デジタル化が進む小売業における経営戦略のポイント

 2019.12.10  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

あらゆる業界においてデジタル化は進んでいますが、それは小売業でも例外ではありません。そんなデジタル化の進む小売業界において、これまで以上に業績、利益を伸ばすためには経営戦略から考え直す必要があります。デジタル化に伴う業界の変化、今後舵を取るべき経営戦略の方向性を理解しておきましょう。

Management strategy

流通・小売業のデジタル化を加速させる Intelligent Retail ソリューションガイド

デジタル化による小売業界の大きな変化

SNSで共感を得られるための仕組み作りや、セルフレジから無人レジへの変化など、小売業界は大きく変化しています。また、電子プライスカードの導入や分析、管理システムを活用し始めた企業が増えたのも大きな変化といえるでしょう。

顧客体験の提供

従来、消費者は実際にお店に足を運ぶまで、そこがどのようなお店なのか知ることができませんでした。また、お店側としても、まずはターゲットとなる消費者に足を運んでもらうことが先決で、そのためにチラシやテレビコマーシャルなどを活用していました。

近年では、小売業界でも動画や記事などのコンテンツを作成して集客に繋げています。例えば、店内の様子や製造過程などを動画で撮影し、それを投稿して顧客の興味を引くといった方法です。ターゲットの興味を引く内容の記事を作成し、SNSで拡散させる方法も今ではポピュラーな集客戦略の一つといえるでしょう。

また、ある化粧品販売店では、メイク後の仕上がりをチェックできるARサービスを提供しています。自分の顔写真をとりこみ、同社がリリースしている製品をチョイスすれば、仕上がりがディスプレイに表示されるという仕組みです。

このサービスによって、顧客はお店に足を運ぶ必要がなく、さまざまな同社のコスメを試すことができます。その結果、商品を買いたい、試してみたい、相談してみたいという欲求が発生するのです。お店側は集客に繋げることができ、顧客側は行動の選択肢が増えるメリットがあります。

セルフレジから無人レジへ

セルフレジの登場によって、人手不足から解消される小売店も増えました。しかし、近年ではセルフレジから無人レジへのシフトが始まっています。

セルフレジと無人レジ、どちらも同じなのではと思う方も少なくないでしょう。ただ、セルフレジといっても途中までお店のスタッフが操作を行うセミセルフレジと呼ばれるタイプだと、スタッフが常駐しなくてはなりません。また、フルセルフレジであっても、初めて利用する消費者が戸惑うことが考えられるため、こちらもスタッフの常駐が必要です。

無人レジは、セルフレジと異なりすべてを顧客が操作します。専用のレジに商品を置けば、自動的に計算してくれるのです。操作も難しくないため、スタッフが常駐する必要はありません。

無人レジを導入するメリットですが、お店側としてはコスト削減が挙げられます。システム自体がシンプルなので買い物客が迷うことも少なく、必要最小限のスタッフでシフトを組めます。レジを担当するスタッフそのものを少なくできるので、トータルでのコスト削減に大きく貢献してくれるでしょう。

また、レジに人員を割く必要がなくなり、ほかの仕事にスタッフを回せるのも大きなメリットです。より高品質な接客も可能になり、顧客満足度を高められる効果も期待できます。

消費者側のメリットとしては、レジの混雑を回避できることが挙げられます。有人のレジやセルフレジだと、時間帯によってはひどく混雑することも少なくありません。無人レジであれば商品をレジに置くだけで精算できるのでとてもスピーディです。待たされ続けてイライラすることもなくなるでしょう。

キャッシュレス決済

コンビニやスーパーでも当たり前のようになってきたキャッシュレス決済。これも、近年の小売業界における大きな変化の一つといえるでしょう。キャッシュレス決済とは、文字通り現金を使わずに決済する方法です。決済手段は多岐にわたり、クレジットカードや電子マネー、最近ではQRコード決済もどんどん広がりを見せています。

お店側が導入するメリットとしては、スタッフの負担を少なくできることが挙げられます。現金決済だと、お店が混雑する時間帯にはレジ前に長い行列ができることも珍しくありません。次から次へと作業をこなさなくてはならないため、スタッフには体力的な負担がつきまといます。お客様を待たせることでクレームが発生するケースもあるので、精神的な負担も増えやすくなるでしょう。

