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自動車産業の市場規模、今後の動向について解説

21世紀も四半世紀に近づいてきた昨今、自動車業界はまさに「100年に1度」と言われる「大変革の時代」を迎えています。そのような中で世界や日本の自動車産業の現状はどのようになっているのでしょうか。今回の記事では、2020年現在の市場規模や今後の動向などについて確認していきます。

自動車産業の市場規模、今後の動向について解説

モビリティの未来を推進する自動車業界

自動車産業の市場規模

現在自動車産業の市場規模がどのようになっているか、まずは世界・日本国内・車名別に2019年度の新車販売台数ランキングを見てみましょう。

世界市場では1位:VW、トヨタがルノー・日産を抜き2位へ

2019年1月から12月までの世界の新車販売台数の上位10社は、次のようになっています。

※()内の数値は前年の順位と前年度比

  • 1位(1位)フォルクスワーゲン(VW)グループ 1,097万台 (+1%)
  • 2位(3位)トヨタグループ(TOYOTA) 1,074万台 (+1%)
  • 3位(2位)ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンス1,016万台 (-6%)
  • 4位(4位)ゼネラルモーターズ(GM) 771万台(-8%)
  • 5位(5位)ヒュンダイモーター(HYUNDAI)719万台(-3%)
  • 6位(6位)フォードモーター(Ford)538万台(-10%)
  • 7位(7位)本田技研工業(HONDA) 518万台(-1%)
  • 8位(8位)フィアットクライスラーオートモービルズ(FCA) 442万台(-9%)
  • 9位(9位)グループPSA 349万台(-10%)
  • 10位(10位)ダイムラーグループ(Daimler) 334万台(-0.2%)

2019年の世界市場では、フォルクスワーゲングループが4年連続で首位となりました。また2位と3位が入れ替わった以外は、順位の変動も見られませんでした。

ただ増加したのは上位2グループのみ、それも微増で、ほかは全てマイナスとなっています。

日本市場も2年連続のマイナスに

一方、2019年1月から12月までの日本国内の新車販売台数の上位10社は次のようになっています。

※()内の数値は前年の順位と前年度比

  • 1位(1位)トヨタ自動車  151万台 (+2.7%)
  • 2位(2位)日産自動車  36.8万台 (-13.8%)
  • 3位(3位)本田技研工業  35.7万台 (-5.4%)
  • 4位(4位)マツダ  16.7万台 (-6.7%)
  • 5位(6位)スズキ  12.2万台 (-4.5%)
  • 6位(5位)SUBARU(スバル)10.5万台 (-11.9%)
  • 7位(7位)いすゞ自動車  8.14万台 (+6.1%)
  • 8位(8位)日野自動車  6.98万台 (-1.4%)
  • 9位(9位)レクサス(トヨタ) 6.24万台 (+13.2%)
  • 10位(10位)三菱自動車工業  4.69万台 (+0.02%)

こちらは前年と順位の変動は見られませんでしたが、大半の社が台数を減らし、全体でも2年連続のマイナスとなりました。特に日産とSUBARUは1割以上ものマイナスとなってしまいました。

車名別ではプリウスがトップ

また、車名別で見てみますと、上位10車は次のようになります。

※()内の数値は前年の順位と前年度比

  • 1位(3位)プリウス(トヨタ) 12.6万台 (+8.8%)
  • 2位(1位)ノート(日産) 11.8万台 (-13.1%)
  • 3位(5位)シエンタ(トヨタ) 11.1万台 (+17.9%)
  • 4位(8位)カローラ(トヨタ) 10.4万台 (+16.1%)
  • 5位(2位)アクア(トヨタ) 10.4万台 (-18.0%)
  • 6位(4位)セレナ(日産) 9.3万台 (-6.9%)
  • 7位(10位)ルーミー(トヨタ) 9.2万台 (+6.2%)
  • 8位(6位)ヴォクシー(トヨタ) 8.8万台 (-3.0%)
  • 9位(11位)フリード(ホンダ) 8.6万台 (+1.8%)
  • 10位(9位)ヴィッツ(トヨタ) 8.2万台 (-6.6%)

こちらは打って変わって、順位は前年と激しく変化しています。トヨタの製品が大半を占めていますが、3位だったプリウスが首位となり、シエンタやカローラも大幅増となりました。

一方、日産はここでも、ノートが1割以上落ち込み首位を明け渡しています。同様にセレナもマイナスとなってしまいました。

2020年以降は「CASE」を中心に技術革新の時代へ

近年自動車業界は「100年に一度の大変革時代」に入ったと言われています。そうした激動の時代を生き抜いていくためのキーワードとなるのが「CASE」です。

これは「Connected」「Autonomous」「Shared & Service」「Electric」の4語の頭文字をとって生まれた言葉になります。初めて使われたのは2016年にパリで行われたモーターショーで、当時のディーター・ツェッチェCEOが発表した独ダイムラーグループの中長期戦略においてでした。

それが、これからの自動車のあるべき姿としてほかのメーカーにも大きな影響を与え、現在では自動車業界全体に浸透しています。 

Connectedは「接続」「つながり」という意味で、要は車に通信機能をもたせようということです。例えば車をインターネットに接続することで、地図データの送受信や万一の事故の際に自動で通報してくれるサービスなどを利用することも可能になり、利便性の向上が期待できます。

Autonomousは「自動運転」のことです。これには一切の運転を必要としない完全な自動運転だけではなく、車線の維持や衝突回避など手動での運転を支援するシステムも含まれます。これが普及していけば、例えば昨今問題となっている高齢者ドライバーによる事故の問題にも大いに役立つはずです。

残るShared & ServiceとElectricは、どちらも既に普及しつつある取り組みです。前者は車を個人が所有するだけでなく、社会で「共用」「共有」していこうというサービスのことで、後者は地球にやさしい「ハイブリッド車」や「電気自動車」のさらなる利用拡大を目指していこうというものです。

かつて自動車が大量生産されるようになり、社会や人々の生活は大きく変わりました。また近年のパソコンやインターネットの普及も、同様に世の中を大きく変えました。それと同じことが、「CASE」によって再び起こっていくかもしれません。

まとめ

2020年現在、自動車産業の市場規模は、世界市場、国内市場ともにマイナスとなったグループ(社)が大半という、少々厳しい結果となっています。国内でも、日産の落ち込みが目を引きます。

こうした中、100年に一度と言われる大変革の時代を乗り越えていくカギとなるのは「CASE」です。ぜひ注目してみてください。

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