自動車業界でのIoT活用のメリットと課題とは? 活用事例を紹介

 2020.11.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

自動車業界で昨今特に注目を集めているIoT。この記事では「IoTとは何か?」という基本から、IoT活用がもたらすメリットや、その活用が抱えている課題まで、解説しています。その上で、実際にどんな活用事例があるかも紹介します。

自動車業界でのIoT活用のメリットと課題とは? 活用事例を紹介

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IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略で、コンピューターなどの通信機器に限らず、身の回りにあるさまざまな「モノ」までも、インターネットを介して相互接続させる技術を指します。IoTが実現されると、モノの制御・監視・分析が可能です。例えば外出先から家電を操作したり、家の温度や湿度を手元の端末に表示したりすることもできます。またIoTとして多種多様なモノから集められるデータは、AIに分析させることによって、さらに具体的な用途へ役立てられるようになると期待されています。

IoT技術を活用することによるメリット

IoTの活用を検討しているさまざまな分野・企業がありますが、自動車業界も例外ではありません。それでは自動車にIoTを導入することによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、主な2つのメリットを紹介します。

自動運転の実現

自動車のIoT化で最も注目されているのは、自動運転の実現です。自動車にIoTを活用することにより、車内に設置したセンサーで現在地・走行データといった情報を収集し、クラウドへ送信します。次に、クラウドに送信されてきた情報を、AIが精密に分析。そして今度は、その分析データが自動車へ送信されます。自動車はそのデータに基づくことで、より現在の状況に最適化した、安全な自動運転を実行可能となるのです。

こうした自動運転のメリットは、ドライバーの負担軽減にとどまりません。ハンドルの操作ミスや居眠り運転といった事故を予防したり、渋滞を緩和したりすることもできるでしょう。また公共交通が乏しい地方において、高齢者が安心・安全に自動車を利用するためにも自動運転が役立つでしょう。

自動運転は、それほど遠くない未来に実現するかもしれません。日本では2020年4月から、高速道路などの一定条件下でシステムに運転を任せられるレベル3の自動運転が可能となっています。今後は、システムに完全に運転を任せられるレベル5の自動運転も行われるようになっていくでしょう。

企業は顧客とのエンゲージメント向上が期待できる

IoT化は、自動車を提供する企業にとって、顧客からのエンゲージメントを向上させるためにも役立ちます。顧客エンゲージメントとは、顧客と商品・サービスの提供元企業との間で形成される信頼関係を意味します。つまり顧客からのエンゲージメントが高いほど、自社の商品・サービスを、優先してチェックしてくれるようになるのです。

さて自動車会社では、IoTによって顧客それぞれの走行データを収集し、分析することによって、顧客一人ひとりに適したサービス提供が可能です。

例えば、自動車の状態を検知して、最適なタイミングでメンテナンスを提案します。または、走行データの集積から、「その顧客がいつどの道路を通るのか」を予測し、交通情報や天気についてリアルタイムでアラートを行います。

このように、よりパーソナライズされたサービスが、日常的に遂行可能となるのです。それにより個々の顧客から、高いエンゲージメントを持続的に引き出せると大いに期待されています。

またドライバーの走行データを、新車開発やマーケティングへ活用することも重要です。どんなドライバーが、どんな要素を、どんな状況で求めるのか。こうした情報を蓄積し、分析することで、より品質の高い製品やサービスを提供できるようになります。

IoT技術活用によって懸念される課題

自動車にIoTを活用することによって、自動運転の実現や顧客とのエンゲージメント強化といったメリットがあることを紹介しました。しかしそうしたIoTの活用には、まだまだ懸念される課題も残っています。言い換えれば、それらの課題を解決することが、自動車業界のIoT化へつながるのです。

以下、主に懸念されている課題を解説します。

セキュリティ問題

IoT化によりオンラインとなった自動車は、サイバー攻撃を被るリスクがあります。パソコンがウイルス感染やハッキングを受けたりするのと同様です。仮に自動車がサイバー攻撃を受ければ、突然ブレーキがかかるなどの誤動作を起こしたり、最悪の場合は攻撃者に運転を完全に制御されてしまったりすることもありえます。誰でも侵入可能な公共の駐車場などで、悪意のある第三者が自動車に不正な機器を取り付け、攻撃を試みることもあるかもしれません。
仮に走行中の自動車がサイバー攻撃を受けた場合、甚大な被害を及ぼす恐れもあります。重大な自動車事故へと派生し、人命が奪われてしまう可能性もあるからです。

