ロジスティクス4.0とは?物流の未来について考える

 2020.05.22  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

産業革命以降、さまざまな革新が起きてきた物流業界に、今新たなイノベーションが起きようとしています。人的労働力を必要としない、IoTやAIなどの次世代テクノロジーによるビジネスに生まれ変わろうとしているのです。それが「ロジスティクス4.0」です。当記事では、ロジスティクス4.0と物流の未来について解説します。

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ロジスティクスの歴史

「ロジスティクス」とは、原材料の調達から生産、保管・梱包業務・販売といった、モノを作って消費者に届けるまでの流れを一元管理することをいいます。平たくいえば「物流を管理する一連のシステム」のことです。

ロジスティクスという概念が登場したのは意外と古く、19世紀の後半頃だといわれています。18世紀半ばから19世紀初頭にかけてイギリスで起こった産業革命により、あらゆる産業の生産効率が飛躍的に高まり、19世紀後半になると、人々が消費しきれないほどの商品が世の中に流通するようになりました。

そこで、企業がさらに市場シェアを拡大していくためには、物流の流れをより効率的かつスピーディーに変化しなくてはならないという考え方に至ります。そうして生まれた概念が「ロジスティクス」だといわれています。

ロジスティクス1.0

19世紀に入り、モノの内陸輸送に大きな革命が起こりました。蒸気機関、すなわち「鉄道」の出現です。現代に生きる我々にとっては、当たり前と思える鉄道による荷物の運搬も、蒸気機関が生まれる以前は馬やラクダなどの動物を利用した馬車、もしくは船舶による運河を使った輸送が一般的でした。

蒸気機関が実用化されることで、船舶と違い天候に左右されることなく、大量の物資を遠隔地まで、より効率的かつ安全に運べるようになったのです。

リチャード・トレビシックによって発明された蒸気機関車は、陸上での輸送力を飛躍的に高めることに成功し、大量輸送時代の幕を開けました。内陸輸送の機械化によって、一大転換を果たしたこの時期を「ロジスティクス1.0」と呼びます。

このロジスティクス1.0により、人類の文明は飛躍的に進歩することとなります。

ロジスティクス2.0

蒸気機関の登場によって、内陸輸送は大きな変革を遂げました。しかし、機械化によって一度の荷物を大量輸送できるようになったものの、積み込みや取り卸し、運搬、仕分けといった荷役は人間による手作業で行っていました。

1950年代になると、そんな環境にも大きな変革が訪れることになります。フォークリフトとパレットの登場による「荷役の機械化」です。

フォークリフトは元々、第二次世界大戦中に軍需品や食糧の補充といった、後方支援をするための機械として活用されていました。それが戦後、荷役資材であるパレットとともに、物流の現場に普及していき、荷役作業の効率化に大きく貢献することとなります。

また、その後、海上コンテナの普及も相まって、さらに荷役は効率化されていくこととなります。当時の貨物船は積み込み作業に多くの時間を要しており、1万tの荷物を積み込むのに1週間以上かかることも珍しくありませんでした。それが海上コンテナの登場により、数時間で同量の荷物を積み込むことができるようになりました。積み込みに要する時間は10分の1にまで減少し、同時に必要な人員も大幅に減少することとなったのです。

この荷役の機械化という変革が、「ロジスティクス2.0」です。

ロジスティクス3.0

産業革命以降の機械化によって、物流業界に大きなイノベーションが訪れはしたものの、自動化が進んだのは、積み込みや取り卸しといった現場作業まででした。たとえば、荷物の入出管理や在庫管理などに関する業務は人手に頼ったままであり、すべて書類と台帳によって管理されていました。

1980年代に入ると、コンピュータの普及に伴い、管理・処理業務に「WMS」が導入され、システム化が普及するようになります。WMSとは「Warehouse Management System」の略で、「倉庫管理システム」を意味します。

