BIMとFMの連携で実現する新時代の施設管理

 2021.07.26  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

建設業界では従来、設計図面を作成するソフトウェアとしてCADが使用されてきました。しかし近年では、CADに代わる新技術として「BIM」が大きな注目を集めています。本記事ではBIMの概要について解説するとともに、FMとの連携で実現する新時代の施設管理をご紹介します。

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BIMとは

「BIM」とは「Building Information Modeling」の頭文字をとった略称で、コンピュータ上に建築物の3Dモデルを構築するソリューションを指します。BIMが従来の3Dモデリングソフトと異なるのは、コンピュータ上の建築物が「情報」をもっている点です。コンピュータ上に建築物の立体モデルを構築するだけでなく、寸法値や材料情報、構造や重量、施工方法や耐用年数など、建築に関わるあらゆる情報が集約されています。このような特徴をもつことから、建築物の設計から施行、あるいは維持管理に至るまで、建築に関わるワークフローの一元管理が可能です。

BIMと3D CADとの違い

BIMは非常に大きな注目を集めているものの、建設業界ではまだまだCADによる設計が主流とされています。BIMの普及が進んでいない理由として挙げられるのが、3D CADの存在です。

一般的に、建築物の設計では2D図面を作成するCADが用いられます。しかし、2D図面では曲面や体積、質量や重心などが把握できないため、3D CADを用いて3D図面を作成する企業が増加傾向にあります。とくに3D CADは製造分野で広く普及しており、大手メーカーはもちろん、中小企業の製造工場や個人事業の町工場でも導入されているソフトウェアです。

一見すると、BIMも3D CADもコンピュータ上に3Dモデルを作成するソリューションであり、同様の機能を備えているように思えます。しかし、両者には決定的な違いがあり、それが先述した「情報の付与」です。BIMは、建築物のあらゆる情報を付与した3Dモデルを構築できるため、設計業務だけでなく建築に関わる全行程の統合管理が可能です。この機能によって部門を横断した情報共有が可能になり、発注書・見積書などの資料作成や、設計ミス・施工ミスの修正など、さまざまなワークフローを一元化できます。

一方で、3D CADは2D図面を作成してから3Dモデルを組み立てるツールであり、設計図面の作成に特化したソフトウェアです。2D図面と3D図面の作成はできても、情報は付与されないため、各種資料は施工管理部門が別途で作成します。そして、設計ミスや施工上の問題が発生した場合は設計工程まで遡り、関与するすべての部門を巻き込んで修正しなくてはなりません。つまり、3D CADはあくまでも立体図面を作成するソフトウェアでしかないということです。その点BIMは、図面の作成はもちろん、設計から施行に関わるすべての業務プロセスを管理するソリューションといえます。

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FMとは

BIMが建設業界に導入されるようになったのはここ10年ほどであり、一般的に利用されるまでには至っていません。しかし、近年ではBIMを導入する動きが活発化しており、建設業界を中心に多くの企業から注目されています。とくに期待されているのが「FM(ファシリティマネジメント)」との連携です。FMとは、企業が保有するオフィスビルや生産工場といった物的資産を、用途や目的に応じて管理・活用する経営手法を指します。

物的資産を単に管理するのではなく、オフィスビルや生産工場の資産価値や収益性を加味した経営戦略の立案が、FMの目的です。そして、BIMの設計情報をFMに取り込むことで、物的資産のトータルマネジメントが実現します。たとえば、BIMによって出力された施設台帳をFMに入力し、生産施設の長期修繕計画や点検・保全管理などに活用するといった連携が可能になります。このように、BIMはFMを最適化するソリューションとして注目を集めているのです。

国土交通省の推進するBIMとFMの連携

BIMの導入が進みつつあるとはいえ、まだまだ国内の建設業ではCADによる設計が主流です。とくに建設ラッシュが続いている中国や、経済成長が著しいシンガポールなどと比較すると、国内のBIMの導入は遅れていると言わざるを得ません。事態を重く見た政府は、こうした状況を打破すべくBIMを推進しており、さまざまな政策を打ち出しています。

たとえば、2019年度の成長戦略である「成長戦略フォローアップ」において、BIMの導入を戦略的に進める方針を示しました。そして国土交通省は、2023年度までに小規模を除くすべての公共工事でBIMを原則化し、段階的に適用拡大を図るとしています。また、日本ファシリティマネジメント協会も同様にBIMを推進しており、2019年には「ファシリティマネジメントのためのBIMガイドライン」を刊行するなど、官民一体でBIMの普及に取り組んでいます。

BIM-FMシステム「ARCHIBUS」

FMの運用成果を最大化するためには、BIMとの連携を円滑化するソリューションが欠かせません。そこでおすすめしたいのが、ワークプレイス管理システム「ARCHIBUS」です。

ARCHIBUSとは、米国のソリューションプロバイダ「ARCHIBUS社」が開発した、FMを最適化するITシステムのことです。BIMやCADの設計情報を取り込める特徴があり、取り込まれた設計情報と連携しながら、物的資産に関わるあらゆる情報や業務プロセスの統合的な管理が可能です。建設業界のみならず、製造分野や不動産分野などさまざまな業界で導入されており、世界で800万人以上のユーザーと24,000社を超える確かな導入実績を誇ります。

ARCHIBUSを使ったRevit連携の方法

ARCHIBUSは、あくまでもワークプレイス管理システムであり、BIMとしての機能は備えていません。そこで、ここではBIMソフトの代表格といえる、オートデスク社の「Revit」とARCHIBUSの連携方法について簡単に解説します。

ARCHIBUSとRevitを連結させるためには、まずARCHIBUSに建物とフロアの情報を登録しなくてはなりません。ARCHIBUSとRevitをフロア単位で連結させることで、異なるデータ項目を同一項目としてマッピングできます。こうしてRevitの設計情報をARCHIBUSにインポートすることで、土地や建物の設計情報が一元化され、FMの最適化に寄与します。

まとめ

BIMは建築物の3Dオブジェクトを構築するだけでなく、寸法値や材料情報、構造や重量などの情報をもつソリューションです。各業界でBIMを導入する企業が増加傾向にあり、今後さらに普及していくと予測されます。FMとの融合が実現することで、物的資産の資産価値や収益性を加味した経営戦略の立案につながるでしょう。

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