製造業IoT事例:豊田織機のカイゼンを促進するIoT基盤

 2019.12.27  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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製造業におけるIoT活用が加速しています。今回は、豊田自動織機によるIoT事例をご紹介します。同社は、トップクラスのシェア率を誇る事業を複数抱えているグローバルメーカーです。カイゼンの一環として、アフターサービスを強化すべく、世界拠点でIoT技術を取り入れたシステム構築に取り組んでいます。

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豊田自動織機について

豊田自動織機は、売上高2兆円、従業員数6万人を超える、世界に275社の連結子会社を抱えるグローバルカンパニーです。トヨタグループの重要な1社として、自動車や織機といったビジネスによって市場で存在感を発揮し続けてきました。

同社の企業理念は、トヨタグループに共通する「豊田綱領」と呼ばれる5項目です。グループ創始者である豊田佐吉の考え方をもとに成文化されたもので、「上下一致、至誠業務に服し」といった仕事への姿勢や、「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」といったモノづくりへのこだわり、「質実剛健」や「温情友愛」といった精神的な在り方が記されています。そのほかには基本理念としての5項目や、豊田自動織機独自の価値観・行動・CSR方針なども定義されています。

事業は自動車・産業車両・繊維機械の3つの部門に分かれており、メーカーとして調達から製造、販売までを一貫して行います。自動車部門では、トヨタ自動車と連携しながら車両生産・エンジン製造・コンプレッサー・カーエレクトロニクスといった幅広い事業を展開。産業車両部門では、国内シェアトップの「トヨタL&F」というフォークリフトをはじめ、保管や搬送、清掃、冷暖房といった産業現場で使われる機器やシステムを提供しています。繊維機械部門では、紡機や織機の開発から生産・販売までを一貫して手がけており、主力製品であるエアジェット織機は世界シェアトップを誇ります。

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「カイゼン」を促進するIoT基盤の開発

豊田自動織機は、さらなる成長を目指すうえで、IoT基盤を構築する必要に迫られていました。

同社の主力ビジネスの一つは、フォークリフトの製造販売です。フォークリフトのようなライバル企業が多い製品は、クライアントと長期的な関係を構築しなければ、次の受注には結びつかない傾向があります。そのため、顧客の満足度向上や関係強化が受注への鍵となるのです。

同社がこれらを解決する手段として注目したのがアフターサービスです。売り切り型で完結させてしまうのではなく、クライアントの事業に合わせてアフターサービスを強化することによって、フォークリフトの稼働率を最大化しました。購入後も顧客と密接な関係を築き続けることで、売り上げの拡大を目指しているのです。

アフターサービス強化のためには、サービスを提供するための環境整備に取り組む必要がありました。同社はグローバル展開しており、拠点や代理店、顧客が世界中に存在します。サービスをスムーズに実現するには、業務上の数値目標をデータとして視覚化し、エリアごとの特性をサポートできるような体制が不可欠です。そのためには、グローバル展開に向けた大規模なシステムや、製品データを収集・管理できるようなIoT環境の構築が必要だったのです。さらに、業務管理の精度向上やペーパーレス化、工数削減といった効率化も重要な目的として掲げられました。

Microsoft Azureを選択した理由

豊田自動織機は、システムを構築するにあたって、「Microsoft Azure」というクラウドサービスを選択しました。Azureとは、豊富な製品やソリューション群の中から、組み合わせを自由にカスタマイズしてアプリケーションを構築できるサービスです。

Azureを選んだ理由の一つに、Microsoft社の信頼性とポテンシャルがあります。豊田自動織機は、グローバル展開していくうえで、包括的なサポートを受けられるという点は絶対条件だと捉えていました。データの収集や分析、適切な管理を行うために最新テクノロジーを活用する必要もあり、優れた技術力を持つIT企業であることも欠かせない条件だったのです。加えて、アフターサービス強化という意図を理解したうえで、業務プロセスに合ったシステム開発ができる構築力も必要になります。これらすべての条件を満たしたのが、同社の欧州拠点にてシステム導入の実績があったMicrosoft社のAzureでした。

もう一つの理由として、Azureで実現できる機能や特性が挙げられます。Azureはクラウドサービスであるため、世界中で稼働するフォークリフトの機台情報を収集して、一元管理するのに適しています。また、Microsoft社は「Azure IoT Edge」というIoTサービスも提供しており、クラウドとエッジ(機台)間でシステムの連携が取りやすいというメリットもありました。当初、豊田自動織機はアフターサービスの核として、機台の稼働状況を把握しながら故障発生前に適切なタイミングで点検・メンテナンスを行うことで、故障を未然に防ぐという施策を検討していました。しかし、上記したように世界中の機台情報を正確に把握するのは困難を極めます。そのため、クラウドですべて情報を管理できるAzureを活用したほうが効率的と判断し、導入に至ったのです。

加速する「カイゼン」へのチャレンジ

豊田自動織機はさらにIoT化を推進し、顧客へのサービス体制の強化につなげたいとしています。しかし、導入が始まったプロジェクトをいかに世界拠点に展開していくかというテーマも依然として残っています。

2018年2月には、インドでIoT化を実施し、一定の成果を収めました。従来では「フィールドサービステクニシャン」という技術スタッフが、業務指示を受ける際に紙や手作業で行っていたといいます。顧客に訪問するスケジュールもホワイトボードに直接書き込んでおり、資料の準備などもあるため手間がかかっていたそうです。それがモバイル機器で作業できるようになり、点検・修理・レポートなどにも活用され、大幅なペーパーレス化に成功。作業効率が格段に向上したのです。

2018年4月時点では、ベトナム・シンガポール・マレーシア・中南米、そして日本国内で展開する予定も計画しています。ただし、人手不足や高齢化といった事情で採用難の市場もあるため、人材確保には課題が残るのも事実です。そこで、IoT技術を取り入れたシステムを活用することでテクニシャンの負担を軽減し、魅力的な業務環境をつくり、人材確保にもつなげたいとしています。

豊田自動織機では今後、アフターサービスの強化に向けて故障の予知を実現し、顧客満足度を高めていくことが目標です。IoTによってフォークリフトのデータを収集・分析し、製品の設計・開発に役立てる展望も持っているため、ますますIoTの活躍の場が広がることが予想されます。

導入製品とサービス

Microsoft Azure製品には豊富な種類があり、業務のIoT化をはじめ、さまざまなメリットを享受できます。

例えば、クラウドとエッジ連携に使える「Azure IoT Edge」や、膨大な数に対応するための「Azure IoT Hub」、機械学習モデルを取り入れられる「Azure Machine Learning」などがあります。また、膨大なデータに対応できる「Azure Stream Analytics」によって、リアルタイムの処理サポートが可能です。これらを導入することで、システム設備が十分でない中小企業などでも、膨大なデータを蓄積してAIによる最適化を実現しながらIoT環境を構築できます。

そのほかにも充実した機能が備わっています。スケーラブルで安全なクラウドストレージの「Azure Data Lake Storage」や、クラウド内のデータベース管理サービス「Azure SQL Database」、データ可視化やコミュニケーションに役立つ「Power BI」などです。これらのツールは、業務改善を目指すうえで稼働データを分析し、効率化施策の立案をするのに役立ちます。

まとめ

豊田自動織機は今後、さらなる発展に向けて、幅広いシーンでIoTを活用していくことが予想されます。Microsoft Azureは、業務の効率化やデータ管理などに大きく貢献し、同社の施策を支えています。これからIoTを導入する場合、こうした事例を参考にしつつ、自社にとって効果的な活用方法を模索することが大切です。

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