キャッシュレス決済なら、現金を受け取る、お釣りやレシートを渡すといった一連の動作が不要になります。スピーディに決済できるため、従業員の負担軽減が期待できます。レジ前が混雑することも少なくなり、お客様からのクレームも少なくなると考えられます。

デジタル時代の小売業の再考
New call-to-action

また、キャッシュレス決済では顧客の電子情報を管理できるメリットがあります。年齢や性別など、属性ごとに嗜好や傾向などのデータを活用し、それに合わせて品揃えを充実させれば顧客満足度をさらに高めることも可能になるでしょう。

消費者としても、混雑したレジに並ぶ必要がなくなるためメリットのある決済方法です。スピーディに精算できるため、急いでいるときにも役立ちます。スマホで決済するのなら財布も不要なので、出歩くときの持ち物も最小限に抑えられます。

電子プライスカード

プライスカードとは、商品の価格を示すためのカードです。価格だけを簡潔に示すものもあれば、商品の魅力などを一緒に表示するケースもあります。ただ、紙製のプライスカードは作る手間もコストもかかるのが大きなデメリットです。そのため、近年では小売業界でも電子プライスカードの導入を始めるお店が増えてきました。

電子プライスカードでは、専用のディスプレイに価格が表示されます。しかも、ディスプレイに映し出される表示は容易に変更できるため、商品が変わってもすぐに対応できるのです。

お店側としては、これまで時間と手間をかけて行っていた作業を軽減できるメリットがあります。特に、POPのようなプライスカードをその都度作成していたお店なら、大幅に業務の負担を軽減できるでしょう。商品が変わるたびに貼り替えをする必要もなく、資源を無駄にすることもありません。トータルでのコスト削減にも役立ちます。

また、消費者からの信頼が得やすくなるメリットもあります。手書きや紙製の値札だと、最新の価格に反映されていないケースが少なくありません。電子プライスカードだと自動的に最新の価格に更新されるため、こうしたミスがなくなります。顧客の信頼を得られるのは大きなメリットといえるでしょう。

消費者としても、常に最新の価格が反映されているのは安心できるポイントです。値札には表示価格から2割引と書かれているのに、いざレジに持っていくと以前のキャンペーンなので適用されなかった、ということもなくなります。

分析や管理システムの進化

分析や管理を行うシステムがさらに進化し、多くの小売店が導入を始めています。

システムの導入によって、売上や在庫、発注などの管理がしやすくなります。また、スタッフの誰がいつ誰に指示を出したのかといったことや、リアルタイムでの売上なども、店舗および本部で管理できるメリットもあります。

顧客管理システムであれば、お客様の来店頻度や嗜好といった特性も知ることができます。そのため、特定のお客様へダイレクトにアプローチを行うことも可能になるでしょう。つまり、より高品質な顧客サービスを提供し、結果的に売れる仕組みに繋がるのです。

デジタル時代に取るべき経営戦略とは

このようにデジタル化がますます進む小売業界において、今後生き残っていくためにはどのような経営戦略に舵を取らなくてはならないのでしょうか。大切なのは、消費者心理を理解してコントロールすること、マーケティングやブランディングを効果的に行うことです。

環境の変化と小売業界の課題

今はモノが売れない時代といわれています。理由としては、小売業界を取り巻く環境の変化が挙げられます。インターネットが当たり前の時代になり、数多くのネットショップが誕生しました。わざわざお店に足を運ばずとも、モニター上で商品を選べば最短翌日に届けてくれるようなショップもあるくらいです。旧態依然としたままでは、従来の小売店は生き残ることが難しいでしょう。

また、情報社会といわれる現代では多くの方が買い物に行く前にネットでリサーチをしています。例えば、テレビを買うにしても、ネットで複数の店舗のウェブサイトをチェックし、もっとも安く販売しているお店を探すようなことは珍しくありません。

このような時代だからこそ、小売店はお店のブランディングを効果的に進めていく必要があります。つまり、独自にお店の価値を高めるための努力をしなくてはならない、ということです。商品の価格以外でお店の価値を高められれば、集客にも繋がりやすくなるでしょう。