WMSは、倉庫内の物流管理の正確さを高め、入荷・格納・ピッキング・検品・梱包までの作業状況などをトータル管理するシステムとして活用され、管理・処理業務の電子化というイノベーションを起こしたのです。

こうして物流管理がシステム化された時期を「ロジスティクス3.0」と呼びます。

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ロジスティクス4.0とは

産業革命による蒸気機関の登場で、「輸送の機械化」というイノベーションを起こした「ロジスティクス1.0」。

「荷役の機械化」によって、積み込みや取り卸し作業における、大幅な時間短縮と人員削減に成功した「ロジスティクス2.0」。

WMS(倉庫管理システム)の導入によって、「物流管理の機械化」という変革を遂げた「ロジスティクス3.0」。

こうして進化してきたロジスティクスという概念が今、もう一段階大きな変化を遂げようとしています。それが「ロジスティクス4.0」と呼ばれる、「IoTやAIなどによる省人化と標準化」です。

省人化による変化

「省人化」とは、業務を見直して無駄な工程と人員を減少させることです。

ロジスティクス4.0における省人化とは、文字通り「人を省く」こと。つまり、自動運転の実用化やドローンによる宅配、ロボットによる庫内作業の実現など、今まで人間でなければできなかった「人の判断や操作」といった作業の機械化です。

ロジスティクス4.0では、物流オペレーションの主体が人からIoTやAIなどの次世代テクノロジーに置き換わろうとしているのです。

標準化による変化

標準化とは、多様化・複雑化してしまうような「モノ」や「コト」を秩序立てて単純化することをいいます。

ロジスティクス4.0における標準化とは、IoTやAIで情報を共有することによる標準化です。たとえば、輸送手段や配送ルートなどの最適解をAIが導き出したり、交通網や気象・災害情報といった物流を超えたプラットフォームが形成されたりと、本来個々に有していた情報が視覚化されるようになります。

そうして、企業の垣根を超えて物流・情報が共有され、荷主と物流リソースが広くマッチングされることとなるのです。

ロジスティクス4.0で物流はどう変わる?

今、IoTやAIなどによる省人化と標準化によって、物流業界にこれまでにないほど新しく大きなイノベーションが起きようとしています。

ロジスティクス3.0までは、特定の作業とプロセスの機械化・システム化が目的であり、あくまでも人間による労働力を必要とするビジネスにとどまっていました。しかし、ロジスティクス4.0が現実となり、人間の労働力を必要としない物流の装置産業化が進むと、従来のように多くの労働者を雇い使役するという、労働集約的なビジネスモデルでは立ち行かなくなることを意味しています。

物流業界は二極化していく

これからの物流業界は、極端な二極化をしていくと予測されます。

今まで以上に多くの資本力と、先を見据えた投資、そして何よりも情報ネットワークが必要となります。先を見据えて自動運転トラックやロボット産業、マッチングシステムといった、IoTやAIによる次世代物流システムに積極的・戦略的に投資し、優れたビジネスモデルを確立した企業だけが生き残り、そうでない企業は淘汰されていくことになるでしょう。

物流会社にとってロジスティクス4.0は、現状のビジネスモデルに対する非常に大きな脅威といえます。しかし、それは同時に飛躍的成長の実現に向けた、千載一遇のチャンスであることも意味しています。

たとえばamazonのように歴史的なイノベーションを巻き起こした企業は、大変革の際に戦略的ビジョンを持ち、変化を恐れずチャンスを掴んだがゆえに、世界に名を馳せるような大企業へと成長しました。

つまるところ、この物流の創造的革新を吉と捉えるか凶と捉えるか、そしてどのように向き合っていくかが、企業の盛衰を左右するといっても過言ではありません。

まとめ

物流業界は今、かつてないほど大きな転換期を迎えようとしています。それが脅威をもたらすのか、あるいは成長のチャンスをもたらすのかは、企業の捉え方次第といえます。このビッグウェーブに乗じるには、ロジスティクス4.0による変革を見据え、大胆かつ戦略的な経営判断が必要となるでしょう。

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