もうとしても高いハードルがあるのが実情です。例えば、生産ラインの問題として、設備の導入コストが挙げられます。最新鋭の設備を導入すれば効率化・合理化が実現する見込みは立つものの、投資するには数億円規模の予算が必要です。決断に踏み切るのは簡単ではありません。そのため、当面は既存の設備で生産能力を伸ばそうと試みますが、このような方法では効果に限界があるだけでなく、人員の残業増加にもつながってしまうのです。

加えて、人的リソースの不足という問題もあります。人手不足であれば生産ラインにおいて現行の人数で業務するしかなく、生産量が増えるにつれて人的工数も膨らみます。業務改善に取り組もうとしても、そもそも改善活動の担い手となる人手が足りません。日々の業務に追われていれば、抜本的な対策を取るのも困難です。

このように、同社は高生産性を達成したいというテーマを抱えながらも、コストや人手不足を背景とした課題と直面していました。

製造業におけるMixed Realityの活用

Microsoft Azureを選んだ理由

久野金属工業が高い生産性を実現するための手段として選択したのが「Microsoft Azure」です。これはMicrosoft社が提供するクラウドサービスで、多種多様な製品・ソリューションの中から、自社に合うものをカスタマイズしてアプリケーションを構築できるという特徴があります。久野金属工業が数あるサービスの中でAzureを選んだのは、機能性や拡張性、そしてコスト面を考慮した結果でした。

従来、同社はモニタリングシステムを導入していました。高生産性を実現するには、生産ラインの状況を可視化し、PDCAサイクルを回していくことで、最適な稼働計画につなげていかなければなりません。そのためには、生産ラインのデータ収集と分析が第一歩となり、モニタリング設備の構築が必要不可欠でした。

しかし、旧モニタリングシステムにはいくつか課題があったといいます。まず、稼働情報を出力できない装置もあるため、全ての装置を網羅的にモニタリングできるわけではありませんでした。そのうえ有線接続かつ単一の統制コンピューターのため、装置を増減する際に時間と工数がかかるほか、閲覧画面をカスタマイズできず利便性や柔軟性に乏しかったのです。ほかにも、リアルタイムの監視しかできずデータを蓄積できなかったため、複数のラインの比較や時系列での分析ができない点も指摘されていました。

これらの課題を解決するにはシステムの構築が必要ですが、そのためには費用や人的リソースが必要という別の問題も発生します。特に中小企業の場合、投資できる資金を用意したり、IT技術に精通した人材を確保したりするのは難しいケースも少なくありません。海外企業が日本展開するなどの動きも加速して競争環境が激化する中、会社として網羅性・利便性・柔軟性・分析性を兼ね備えたシステムを構築することは、生産性を高めるうえで不可欠です。

IoTやクラウドであれば、このような課題を解決することができます。IoT技術を活用すれば、公共のインターネットを介して製造現場内の設備をワイヤレスに連携できるため、新たに無線システムを開発・構築する必要がありません。また、データ蓄積や分析に関わる機能もクラウドによって提供されており、低コストかつスムーズにシステムを構築できます。AzureはPaaSによってニーズに合った機能を実現できるため、同社にとって理想的な条件が揃っていたのです。

1カ月で11%もの生産性向上を実現

久野金属工業は、Microsoft Azureを活用することによって利便性・柔軟性の獲得や、生産性の向上といった成果を実現しました。

Microsoft Azureには、データベースやIoTによりデータを収集・分析する機能が豊富に揃っています。さらに、データを可視化したり、機械学習によって精度を高めたりといった機能も備わっています。これにより、利便性や柔軟性が向上し、分析によってPDCAサイクルを迅速に回しやすくなりました。

また、網羅性についても成果を得られたといいます。IoTシステムの構築に際して、同社は「IoT Go」を導入しました。これはAzureのPaaSによって構築されているサービスで、データの集約・分析・可視化を助けます。特に重要なポイントは、旧式の装置であっても、エッジとAzureのクラウドによってIoT化が果たせるという仕組みです。

これらの取り組みによって、IoT導入以降、同社の生産能力は11%も向上しました。それだけでなく、従業員に強制しなくても自ら積極的にデータの差異を分析し、改善に向けたアプローチを取るように意識が変化したといいます。

IoT化を支えるための導入製品とサービス

Microsoft Azureには、IoT化を支えるためのさまざまなサービスが取り揃えられています。

IoTで活躍するのは「Azure IoT Hub」で、これは大量の設備や機材を接続する際に役立つ機能です。データの蓄積や分析に不可欠な「Azure SQL Database」や、データのスムーズな処理を支える「Azure Stream Analytics」、可視化に役立つ「Power BI」などもあり、これらは膨大なデータの蓄積・分析を可能とするため、業務改善の施策を検討する場面で活用できます。さらに「Azure Machine Learning」は、人工知能によって実験やモデル管理を可能にするプラットフォームで、生産現場の改善をサポートします。

Azureを導入すれば、これらの有益な機能を自社のニーズに合うよう組み合わせて使うことが可能です。

まとめ

久野金属工業は、生産性向上に向けてIoT化を推進し、利便性・柔軟性・分析性の獲得という成果を上げました。同社が導入したMicrosoft Azureは、豊富な製品・ソリューションを活用でき、安価で早期的なIoTシステム構築が可能です。導入する際は、今回のような事例も参考にしつつ、効果的な活用方法を検討するのが大切です。

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