小売業IT活用事例:ローソンが考える次世代店舗のキモとは?

 2019.11.12  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

熾烈な争いを繰り広げる日本のコンビニ業界。中でも大手チェーンのローソンでは、さまざまなデジタル技術を導入した次世代店舗の開発を行っています。この記事ではローソンが抱えていた課題や、新型の店舗で提供されるサービスの内容、ITの活用で得られるメリットなど、ローソンが考える次世代店舗のキモを詳しくご紹介いたします。

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ローソンについて

ローソンは日本を代表する小売店の大手チェーンで、コンビニ業界の一角を占める身近な企業です。「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」という企業理念を持ち、その実現のため、ビジョンや行動指針が明確に決められています。

5つある行動指針も「お客さま、マチ、お店を起点に考えます」という一文から始まります。 また、テレビのCMなどで「マチのホットステーション」というキャッチフレーズを聞いたことのある人も多いでしょう。これも「マチの暮らしにとって、なくてはならない存在になる」という、企業ビジョンと一致しているフレーズなのです。

そんなローソンが展開している事業は、言うまでもなくコンビニエンスストアという小売業です。1939年(昭和14年)にアメリカで創業された牛乳販売店をルーツに持ち、その後、親会社とダイエーが提携したことから、国内では1975年(昭和50年)に大阪府豊中市に1号店が開店しました。当初はソーセージなどの加工肉や輸入食料品を扱っていましたが、その後、サンチェーンとの業務提携を経て現在の「ローソン」に店舗名が統一されました。

1997年(平成9年)には47都道府県の全てに出店、総店舗数は2019年(平成31年)2月時点で国内だけでも1万4600店を超す規模となっています。(参照:http://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/about/

 

ローソンが抱えていた課題

創業以来、時代の変化を取り入れながら堅調に成長してきたローソンですが、近年では課題も生まれてきていました。近年、多くの業界では、実際の店舗とネットでの販売の連携が進み、双方のデータをつなげて活用するようになっています。また、顧客を個人単位で識別し、それによってサービスを変える仕組みも美容系などでは常識です。

しかしコンビニ業界ではそうした取り組みが難しく、導入が遅れていたのです。 その背景には、コンビニ業界では独自の販売管理システム(POS)が運用されてきたこともあります。コンビニの成長を支えてきた高機能なPOSですが、一般市場ではキャッシュレス決済やAI機能など、POS以外のシステムが大きく進化しています。例えばAIで需要の予測を立て、そこにカメラによる画像解析を加えて在庫管理や顧客の識別を行えば、より的確な販売行動が可能となります。

しかしそれらの多くはオープンな規格であり、クローズドなシステムであるPOSとは別物でした。ローソンではこうした技術を導入すべく、日本Microsoftと共同でモデルとなる次世代店舗を開発し、新しいサービスの提供を計画したのです。

次世代店舗へ向けた実施内容

ローソンは日本Microsoftの本社がある品川に「ローソンイノベーションラボ」という名の研究施設を作りました。これこそ「次世代店舗」のモデルであり、ここで実証実験されたサービスが今後、他店舗に展開されていくのです。

ローソンイノベーションラボとは

ローソンを取り巻く環境は日増しに厳しくなっています。ニュースなどでもおなじみの、働き方改革の流れの中、24時間年中無休というコンビニの営業スタイルに批判が出るようになり、人手不足による人件費の高騰にも直面しています。 それを受けてローソンでは、「オープン・イノベーションセンター」(OIC)を新たに設置。社長直轄の肝いり組織とし、プロジェクトの一環として「ローソンイノベーションラボ」が誕生しました。

ラボにはMicrosoft以外にも、パナソニックや日立製作所などの国内企業、アメリカのインピンジ(チップメーカー)やフランスのコグニャック(画像認識ソフト会社)など、総勢17社が参画。経済産業省(電子タグ分野)や国土交通省(ドローン分野)とも協力関係を築いています。 この次世代店舗で目指すサービス分野は計8つです。電子タグやIoT、カメラなどのセンサー分野や、接客ロボやドローンなどのメカニック、電子決済など非常に幅広い内容となっています。

実際に提供されるサービスは?

では、ローソンが考える未来型コンビニの顧客体験を紹介しましょう。 まずお店に行く前から、LINEのチャットボットである「ローソンクルーあきこちゃん」とのコミュニケーションが始まります。LINEで友達になるとお店の最新情報が送られてきます。おすすめの新商品の情報や割引クーポン、占いやゲームで遊ぶことも可能です。

外出すれば、最寄りの店舗を教えてくれます。 そして実際にお店に行くと、入店のタイミングで、そのお店のどこにおすすめ商品があるか教えてくれます。具体的に欲しいものがあるなら、LINEで「あきこちゃん」に話しかけましょう。希望に合わせて「カロリーが低いお菓子」や「糖質を抑えたお弁当」などを提案してくれます。

お店の中の行動スタイルも変わってくる

さらに店内を歩いて回ると、配置されたデジタルサイネージの表示が状況に合わせて変化します。これは「インテリジェントシェルフ」と呼ばれる技術です。サイネージから離れているとキャンペーンの告知などが表示されていますが、近くで商品を取るとカメラが認識、その商品の詳しい情報に表示が変わるという仕掛けです。

最後の会計処理も簡単です。キャッシュレスに対応しているので小銭を出す必要はなく、ロボット化により商品も自動的に袋に入れられ、会計で待たされる時間が激減します。 そしてこれらの行動履歴、購買履歴は、ビッグデータとして記録され、お店に行けば行くほど、より自分に合った情報サービスを受け取ることができるのです。

IT活用で得たメリット

このようにローソンイノベーションラボでは、IT技術を活用することで、これまでにない顧客体験が提供されます。これはローソンや店舗側にもメリットがあります。自動化による人件費の削減はもちろん、現在多くを占める現金決済の多くがキャッシュレスになれば、現金の管理が楽になります。

レジ周りは混雑しやすく、そこで列ができると買うのを諦めて帰ってしまう顧客も出ます。そこでスマホ決済や、ICタグを使った無人レジを導入すれば、売上の損失機会を減らせます。 また店内の状況をデータ化することも、大きな恩恵につながります。

顧客の行動を数値化することで、ある商品を移動させて店内の混雑を減らしたり、売上を高められたりという結果も生まれます。 何より大きいのは、相手が誰かを識別することで、顧客に対して最適なサービスを提供できるということです。

導入製品とサービス

このようなローソンの次世代店舗は、Microsoftが提案する「Smart Store」によって支えられています。Smart Storeは流通業において共通化できる機能を提供します。数百店舗の在庫をまとめて管理できるデータベース、スマホ決済など、さまざまな業務シナリオに対応。開発コストを従来の5割〜7割も削減でき、余った資金を他社との差別化に充てることができます。

またSmart Storeは、同じくMicrosoftのクラウドプラットフォーム「Azure」上で稼働します。Microsoft Azureは、90以上のコンプライアンス認証を獲得し、3,500名のサイバーセキュリティの専門家によって守られている、極めて信頼性の高い環境です。Fortune500企業のうち実に95%が採用し、セキュリティ関係にかける10億ドルという莫大な投資も特筆すべき点でしょう。世界54リージョンで展開されているためレスポンスも良好です。

まとめ

より優れた顧客体験を可能にするローソンの次世代店舗ですが、そこに投入される技術は、あくまで手段に過ぎません。全ては「マチの暮らしにとって、なくてはならない存在になる」という企業ビジョン実現のため。お客さまを喜ばせたい、困っているお客さまを助けたいという、ローソンが目指す姿のためなのです。

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