購買行動に繋がる土台の構築

現在では、多くの小売店がSNSを活用しています。新たに入荷した商品や、キャンペーンの情報などを積極的に発信しているお店は少なくありません。

SNSや口コミを上手に活用している小売店は、例外なく集客にも成功しています。消費者に行動を促すためには、まずペルソナを設計して共感してもらえるポイントを見極めなくてはなりません。お店を利用してくれるお客様がどのような人なのか、ということをできるだけ明確にイメージし、共感ポイントを探っていきます。共感ポイントを見極められたら、それを商品の開発やマーケティングに活かしていきます。 また、消費者とのコミュニケーション施策も求められます。初回購入してくれたお客様へ感謝のメールを送る、公式LINEに登録してもらい、定期的にお得な情報を発信する、などが挙げられます。

購買意欲を高める仕掛け作り

消費者の購買意欲を高めるためには、そのための仕掛け作りが重要となります。今は消費者にとって選択肢が膨大に存在する時代です。そのため、数ある同業者の中からお客様に選んでもらわなくては生き残ることができません。

お店の成り立ちや、ブランドの歴史などをストーリーにして発信するのもよいでしょう。リアリティのあるストーリーであるほど、消費者の共感も得やすくなります。

消費者に何を伝えたいのかがはっきり決まれば、次はそれを発信していくだけです。オウンドメディアサイトを立ち上げ、消費者にとって本当に価値のある情報を発信するのも一つの方法です。大切なのは、本当に価値のある情報のみを発信することです。少しでも売り込み臭が漂ってしまうと、消費者の心が離れてしまう恐れがあります。

分析と集客増を叶えるWebコンテンツ

これからの小売店にも、コンテンツマーケティングが必要です。従来のマーケティングに比べてコストを少なくでき、費用対効果が高い方法だからです。顧客の分析や集客増にも役立つコンテンツマーケティングにぜひチャレンジしてください。

Webコンテンツの種類

大きく分けると、単発型や継続型、追記型などが挙げられます。単発型とは、特定のテーマを取り上げた記事コンテンツであり、興味を持った人のアクセスを増やせるメリットがあります。ピンポイントでの集客が可能ですが、旬を過ぎてしまうと情報が古くなり、興味を持ってもらえなくなる可能性もあります。

継続型とは、情報を連載にすることでアクセスを増やすコンテンツです。継続的なアクセスを目指し、再度訪れてもらえるような内容にしなくてはなりません。リピーターを増やし、エンゲージメントを高められるのは大きなメリットといえるでしょう。

追記型は、既存のコンテンツに追記する形のコンテンツです。新しい情報、関連する情報などを加えることで、既存のページに新たな価値を与えられるメリットがあります。

Webコンテンツ作成のポイント

最終的にどうしたいのかを考えた上で、コンテンツを作る必要があります。アクセスを増やして知名度を高めたいだけの場合と、実店舗への集客に結び付けたい場合のコンテンツとでは内容が大きく違ってきます。

まずは目的を明確にし、誰をターゲットにするかもはっきりさせなくてはなりません。ターゲットが明確でないと、興味を引く情報を盛り込むこともできないからです。

SNSで拡散されやすい情報を採用するのもおすすめです。もしかすると、SNSで爆発的に拡散される可能性もあります。もちろん、コンテンツのクオリティがもっとも重要なので、そこは勘違いしないようにしましょう。

Web戦略を実現させるには

質の高いコンテンツを用意することが第一ですが、さらに安定した数のコンテンツを確保しなくてはなりません。自社で制作できるなら問題ないのですが、難しいようなら外部サービスの利用も検討してみましょう。

また、異なる目的を持たせたコンテンツを連携させるのも方法です。顧客の興味を引き、問題を解決できるようなコンテンツと、ダイレクトに集客に結び付けられるコンテンツを連携させれば、スムーズに顧客が購買行動を起こすような流れも作りやすくなります。

まとめ

テクノロジーの進化が著しい現在、デジタル化は今後ますます進むでしょう。それに伴い、購買心理も大きく変化していくと考えられます。デジタル時代におけるマーケティングの重要性を理解し、経営戦略に取り入れていくことで、継続的な成長を図っていきましょう。

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