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製造業でRPAを使いこなす!効率的手法やメリット、注意点まで解説

近年、業務効率化や組織全体の生産性向上などを実現するために、「RPA」を導入する企業が増えてきています。製造業でも同様にRPAの導入が進んでいますが、成果を最大化するには正しく使いこなすことが大切です。そこで本記事では、製造業にRPAを導入する流れや得られるメリット、覚えておくべき注意点などについて解説します。

製造業でRPAを使いこなす!効率的手法やメリット、注意点まで解説

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製造業においてRPA活用で実現するメリット

「RPA(Robotic Process Automation)」とは、人力で行われる単純作業や定型作業をロボットが代行してくれるシステムです。たとえばデータの収集や分析、請求書の処理、電話やメールの対応などを自動化でき、業務効率化や担当者の負担軽減効果が見込めます。

定型業務(バックオフィス関係)を効率化できる

製造業がRPAを導入する主なメリットとして、バックオフィス関連の定型業務を効率化できることが挙げられます。在庫管理やエクセルデータの管理、データの収集や分析など、定型化している作業を自動で処理できるため、現場の業務効率化を実現できます。

バックオフィス業務は基本、直接的には利益の創出につながらず、営業部門やマーケティング部門などのフロントオフィスをサポートする裏方としての役割を担います。直接的な利益の創出につながらない業務を自動化できれば、リソースをコア業務に投入でき、利益の拡大に寄与します。

また、バックオフィス業務の効率化が実現することで、それら業務に従事する従業員の負担が軽減され、モチベーションの向上につながるのもメリットです。従来よりも快適に働ける環境が整い、離職率の引き下げ効果も期待できるでしょう。

異常検知を自動化できる

RPAの導入により、異常検知の自動化を実現できます。従来における異常検知は、人の目視や手作業で行われるケースが少なくありませんでした。しかし、目視で異常検知を行うとなれば、当然ながら人材を割く必要があり、少なからぬ人的コストも発生します。

RPAで異常検知を自動化できれば、前もって設定したルールに則りロボットが品質の確認を行ってくれるため、省人化を図りつつ検査精度を向上させることが可能です。投入する人的リソースも抑えられるため、浮いたリソースをより有効に活用できるでしょう。

ランニングコスト削減につながる

RPAの導入は、人件費をはじめとしたランニングコストの削減にもつながります。RPAで作業の自動化を実現できれば、今までよりも少ない人員で現場を回せるためです。人件費は組織の財政を圧迫しやすいコストでもあるため、削減できるのは大きなメリットといえるでしょう。

また、ランニングコストの削減が実現すれば、企業全体の経済的負担も軽減されます。財政に余裕が生まれ、ビジネスの拡大や設備投資などに資金を投入できるようになるため、企業としてのさらなる成長を促せるでしょう。

属人性をなくし品質向上につながる

RPAやAIの活用により、作業の属人性の排除につながります。品質チェックのような業務では、個々の従業員のスキルや経験に頼る面が多く、それゆえ品質にばらつきが生じるケースも珍しくありません。作業の自動化が実現すれば、こうした属人性を排除しつつ、品質の向上・安定化が期待できます。ロボットがプログラムに従って作業を行うため、品質のばらつきが生じなくなるからです。

また、ロボットは人間のように疲労やストレスを感じない点も魅力です。いかに優れたスキルと経験をもつ従業員であっても、常に最高のパフォーマンスを発揮できるとは限りません。体調不良や睡眠不足、ストレスなど、さまざまな原因により集中力を低下させてしまう可能性があります。RPAならそのような心配もなく、淡々と定められたルールに則って業務を遂行してくれるため、長時間の作業でも均質な仕上がりが期待できます。

製造業でRPA導入までの流れ

製造業がRPAを導入するにあたっては、以下の流れを押さえておくことが大切です。誤った手順で導入を進めてしまうと、二度手間が発生し、運用までに余計な時間がかかってしまうかもしれません。

