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リモートワーク推進の大敵?ハンコ文化の現状と電子化の方法とは

会社でせっかくリモートワークを導入したのに、紙の書類の整理や押印のためだけに出社しなければならない事態が発生しています。この記事ではリモートワークの推進を妨げるハンコ文化の現状や、ハンコ文化から脱却するのに有効な電子化の方法について解説しています。

リモートワーク推進の大敵?ハンコ文化の現状と電子化の方法とは

リモートワークの実施率が増加

企業におけるリモートワークの実施率は、年々緩やかに増加しています。総務省によれば、2012年に11.5%だった企業のリモートワーク導入率は2017年には13.9%に上がったとのことです。

またパーソナル総合研究所の調査によれば、新型コロナウイルスの影響によって、今年(2020年)3月半ばにおける正社員のリモートワーク実施率が全国平均13.2%だったところ、緊急事態宣言後は27.9%と2倍以上に上昇したとのことです。同調査では、東京都に限ると3月半ばのリモートワーク実施率が23.1%でしたが、緊急事態宣言後は49.1%にまで上がったとも報告しています。新型コロナウイルス感染予防のため、これまでにないスピードで、日本の企業においてリモートワーク化が進んだと言えそうです。

なおリモートワークには自宅で行う「在宅勤務」の他、営業周りをしている際の移動中に業務を行う「モバイルワーク」、普段の勤務先以外の場所(別支店のオフィスやサテライトオフィス・レンタルオフィス)で業務を行う「サテライトオフィス勤務」に分類されます。総務省の調査によれば、これらの内訳は在宅勤務が29.9%、モバイルワークが56.4%、サテライトオフィス勤務が12.1%だったとのことです。

リモートワーク実施中の大きな課題の一つが「ハンコ文化」

リモートワークを導入する企業が増えるなか、せっかくリモートワークを導入したにも関わらず出社しなければならないケースも発生しています。その原因はいくつかありますが、中でも大きな課題の1つとして注目されているのが、企業に根強く残る「ハンコ文化」です。仮にリモートワーク中で自宅にいたとしても、取引先とやり取りする書類の確認や整理・郵送作業、契約書や請求書へのハンコの押印作業だけのために、わざわざ出社しなくてはならないわけです。

さらに、ハンコ文化のせいで、上司のハンコがなかなかもらえず、上司の承認や決裁が通りにくくなっているという声も聞かれます。複数の上司・社員のハンコを必要とする書類の場合は、その中の1人でも作業が遅れて書類の回覧が止まってしまえば、承認や決裁が遅れるといった事態も起こりえます。

ハンコをもらうためだけに、大事な業務を後回しにして社員が職場内を奔走することもあります。自社のハンコ文化に嫌な記憶があって、ハンコ文化を煩わしく感じている方も多いのではないでしょうか。

脱ハンコの動きが加速?

せっかくリモートワークを導入しても、ハンコの押印のためだけに出社しないといけないケースが多いことから、脱ハンコの動きが活発化しています。安倍首相が押印の制度や慣行の見直しを指示したのをはじめ、最近では国としても脱ハンコの可能性を探る動きがみられるようになりました。

また、企業の脱ハンコも進んでいます。たとえばサントリーでは、2020年6月から原則ハンコを利用する業務を廃止するとのことです。サントリーでは新型コロナウイルス感染拡大予防のため在宅勤務をすすめているものの、契約書などの書類の押印作業のため出社しなければなりませんでした。しかし書類の電子化を進めることによって、ハンコの押印をしに出社しなくてよくなるといいます。

それ以外でも、他の業界に先駆けてIT関連の企業では脱ハンコの動きが目立ちます。たとえばGMOインターネットは、グループ内での印鑑手続きを完全に廃止する決定をしました。メルカリも、取引先に押印でなく電子署名を使った契約を依頼しているとのことです。さらにLINEは、書面の契約そのものを原則として廃止しました。

ハンコ文化を変える鍵となる?!電子サービス

それではハンコ文化から脱却し、リモートワークを推進するためにはどうすればよいでしょうか。そのカギとなるのが、電子印鑑・電子署名といったサービスです。これらを利用することによって、書類へハンコを押印する業務が不要となります。

以下、それぞれどのような特徴やメリット・デメリットがあるのか解説していきます。

電子印鑑

「電子印鑑」とは文字通り、PC上で使える電子的な印鑑を指します。電子印鑑は、PDFなどPCに保管されたファイルに印鑑の画像・データを付与することが可能です。紙の書類に押印するような作業を、PCの文書上で再現するとイメージすれば間違いありません。

電子印鑑を導入するメリットは、まず業務効率があがることです。書類の作成や捺印は全てPC上で済ませられますから、書類を印刷する必要がありません。もちろん、押印のためにわざわざ出社するといったことも不要です。朱肉を準備したり、押印に失敗して印刷からしなおしたりといった手間も発生しません。

また印刷が不要になることにより、印刷にかかった用紙代やインク代も不要になるのもメリットです。1枚1枚のコストは少なくても、1ヵ月分・1年分と積み重ねて考えてみると印刷代も決して馬鹿になりません。

対するデメリットとしてはまず、不正利用の可能性があることがあげられます。たとえば、電子印鑑を手早く作るのであれば、紙に押印した印鑑をデータ化したりOfficeソフトの画像編集機能で作成したりすることができます。しかしこれらの方法で作ったような、単なる印鑑の画像データであれば、誰でも簡単に作成可能です。料金もかかりませんから、簡単に偽造ができてしまうわけです。

ですので、その電子印鑑が本人のものであることを証明できるようにするためには、専用のサービスを活用する必要があります。そのために導入コストが発生するのもデメリットです。なお、紙に押印した印鑑を単純にデータ化して作ったような単なる画像データの印鑑は法的な効力がありませんが、専用サービスを使えば持主が押印したものであることが証明できるため、法的効力を持たせることができます。

その他、従来の印鑑と違いPC上での操作が必要になることから、多少はPCの知識が必要になること、取引先が電子印鑑を許容してくれるか分からないといった点もデメリットとしてあげられます。

電子署名

「電子署名」とは、電子文書の真正性の証拠となる技術(暗号データ)を指します。電子署名を使って、オンライン上で行われた契約が「電子契約」です。電子署名は現実の印鑑や署名と同様に、本人によって付与された証明となることが「電子署名法」という法律によって認められています。

電子署名のメリットは、電子印鑑と同様に業務を効率化できることです。印刷の手間がなくなり、書類に押印するために出社する必要がありません。印刷代がかからなくてすむという点も、電子印鑑と同様のメリットです。

一方、デメリットはサイバー攻撃の懸念がある点が挙げられます。電子署名を付与した電子文書は管理サーバーで一括管理していることが多く、攻撃を受けてデータ流出等の被害が生じる可能性があることから、十分なセキュリティ対策が必要です。また書類の種類によっては電子署名が使えないこと、取引先によっては電子署名を受け付けてくれないこともデメリットとしてあげられます。

まとめ

従来のハンコ文化は、リモートワークを推進する上で大きな課題となっています。これを解決するため、国や民間企業の動きが加速しています。電子印鑑や電子署名は、ハンコ文化から脱却するのに有効な手段のひとつです。
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