また、サイバー攻撃による誤動作で事故が発生した場合、その責任がどこにあるのか把握することも、簡単ではありません。仮に犯人が、攻撃の痕跡をネットワークから消していたとすれば、「サイバー攻撃があった」という事実自体が認識されず、ドライバーの操作ミスや製品の故障などへ、責任が帰されてしまう可能性もあります。

IoT化された自動車も、見た目は一般的な自動車とかわりません。そのためドライバーは、セキュリティの必要性を認識しづらいかもしれません。しかし自動運転を安全・安心に使えるようにするためには、攻撃を受けないような強固なセキュリティシステムが必要となるのです。

インフラ整備

自動車のIoT化によって、何千・何万のドライバーの走行データをはじめ、道路事情や天候状態なども含めた膨大なデータが収集・利用されることになります。これら収集されるデータが多いほど、またその精度が高いほど、厳密な自動運転システムが実現可能になります。

その一方で、それを適切に管理・共有するための基地局・ネットワークといったインフラの整備も欠かせません。そしてインフラについてのセキュリティも、大きな課題です。さまざまな場所から、無数の自動車とつながるネットワーク内のどこかで、サイバー犯罪を許せば、個々の自動車事故よりもはるかに大規模な事故へつながる恐れもあるからです。こうした理由から、インフラ整備とそのセキュリティ対策は必須と言えるでしょう。

自動車におけるIoT活用事例

自動車はIoT化によって、さまざまな進化を遂げています。すでに多くの企業が、IoTを自動車に活用したサービスの開発を競い合っているのです。ここでは、その中でもいくつかの代表的な活用事例をピックアップして紹介します。

ウェアラブル端末との連携

自動車がIoT化されることによって、スマートウォッチなどのウェアラブル端末との連携も、着々と実行されてきています。海外では、ナビシステムによる道案内を、自動車とスマートウォッチで共有するといったこともすでに実現しています。スマートウォッチ上で目的地を設定すると、自動車で適切な場所までナビを行い、加えて、降車後の徒歩移動時にもそのナビが継続されるのです。

さらに自動車専用アプリをインストールしたウェアラブル端末なら、遠隔から車内のエアコン調節をしたり、ドアロック・解除したりも可能となっています。また自動車が盗難にあった際には、自動でオペレーターへ接続し、GPSによる位置情報の特定を行い、早期発見につなげるといった機能も実現されています。

このように、IoT化された自動車とウェアラブル端末の連携においては、すでにいろいろな活用事例があります。このウェアラブル端末とのリンクには、今後も新たな利用方法が次々と見いだされていくでしょう。

ロボットタクシーによる配車

DeNAとZMPは、共同で「ロボットタクシー」の共同開発を進めています。ロボットタクシーとは自動運転のタクシーで、携帯端末から呼び出して利用することが可能です。目的地を入力し、料金設定に同意すれば、指定場所に自動運転タクシーが到着する、というわけです。乗車時には搭載カメラによって乗客と認識され、ドアが開きます。そして乗車後は、目的地まで自動的に最短ルートで運んでくれます。

ロボットタクシーは、日本語の話せない訪日外国人観光客が簡単・安全に観光地を回れる交通手段になる可能性もあるでしょう。また公共の交通機関が乏しい地域にとっては、日常的な移動方法の1つになることも期待されます。

また海外では、自動運転による自動車の配車サービスも開始されています。現在は万が一に備えてドライバーも乗車しているものの、将来的には、ドライバーなしでのサービス提供も実現可能となるでしょう。

まとめ

IoT化は、自動運転の実現はもちろん、走行データなどを収集し顧客エンゲージメントの向上にも役立ちます。すでにIoT化の一端として、自動車とウェアラブル端末との連携機能や、ロボットタクシーの配車が、実現されてきています。自動車のIoT化は、セキュリティ対策などと並行しつつ、現実化へ着実に進んでいると言えるでしょう。

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