RPA導入の目的を明確にする

RPAを導入する前に、その目的を明確にしておきましょう。「DXを進める企業が増えているから」「製造業でRPAを導入する会社が多いから」といった理由で軽々に導入してしまうと、うまく活用できず失敗に終わる可能性もあります。

まずは、しっかりと自社の現状を把握することが大切です。現場の業務でどういった課題が発生しているのか、どの作業を自動化したいのかなどを洗い出す必要があります。また、業務によってはRPAでの自動化が難しい作業もあるため、対象となる業務を分類・整理しておくこともポイントです。

導入の目的や対象とする範囲を決めたら、次はツールの選定を進めていきます。現在ではさまざまなRPA製品がリリースされており、導入に必要なコストや機能性、操作性、サポート体制などがそれぞれ異なります。さまざまな部分を比較しつつ、費用対効果も意識しながら検討しましょう。

事前検証を実施する

事前検証を実施せずにRPAを導入してしまうと、思ったほどの成果を得られない結果につながりかねません。ツールの選定を終えたら、事前検証をきちんと行い、「課題を解決できるのか」「狙った成果を得られるのか」といったことをシミュレーションしましょう。

たとえば、コストの削減が目的であれば、RPA導入によって具体的にどれくらいの削減が見込めるのかを検証します。現状で投入しているリソースをどの程度削減でき、その結果どれくらいのコストを削減できるか数値化しましょう。

PoCを実施する

「PoC」とは「Proof of Concept」の略で、「概念実証」を意味します。ツールの導入によって得られる効果の実証や、リスク軽減などのために行われます。

PoCの実施にあたっては、実際にツールを試験運用するのが一般的です。ツールを導入して運用し、「本当に効果を得られるのか」「どの程度の成果を上げられるのか」といったことを実証します。これにより、ツールの使い勝手や得られる成果などを本格導入前に確認できます。また、事前にリスクも把握できるため、導入後に何らかのトラブルが発生した際も適切な対応が可能です。

なお、ツールによっては試験導入ができないものもあるため、PoCを実施できない可能性もあります。PoCの結果を最終的な導入の判断材料にしたい場合は、試験導入できるツールを選ぶとよいでしょう。

PRAを導入して構築する

PoC を終えたら、いよいよRPAを導入するステップです。実際にツールを導入して、作業を自動化するシステムを構築しましょう。このとき、いきなり組織全体で導入するのではなく、限定的な部門から導入を進めることがポイントです。

事前に検証を行っているとはいえ、いきなり組織全体で導入しまうと、うまく運用できない部門が出てくるかもしれません。何らかのトラブルが生じた際、組織全体の業務が停滞してしまうおそれもあるので、スモールスタートで導入するのがおすすめです。

また、導入後はPDCAサイクルを回し、効果の検証と分析、改善を繰り返してブラッシュアップを続けることも大切です。

製造業界のRPA導入における注意点

製造企業がRPAを導入し、事業に活用していくのであれば、事前に運用管理者を決めておきましょう。管理者がいないと、イレギュラーな事態やトラブルが発生したとき、適切な対応をとれる者がおらず、現場に混乱をきたしてしまうおそれがあります。

またRPAは、あくまで定型業務や単純作業を自動化するツールであり、行動ルールは利用者側が設定しなくてはなりません。AIのように自らデータを収集し学習するわけではないため、利用する人間側がルールを決めたうえで運用する必要があります。そのため、作業の手順や内容などに変更が生じた場合は、その都度設定の更新を要する点にも注意しましょう。

まとめ

製造業にRPAを導入すれば、工数の大幅な削減による業務効率化を実現でき、従業員の負担軽減も可能です。コストダウンや品質向上などの効果も見込めるため、前向きに導入を検討してみてはいかがでしょうか。本記事でお伝えした導入の手順や注意点なども押さえたうえで、自社に適したツールがないか探してみましょう。

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