製造業のM&Aとは?特徴や注意点、メリットを事例とともに解説

 2021.12.27  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

製造業では人材や後継者不足といった課題が山積しています。その上、「スマートファクトリー」として効率化を図り収益性を向上する、DX化を進めるといった時代に合わせた環境の構築など多大な投資を行う必要性に迫られています。本記事では製造業におけるM&Aの特徴やメリット、M&Aの実例について紹介していきます。

製造業のM&Aとは?特徴や注意点、メリットを事例とともに解説

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製造業におけるM&Aの特徴と注意点

M&Aとは企業の「合併・買収」を行うことです。従来は「資金繰りが上手くいかない企業が他の企業に吸収される」というイメージがありましたが、近年は後継者不足や人手不足を背景に、「事業を承継するために譲渡する」といったポジティブな動きとして捉えられることも増えました。

その中でも製造業は、「製品を作る技術があっても、営業できる人材が乏しい」「設備拡充やDX化に対する資金投資が必要」といった課題を抱えてM&Aを視野に入れるパターンが目立ちます。そのため、技術力のある中小企業が、人材不足を解消したい大手企業と手を結ぶ傾向にあります。ここでは、製造業に絞り、M&Aの特徴・注意点を説明します。

サプライチェーン全体を把握する必要がある

製造業は「材料の調達・製造・輸送・販売」といった材料を集め製造し、製造したものを一般消費者(BtoBの場合も有)に届けるまでの一連の流れがあります。この流れを効率よく進め、いかに最適化できるかが収益に大きな影響を及ぼします。大手企業はサプライチェーンマネジメント(SCM)を導入していることがほとんどですが、中小企業ではマネジメントが確立していないこともあります。そのため、M&Aを検討する際は、まずもって自社のサプライチェーン全体を把握する必要があります。

原価計算が複雑

製造業においては材料を調達に消費者が購入するまでの期間が他業種に比べ長期に渡ることが特徴として挙げられます。このリードタイムの長さも加味した上で原価計算をするには、材料を仕入れた金額、製造にかかった人件費等のコスト、設備のランニングコスト、流通に係る経費などを勘案する必要があります。しかしその計算は非常に複雑です。そのため、前述のようなSCMがまわっていないケースでは、適正な原価計算が行われていないことがあるのです。一見すると持続的な受注があり安定しているものの、実際には赤字経営になっていたケースも存在します。

生産性向上などDX推進する際に巨額の投資が必要

生産性向上やDX推進に向けた施策を講じる際には、巨額の投資が必要となることがあります。売り手となる中小企業の多くはこういった費用の捻出が難しく、改革が進んでいないことが多いです。そのため、買い手にとってはM&Aとともに、最適化に向けた投資が必要になることを念頭に置く必要があります。例えば、近年だとIoTの導入やスマートファクトリー化といったものが挙げられます。

ただ、製造業のM&Aはある程度の投資額が必要だとしても、一から設備を整えて人材を集め、技術を確立していくよりは、短期間でノウハウや設備を手に入れることができるため、肯定的に捉えられているのです。

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製造業におけるM&Aのメリット

ここでは、製造業でM&Aを行うメリットについて解説していきます。

買い手側のメリット

買い手側のメリットには以下のようなものがあります。

  • 新規開拓のコスト削減
  • 時間短縮
  • 技術のある人材の確保

前述のように、企業が事業への参入や新しい市場を開拓するためには、「新設備への投資」「新製品の設計」「試作・開発」などさまざまなコストが発生します。これを土台がないところから始めると、莫大な投資が必要となるでしょう。さらに数年単位で取り組むことも珍しくないため、投資コストを回収するまでにかなりの時間を要します。

しかし、M&Aを上手く活用すれば、これらのコストを大幅に削減できる可能性があります。すでに自社で手掛けたい事業や市場がある場合は、その分野にノウハウを持つ企業を買収することによって時間短縮にもつながります。また、売り手の従業員をそのまま雇用することもできます。現場の作業員は技術力が高いことも多く、新しい人材を育成するよりも効率的に人材確保が行えます。

売り手側のメリット

売り手側のメリットには以下のようなものがあります。

  • 売却益の発生
  • 自社商品の認知度アップ

売り手側の大きなメリットは、売却益の発生です。資金繰りが悪化した状態でM&Aした場合は、資金をもとに別事業を始めることもできます。昨今、後継者不足による、経営者の高齢化が懸念されています。このような後継者問題に悩んでいる企業は、培った技術を譲渡した上で、安心してリタイアできるでしょう。

加えて、中小企業の場合は、自社で開発した商品が「認知されない」「売上につながらない」といった問題を抱えている場合があります。大手企業は、中小企業よりも資金力やブランド価値が高いため、自社の商品が世に広まる可能性も高くなるのです。

廃業という選択をすれば、これまで積み上げた技術がなくなり、それらを支えた技術ある人材は働く場を失うことに他なりません。後継者がいなくとも、また企業としてかたちは変わるものの、これまで同様に技術が活かせる場を醸成できるのがM&Aなのです。

製造業におけるM&Aの事例

ここでは、製造業において実際に行われたM&Aの事例についていくつか紹介します。

新規事業を開拓したM&A

売り手企業:鋳物製造業
買い手企業:会計事業所

鋳物製造業を営むA社は、経営状態は良好で無借金でした。しかし後継者がいないことと、技術者の確保が難しいという課題を抱えていました。また買い手の会計事務所のB事務所は、AIの台頭などによって将来的に事業が縮小することを見据え、新たな経営基盤の確保を考えていました。お互いの希望する条件が合致し、M&Aを実施しました。B事務所から経営者が派遣され、A社の社長は引退。B事務所は新しい収益源を確保できたため、キャッシュフローが大きく改善されました。

後継者不足に寄与したM&A

売り手企業:一般産業用機械・装置製造業
買い手企業:創業希望経営者

金属部品の加工を行うC社は社長の急逝により、事業を引き継ぐ人材が実質的にいない状態となりました。そこで地元の事業承継をサポートする機関に登録。すると長年、大手部品メーカーで製造管理や企画を行った経験をもとに故郷で起業したいと考えていたD氏が手を上げ、M&Aを実施しました。結果として、D氏が社長となり、後継者不足が解消されたことで経営状態が安定し、地域雇用を守ることができました。

サプライチェーンの維持に貢献したM&A

売り手企業:自動車部品向けの設計や組立の製造業
買い手企業:切削加工業

売り手であるE社は技術力があり、世界的自動車部品メーカーと取引するなどの実績を積んでいたものの資金繰りが上手くいかず自己破産を検討していました。そこで同じ地域で切削加工業を営むF社がM&Aすることを決意。F社もまた大手電機メーカーとの取引がある歴史ある企業でしたが、リーマンショックの影響を受け、新規事業の開拓を検討していた時期でした。F社はE社の技術者もともに引き継ぎ、差し迫っていた納期も守ることができました。その後、経営の最適化にも着手し、サプライチェーンやハウハウを継承しながら、事業拡大につなげることができました。

まとめ

製造業のM&Aにおいては、サプライチェーンの把握や設備投資などを考慮して購入額を考慮する必要があります。一方、製造業のM&Aでは、事業開拓のコスト削減や時間短縮、後継者問題の解決といったさまざまなメリットがあります。事業拡大や経営上の問題を抱えている企業は、M&Aを上手く活用して経営戦略に役立てましょう。

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